中国漁船団の領海侵入を許すな! 傷だらけの海保巡視船「うるま」が尖閣諸島を守るため出港

沖縄・中城港を出港する巡視船「みやこ」

8月2日の産経新聞に、こんな記事が掲載された。

『中国政府が日本政府に対し、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での多数の漁船による領海侵入を予告するような主張とともに、日本側に航行制止を「要求する資格はない」と伝えてきていた(中略)

「数百隻もの中国漁船の(尖閣周辺での)航行を制止するよう(日本が)要求する資格はない」と述べた。』

今年に入り、中国の暴走はエスカレートするばかりだ。尖閣諸島を自国領土と身勝手な主張を続ける中国は、8月16日に中国・福建省の禁漁が解禁されると同時に、尖閣諸島へ大漁船団を送り込むと日本政府に予告したのだ。

もちろんこの行為は、尖閣諸島の実効支配を日本だけでなく世界にアピールするのが目的であり、事実、2016年には中国漁船300隻が中国海警船を伴って殺到している。そして今年は、さらに強力な大船団を送り込み、日本政府に対し「制止するよう要求する資格はない」と挑発している。

現在、中国はコロナ渦に乗り、あらゆる海域で領海侵犯を行なっている。南シナ海では、核ミサイル搭載潜水艦の安全な海域を確保するために、人工島を多数造成。3000m滑走路を設営し、戦闘機、各種ミサイルを持ち込み、自国の内海としている。

そして、台湾奪還と西太平洋への安全な出口を確保するために、東シナ海での覇権を握ろうとしている。その入り口が尖閣諸島だ。

フォトジャーナリスト・柿谷哲也氏は、この一報に急速対応。各国の特殊部隊も使用するシーカヤックを持参して、沖縄・中城港沖3kmに出撃し遊弋(ゆうよく)。そして8月9日、尖閣に出動すると見られる今年配備されたばかりの海保最新鋭3500トン巡視船「みやこ」を激撮した。

柿谷氏が用意したシーカヤックシーカヤックから巡視船「みやこ」を撮影

「みやこ」は、中国公船対処で増えた予算で建造された1隻で、尖閣での長期任務に対応できるよう設計されている。

「前甲板の保安官から『流されないように注意して下さいねー』と呼び掛けられました。実際、大型船の出航にカヤックは邪魔です」(柿谷氏) 

沖縄では米軍基地建設反対の海上デモに、カヤックはよく使われている。だが柿谷氏は、三密を避けた『海保応援ひとりデモ』だ。

「今、尖閣警備には3500トンクラスの大型巡視船が必要とされています。その理由は、突発事案で海域から長期間離れられない事案が発生するかもしれないからです。

8月11日現在、私の推定では尖閣沖に海保は、全部で17隻保有するヘリ搭載巡視船PLHのうち、四隻から五隻を投入。さらに、石垣島に配備されている対中国海警船対応の尖閣領海警備専従部隊の千トンクラス巡視船と、宮古島配備の中国漁船対応の180トンクラス巡視艇など、総勢12隻前後を投入していると予測しています。16日に向けてさらに多くなるでしょう」(柿谷氏)

それに対して中国海警は、東海分局から12,000トン超大型船(主砲76mm速射砲、30mm機関砲二門、14.5mm連装機関銃二門搭載。もはや軍艦)を筆頭に、5000トン3隻、3000トン11隻を含め全20隻が、中国漁船3、400隻を伴って来襲する。

「中国海警大型船は76mm速射砲で、海保は最大で40mm機関砲二門。力でも数でも圧倒され、領海警備と漁船対処には差がありすぎます」(柿谷氏)

柿谷氏は、パドルを漕ぐ力も萎えながら、8月10日、那覇港に向かった。そこで柿谷氏は、さらなる衝撃の巡視船を目撃する。

「台風のために風下となる、沖縄本島北部の影で待機していたヘリ搭載巡視船『うるま』3652トンが入港してきました。その姿は錆びだらけの"戦船(いくさぶね)"。長年海保の取材をしていますが、真っ白に青いラインが際立つ海保巡視船の凛々しい姿からはかけ離れていました。

本土ではありえない姿の巡視船に、撮影しながら鳥肌が立ち、涙が出ました。尖閣警備で船を酷使して、船体の整備を優先して塗装の時間を省いたり、乗員の休養に充てているのでしょうか。今の海保の苦しい現場の雰囲気が分かります。『うるま』は尖閣に行き、1000トンクラス巡視船の指揮船となって戦います」(柿谷氏)

柿谷氏が、その姿を見て涙した巡視船「うるま」海保巡視船の「真っ白に青いライン」のイメージとかけ離れた、錆びついた船体

すでに海保の尖閣警備能力は、限界を超えている。

「港に戻れば、中国武漢発の新型コロナがいます。尖閣に行けば、中国海警船と中国漁船が大勢います。多勢に無勢。今、海保はこの2正面作戦で本当によくやっています。頑張れ海保!!」(柿谷氏)

8月16日開戦の"尖閣海戦"。どう見ても数の上では中国の有利だ。シーカヤックに乗ったひとり海保応援団・柿谷氏の声が海保に届く事を祈る。

撮影・取材/柿谷哲也 文/小峯隆生

関連記事(外部サイト)