小池百合子を痛烈に風刺した話題の『豊洲の女』作詞家を直撃!「あの人は根本的には何もないんですよ」

小池百合子を痛烈に風刺した話題の『豊洲の女』作詞家を直撃!「あの人は根本的には何もないんですよ」

作家・哲学者の適菜収氏が作詞した『豊洲の女』のCDジャケット。緑のスカーフを巻いたショートカットの女性が意味深だ…

今年、脳科学者の茂木健一郎氏が“日本のお笑い芸人は欧米のコメディアンと比較すると政治風刺が足りない、「本当に終わっている」”などとツイートし炎上したが、日本に政治風刺・社会風刺が少ないことは事実だし、こんな時代だからこそ必要なのでは?という見方もあるだろう。

そんな折、『安倍でもわかる保守思想入門』など多数の著書を持つ作家・哲学者の適菜収(てきな・おさむ)氏が作詞した痛烈な風刺ソング『豊洲の女』が世に放たれ、話題となっている。そこで、作詞家デビューに至った理由、さらに東京都議選の直前にリリースした狙いはなんなのか?を直撃!

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─CDシングル『豊洲の女』(エスプロレコーズ)で、なんと作詞家デビューされました。曲調は昭和の匂いが漂うムード歌謡といった感じですが、歌詞は「化粧だけでは隠しきれない 今の私は豊洲の女」などと、小池百合子都知事を風刺しているものです。戦う言論人の息抜きなのか、それとも本気の新境地開拓なのか、真意をお聞かせください。

適菜 もちろん、本気ですよ。作詞を本業にする予定ですから。きっかけは、京都大学大学院で社会工学を研究している藤井聡教授と飲んでいる時に「新しい言論プロジェクトの一環として」と話が盛り上がったことです。それで藤井さんに、主に関西のライブハウスでブルースを歌っている三沢カヅチカさんや作曲家の多城康二さんを紹介していただき、そこからトントン拍子に話が進んでCDをリリースしました。プロデューサーは、かつてCBSソニーで松田聖子を発掘した若松宗雄さんです。『豊洲の女』では今年の日本有線大賞を狙っています。

―しかし、音楽に政治を持ち込むことに批判的な人も多いですよね。

適菜 昨年、「フジロックフェスティバル」にSEALDsのメンバーが出演することが決まった時にもそういった批判はありましたね。「音楽は芸術として独立したものだ」とか言いたがるヤツは昔からいますが、反戦歌やプロテスト・ソングは音楽史を振り返れば日本にも世界にも数えきれないぐらい存在します。「宮廷音楽」という言葉があるように、音楽は古くから政治と結びついてきたし、音楽を通じて政治活動をするのは新しいことでもなんでもない。音楽も文章も根本は同じで、リズムやメロディがあり、メッセージ性を持つのも当然です。

私は大衆社会の分析をやってきました。言ってみれば「何が大衆に訴えかけるか?」と考えてきた。もちろん、音楽というツールは政治に悪用されることもありますが、社会の空気の本質をつかむこともできると考えています。

─今の社会は「好きか嫌いか」の二元論に陥り、その垣根を越えて意見を真っ当に戦わせるということが非常に難しい状況で、議論が成り立たなくなっているのではないかと。そこに風穴を開けるためにも、「風刺」という表現は有効だと思います。

適菜 そう、今は議論が成り立たなくなっていますよね。「安倍政権を批判するヤツは左翼に決まってる」みたいな感じで思考停止している人たちに、政治思想史の説明をしても理解されません。だから、いろいろな角度からアプローチが必要だと考えたんです。

─歌詞を見ると、“政界渡り鳥”と言われて、単に上昇志向が強いだけなどと批判される小池都知事の本質を突いているし、“ジャンヌ・ダルク”と称されながらも市場移転の問題では時間と税金を浪費しているだけという点もぶった切っています。どういった意図で歌詞を書かれたのですか?

適菜 それはもう単純明快で、「何を歌ったら小池がイヤがるかな?」と。あの人は根本的には何もないんですよ。空虚です。そこの部分をうっすらバカにしようと(笑)。

─7月2日には都議選の投開票が行なわれますが、小池知事率いる「都民ファーストの会」が議席を伸ばす可能性は高いのではないでしょうか? これだけ移転問題を引き延ばされると、有権者は「築地でも豊洲でもどっちでもいい。早く決めないとヤバイ」となって、小池知事がどう決断しようが彼女に反対できなくなっている気もします。

適菜 これまで小池が決断しなかったのは、豊洲に決めれば移転反対派の票が逃げるし、築地に決めれば賛成派の票が逃げるという構図があったからです。で、そういう曖昧(あいまい)な態度が批判されると、今度は豊洲も築地も使うみたいな玉虫色の判断でお茶を濁した。要するに、市場移転問題なんて話題作りにすぎないんですよ。それでも人気は高いから、都議選で都民ファーストの会は勝つでしょう。しかし、それは都民にとっては負けですね。

「豊洲か、築地か?」という問題は、普通に考えれば豊洲一択のはずです。専門家の検証によって豊洲は「安全」とされたわけですから。それを小池は「安全は確保されたが、安心はどうか?」などと言い出した。「安心」を科学的に裏付けることは不可能です。まさにこれは「ポスト・トゥルース」で、小池の胸三寸でみんな決まっちゃうんだったら、法治国家でもなんでもない。

結局、大衆は間違えるんです。小池や橋下徹のような大衆扇動型のポピュリストに何度も騙(だま)される。小池と舛添要一前都知事を比較した場合、小池のほうがはるかに悪質です。舛添はケチな横領で辞任に追い込まれただけです。ファーストクラスに乗ったとか公用車で温泉に行ったとか、大した問題ではありません。要するに「うらやましい」と妬(ねた)まれただけです。

―確かに、それに比べると移転問題では桁違いの税金がムダになっていますね。

適菜 小池が移転問題を宙吊り状態にすることで、業者が豊洲に用意した機材のリース料や維持費などで1日約500万円ものカネがムダに費やされ続けている。それを補償するのは税金です。小池は都民の税金を大量にドブに捨てているわけです。

この四半世紀、繰り返されてきたのは同じ紙芝居です。“悪の巣窟”に“正義の味方”が乗り込み、成敗すると。小池を生み出したのも「民意」ですが、民意も権力であるという事実に気づくべきですね。私は自民党に対しては批判的ですが、市場移転問題に関して言えば、自民党の説明のほうが小池の説明よりも正しい。

─国政の状況を見れば、自民党の候補に投票したくはありませんが…。

適菜 選挙はワン・イシューではありませんからね。私も自民党には投票しません。しかし、それ以上に都民ファーストの会という選択肢はありえない。都民もいい加減、小池にバカにされていることに気づくべきです。都民ファーストの会も、自民党や民進党から出馬しても当選できないような連中が小池人気にあやかろうと集まっただけ。そんなものが都政を担ったら、第二の大阪維新の会になりますよ。

─『豊洲の女』が有線大賞を獲れば状況も変わるかもしれません。今後の選挙でこの歌を口ずさみながら、都民ファーストの会の候補者に投票するのはちょっと考えられないですから(笑)。

適菜 年末まで日本がもてばいいんですけどね。

(取材・文/田中茂朗)

●適菜収(てきな・おさむ)







1975年、山梨県生まれ。作家。哲学者。近著に『安倍でもわかる保守思想入門』(KKベストセラーズ)、『博愛のすすめ』(中川淳一郎と共著 講談社)がある

●『豊洲の女』







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