「さらば忘年会、新年会!」20代よりむしろ50代のほうが消えてほしいと願っていた......

bounen1.jpg■忘年会&新年会文化がコロナで消滅!?

一年の終わりを目前に新型コロナウイルスの第3波が猛威を振るっている。今年は忘年会や新年会は中止するという職場が多数だろう。

この状況に、都内オフィス街の居酒屋経営者(33歳)はため息交じりにこう語る。

「秋になり徐々に客足が戻り、30人規模の忘年会予約が10件ほど入りました。でも東京の警戒レベルが最大になった11月19日以降、すべての団体予約がキャンセルに。新年会の予約もまだゼロです」

では、忘年会&新年会に対するサラリーマンの本音は? 週プレが20代〜50代の男性サラリーマン400人を対象に行なったアンケートでは、「コロナが終息したら、以前のように忘年会や新年会をやりたい?」との問いに対し「仕事上もプライベートもなくてよい」と回答したのが45%。「プライベートでは不要だが、仕事上の忘年会や新年会はあったほうがよい」が9%。そして、「プライベートでならやりたいが、仕事関係のものは不要」が29.25%。この回答が特に多かったのは若手世代。20代と30代はいずれも30%を超えた。

「ずっと忘年会がいやでした。繁忙期に終電過ぎまで飲むから仕事の効率も悪くなる。忘年会中に取引先から緊急の電話で『今すぐ来てくれ!』と言われたのに酔った役員がなかなか帰してくれず、契約を切られたことも。大して間を空けずまったく同じメンバーで再び新年に飲む意味もわからなかった」(30歳・システム)

「体質的に酒が飲めない。普段の飲み会はノンアルで許されるのに、忘年会では上司が『今年のミスは今年中に酒で流さないとな』と無理やり飲ませてくる」(29歳・家電)

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一方、「あったほうがいい」派(16.75%)からはこんな意見も。

「仕事が忙しい部署だけに、部の忘年会は仕事納めの日に社内の会議室で実施。仕事が終わったという解放感にみんなで浸れて楽しかった。お酒が回ると最後に隣の人と肩組んで社歌を歌って。一年が終わったって感じで、年末はそれを楽しみに仕事を頑張れてましたね」(33歳・化粧品)

「忘年会のカラオケで出世できました。歌が得意なので、役員や上長の前でその年の流行曲を振り付け込みで完コピし、ひとり紅白歌合戦として披露。それがウケて普段仕事で関わりがない人との飲み会にも呼ばれるように。顔が売れたのが大きかった」(43歳・IT)

「男性だらけの職場で働いているので、全社員が集まる新年会は女子社員としゃべれる唯一の場。新たな出会いを毎年楽しみにしてました。新年会で出会った女性と結婚した先輩の話を聞くと、うらやましいなと感じる」(27歳・機械メーカー)

このように忘年会&新年会文化をめぐり賛否両論、まさに過渡期にある今、いい思い出も悪い思い出もひっくるめて振り返ってみます!

■会社ルールと上司に振り回される若手社員

まずは20代若手社員の思い出から。「会社の忘年会&新年会は幹事が大変すぎる」とボヤくのは地方銀行勤務のA氏(27歳)。

「ただ店を予約すればいいわけではなく、『会社からの距離』『ビールの銘柄』『上司の好き嫌い』まで考慮します。また会のアナウンス、上司への挨拶の依頼、会場までの道案内、余興、注文、集合写真撮影の仕切り、2次会やタクシーの手配など飲み会のすべてをプロデュース。新入社員時代、2次会会場を徒歩15分の場所に予約したところ『遠すぎる!』と仕事よりもキツく叱られました」

飲み会後も気は抜けない。

「支払いはいったん幹事が立て替えますが、傾斜(支払額の差)のつけ方を3人以上の上司に相談しなければいけないルール。疲れますが、幹事を経験したことで社会人としての気遣いを叩き込まれたのはよい思い出です」

「余興」も若手社員が通る道。

「新入社員が新年会で漫才を披露する伝統がある。世相を取り入れ、適度な上司いじりを入れ、かなりの完成度を求められます。12月になるとお笑いに強い部長にネタを披露。

ダメ出しをされ、何度もネタを書き直す。年末年始休みも相方の同僚と集まって練習しました。しかし当日の上司は全然笑ってくれない。スベるとその場で忌憚(きたん)なき指摘をもらいます。新人のとき『今年は不作』と言われたのが悔しかった」(25歳・商社)

たくさん飲み食いさせられるのがツラかったとの声も。

「年末に『忘れたいこと』を発表し、一気。年始の抱負を語り、一気。トイレから帰ってきて手のにおいを嗅がれ、吐いていたのがバレただけでも一気。理由が仕事でも遅刻したら一気。

1分ごとにジョッキ1杯一気飲み。以前、取引先との打ち合わせが長引き5分遅刻しただけで5杯飲みました。今は忘年会&新年会の日の午後は仕事を入れないようにしています」(28歳・広告)

「料理をとにかく食べさせられる。残すのは厳禁。新卒時代の新年会では、3人で20人分のコース料理を食べた」(27歳・飲料)

最後は、上司に振り回された思い出。

「音楽好きな社長なので、忘年会はライブバーを貸し切り。毎年恒例30分ほどの『社長のギター弾き語り』タイムがある。しかし"『トップガン』のテーマ"など毎年選曲が古くて合いの手の入れ方やノリ方もわからない。ほとんどの社員がポカンとする地獄の時間だが、必ずアンコールまである」(26歳・セキュリティ)

■忘年会に気疲れする50代上司

では、上司世代は忘年会&新年会を楽しんでいるのか? 40代は「仕事上もプライベートもあったほうがいい」派が23%と際立って多かったが、驚くことに50代は「両方ともいらない」と答えた人が50%超と最も多かった。いったいなぜ? 50代の嘆きを聞こう。 

「近年はちょっとしたことでも若い社員から『ハラスメントを受けた』と言われるので飲み会の席で何も言えないし、逆に気を使う。少人数を誘うこともはばかられる。だったら同世代だけで飲みたい」(51歳・広告)

「これまで忘年会のせいでクリスマスシーズンは家にいられなかった。成人した娘に『うちってクリスマスの思い出が何もないよね』と言われ、いまさら後悔。これからは家族との時間も大切にしたい」(50歳・都市銀行)

そんな哀愁にじむ50代だが、彼らの若手時代はどんな忘年会&新年会をしていたのか。「ジョッキでお酒を飲めているだけ今の時代はマシ!」と語るのは商社勤務のB氏(55歳)。

「自分が若手だったバブル期は、一気飲みに"モノボケ要素"があった。使うのは力士が使うサイズの杯、鍋のふた、女性のハイヒール、自分の靴、ワインクーラーなど。今どれだけ若手が頑張って飲んでいても正直物足りなさを感じますけど、そんなことは言っちゃいけない時代ですもんね」

今では考えられない、バブル時代のエピソードはまだまだある。

「自分が若手だった30年前は、タクシーが若者はお金を持っていないと見なしてまったく相手にされなかった。特につかまらないのが年末で、上司のためにどうタクシーを拾うかあれこれ考えたものだった。

自分の得意技は、車道に飛び出してつまずく。タクシーは止まらざるをえず、あっけにとられた運転手に『遠くまで行くから!お願いします!』と頼み込んで乗せてもらっていた。今でこそ不思議だけど、それを見た先輩に『おまえも一人前になったな』と言われてうれしかったのを覚えている」(56歳・出版)

「当時の職場は男性社員のみ。そんな忘年会では1次会は居酒屋、2次会は六本木のクラブを貸し切り。1次会から2次会まで間が1時間あり、そこで20代社員が女性をひたすらナンパ。より多く上司好みの女性を連れてきた若手が出世コースだといわれていた」(51歳・商社)

■新たな悩みも発生中

働く女性にも忘年会&新年会の思い出を聞いた。まずはバブル時代の思い出を語る、製薬会社勤務の女性。

「当時はさまざまな総合病院を相手に、忘年会が連日、1週間続きました。20代女性社員はバドガールやバニーガールの格好をして、医者たちに高級シャンパンをつぎ、前菜を配ります。酔った医者に『膝に乗って』とせがまれることも。『脚キレイだね、舐(な)めていい?』と言って本当に舐めてきた医者もいました」(52歳・薬品)

今なら一発アウトだが、程度の差こそあれ今の若手社員からも苦労の声が。

「毎年、男性新入社員がパンツ一丁になります。そこで女性社員は黄色い声援を送らないといけない。本気で引いている女性もいるのですが、声が少ないと『女子がまだ満足してないぞ!』と、先輩社員も次々脱ぎだす。

ここ数年は早く場を収めるために無感情で声量だけ大きく『キャー!』と言っています。脱いでいる本人たちは満足そうですが、なんの茶番なのか」(27歳・メーカー)

今年もなんらかの形で仕事上の忘年会・新年会がありそうという人たちの話も。

「今年は忘年会をオンラインで開催。新入社員の自分が幹事です。40人ほどの参加者をビデオ会議ツール上で仕切れる気がしません。実はコロナ期間中も毎月1回はオンライン飲み会があり、若手が余興もしていたのですが、フリップ芸、パントマイムなどベタなものはもうやってしまった。忘年会はもうネタ切れです!」(23歳・通信)

「オンライン忘年会&新年会」派若手社員の新たな悩みになりそうだ。

最後に、複数の回答者から上がったこんな声を紹介して締めたい。

「あったらあったで面倒くさいと思っていたけど、なければないで寂しいものですね」

忘年会&新年会の中止は一時的な動きか。それとも、このまま消えゆく会社文化となるのだろうか。

今年はZoomを使った忘年会で、上司から余興を求められている若手社員もいた

取材・文/菱山恵巳子 取材協力/池野佐知子 イラスト/服部元信

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