インプレッサの血を引く注目の「新型WRX STI」に試乗! 一体どこが変わったのか?

インプレッサの血を引く注目の「新型WRX STI」に試乗! 一体どこが変わったのか?

自動車ジャーナリスト・河口まなぶが、スバルの新型WRX STIにがっつり試乗!

かつてはWRC(世界ラリー選手権)で3度のチャンピオンに輝いたインプレッサの血を引くのが、スバルWRX STI。

モータースポーツの血を色濃く受け継ぐこのモデルは、現在もドイツ・ニュルブルクリンク24時間耐久レースに参戦し、国内の全日本ラリー選手権でも活躍。またアメリカで絶大な人気を誇っているラリークロスでも注目されているのだ。

そんなWRX STIが大幅改良を受けて、2017年6月20日から発売された。静岡県伊豆・修善寺にある「日本サイクルスポーツセンター」で試乗したのでリポートしよう!

そもそもスバルは、自社のモデルを一年に1度改良してアップデートすることを伝統としている。これは年次改良と呼ばれ、マニアの間では“年改”と略されて親しまれている。ちなみに年改ごとに車両の型式名の末尾のアルファベットが変わっていき、登場したての場合はA型、そしてB、C型と進み、ファンはこの型式で呼ぶ。で、今回のモデルはD型で、ファンはそんなD型WRX STIのことを「VAB(←これが車種固有の型式)のD型」と呼ぶのだ。

気になる今回の年改は、いつにも増して細かく手が入っている。変更があったところをざっと記してみると、245/35R19サイズのタイヤ&アルミホイール、電子制御マルチモード「DCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)」を新構造に、ブレーキキャリパーは黒から蛍光イエローに変更して、ブレンボ社製ブレーキも強化。

他にも、サスペンションをリファインしているのはもちろん、なんとガラスの板厚を増すなどして静粛性向上も図っている。さらに新たなレカロ社製のバケットシートをオプション設定に加え、赤いシートベルトまで与えた。

また、見た目もよりアグレッシブになっており、フロントはバンパー下部により大きな開口部を設けている。そしてインテリアでもハンドルやシフトレバー周辺にハイグロスブラックの塗装を施して、スパルタンながらも上質な雰囲気を漂わせるようになった。

そんなWRX STIを走らせて驚いたのは、意外にも乗り心地だった。19インチという大きなタイヤ&アルミホイールを履けば、通常は乗り心地は悪くなる。なのに、WRX STIは滑らかな感覚さえ伝えてくる。もっともこれこそが、サスペンションをリファインした効果だろう。

これに加えて、新たに19インチとなったタイヤを横浜ゴムのアドバンスポーツV105へと変更したことも大きい。欧州のスポーツモデルも採用するこのタイヤにしたことで、さらに高いクオリティの乗り味が生まれた。

乗り心地や乗り味が良くなって上質さが増しただけでなく、さらに曲がるのが得意になった。小さなカーブでも、ハンドルを切ればグイグイ曲がっていくのだ。しかも! ガラスの厚みまで増した効果は確かにあって、室内の静粛性は確かに上がっている。WRXSTIはスバルで最もスポーツ性の高い一台だが、これまで感じられなかった大人っぽさがある。しかし、ハンドリングに関しては、以前よりもよく曲がる! まさに言うことなし!の進化を遂げた。

だが、WRX STIの真骨頂はエンジンだ。搭載される2リットル水平対向ターボエンジンは、WRCを戦っていたラリーマシンに搭載されていたものと同じ型式のものだ。熟成を重ねた結果、最高出力は308馬力、最大トルクは43kgmを発生する。トランスミッションは6速MTのみの設定となる硬派なものだ。このエンジン自体に変更はないけれど、実はこのエンジン、スバルのなかでは昔から残っている唯一のハイパワーエンジンとなっている。

これから先の時代においては排ガスや環境性能の問題などで、搭載自体が難しくなるのは予想できるが…このエンジンは超絶気持ちいいフィーリングを持っている。カロリーの高い食べ物がなんだかんだでうまいように、燃費や排ガス的には厳しくなりつつあるこのエンジンもやはりうまい!

アクセルを踏み込んだときの反応は鋭く、回転の上昇自体も速く、回転が高まるにつれて力が湧き上がっていき、サウンドも胸に響く音色に。EJ20という型式を持つこのエンジンは、クルマ好きの間では名機と呼ばれている。そんなエンジンの最新版かつ最もパワーが出ているものを、MTで操れる。実に贅沢なクルマだ。

だが、このエンジン、次期型に搭載される可能性は微妙。男たちよ、乗るなら今しかない!

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●河口まなぶ







1970年生まれ、茨城県出身。日本大学藝術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌(モーターマガジン社)アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。毎週金曜22時からYouTube LIVEにて司会を務める番組『LOVECARS!TV!』が絶賛オンエア中。2002年から日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

(撮影/本田雄士)

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