「肉食中心だと上昇する」は勘違い! 30歳過ぎたら要注意の「中性脂肪の研究」

中性脂肪が高いとコレステロールの質が悪くなり、動脈硬化が進んでしまうという *写真はイメージです

健康診断で引っかかってもスルーしがちな「中性脂肪」。いったい何が体に悪くて、どうすれば減らすことができるの? 根本的な事項から聞いてみた。コロナ太りに悩む人も必読!

■意外と怖い!中性脂肪に注意

外出自粛で運動量が減り、「コロナ太り」なんて言葉も。そんななか、健康診断で気になる指標が「中性脂肪」。でも、どうやって数値を減らしたらいいかよくわからないし、そもそも中性脂肪って何!?

疑問を解決すべく、中性脂肪の危険性と対策について、脂質代謝の専門医で栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原毅(たけし)先生に話を聞いた。

「中性脂肪とは体内の脂質の一種で、本来はエネルギー源として働きますが、消費しきれなかった分は脂肪細胞に蓄積され肥満の原因になります。また、血液中の中性脂肪の濃度が高くなると、血液の流れが悪くなり、血管を傷つけ、動脈硬化が進む。結果的に、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中のリスクが高まります。

ちなみに、『体脂肪』と何が違うのかという質問をたまに受けますが、体脂肪は全身の脂肪を指し、中性脂肪とは体脂肪の中のひとつの脂肪成分を指します」

同じ血液中の脂質でよく聞くのはコレステロールですが、それとの関係性は?

「中性脂肪が高いと善玉のHDLコレステロールが減り、悪玉のLDLコレステロールが小型化します。小型化したLDLは通常のLDLよりも酸化しやすく、これが増えると一気に動脈硬化が進むため『超悪玉コレステロール』とも呼ばれます。

つまり、中性脂肪が高いとコレステロールの質が悪くなり、確実に動脈硬化が進んでしまう。健康診断の結果でコレステロールについ目がいきがちですが、実は本当に注意すべきは中性脂肪なんです」

中性脂肪が増えると悪玉コレステロールが小さくなって増え、動脈硬化が進む

では、逆に中性脂肪が低すぎるとどうなりますか?

「中性脂肪は最初に使われるエネルギー源ですので、低すぎると疲れやすくなってしまいます。基準値の30〜149mg/dlをしっかりキープすることが大切です」

■中性脂肪が増える原因

どんな生活習慣が原因で中性脂肪値は高まりますか?

「中性脂肪はその名前のイメージから、肉や脂っこいものを食べると上昇すると思われがちですが、実際は脂質よりも糖質の取りすぎが原因で上昇します。糖分の体内貯蔵量には限界があるので、余分な糖が中性脂肪に変換され、肝臓や脂肪細胞に蓄えられるのです」

やはりお酒は控えたほうがいいですか?

「大量に飲むのはよくないですが、適量なら大丈夫です。ビールなら中瓶1本、日本酒なら1合、ワインならグラス2杯程度ですね。中性脂肪が気になる方はお酒よりもつまみ選びに注意してください。ポテトサラダやシメのラーメンなど糖質の多いものはNGです」

今気になるのは、中性脂肪が増えるとコロナへも影響があるのかどうかです。

「高血圧や糖尿病などと同じように、中性脂肪の値が高いのも『脂質異常症』という基礎疾患であり、コロナに感染した場合は重症化のリスクが高くなるので、注意しましょう」

見て見ぬフリができなくなってきた中性脂肪。というわけで、続けて具体的な対策を学んでいこう。

■中性脂肪を減らす食事や習慣について

栗原先生いわく、中性脂肪は簡単な食事制限と適度な運動で減らせるという。

【食生活について】

「中性脂肪値を下げたいなら糖質を今より2割減らすこと。2015年に私がサッポロビールと共同で行なった『食習慣と糖に関する20〜60代男女1000人の実態調査』によると、日本人が一日に摂取している糖質の平均量は男性で309g(茶わん1杯のご飯の糖質はおよそ55g)でした。これを男性は250g程度に抑えれば、中性脂肪は下がります。

とりあえず、お菓子や果物、パン、麺類を控える。そして、いつもより1割ご飯の量を減らして、足りなかったらサラダをプラスしてみてください」

加えて、タンパク質も積極的に取るべきだという。

「アルブミン(血中のタンパク質量)が下がると、筋肉が減り、血糖値や中性脂肪値が高くなります。そうならないためにも、タンパク質の摂取は重要です。摂取量の目安は体重60〜70s程の人で60gくらい。

種類にもよりますが、肉100g中に、タンパク質は20g程度含まれているので、肉だけでいうと一日300gくらいが目安です。また、卵は吸収がいい優秀なタンパク源なので、こちらも積極的に取りましょう」

一方、オススメできないNG食生活も。

「バナナなどの果物だけで朝食を済ませている人も多いかもしれません。果物は健康的なイメージがありますが、朝一番に食べると果糖が一気に分解・吸収されるため、控えたほうがいいでしょう」

どうしても甘い物が食べたくなったときはどうすればいいでしょう?

「カカオ成分70%以上の高カカオチョコレートをオススメします。抗酸化作用があり、HDL(善玉)コレステロールを増やすカカオポリフェノールとカカオプロテインというタンパク質成分が豊富に含まれています。カカオプロテインは腸内環境を整え、体の免疫力も高まるので、感染症の予防にもつながります」

さらに、日常の食生活においては"オサカナスキヤネ"の摂取を心がけるといいようだ。

「オ(お茶、オリーブオイル)、サ(魚)、カ(海藻)、ナ(納豆)、ス(酢)、キ(キノコ類)、ヤ(野菜)、ネ(タマネギ)です。お酒を飲むときでも、これらを一緒に食べれば中性脂肪が上がりにくくなります。肉と卵、高カカオチョコレート、そしてオサカナスキヤネを食べて中性脂肪値の上昇を抑えましょう」

【運動について】

「脂肪を燃やすといえば有酸素運動をイメージされると思いますが、実は有酸素運動だけでは中性脂肪が下がらない人もいます。筋力トレーニングと有酸素運動の併用で効果的に筋肉量を増やしていきましょう」

では、どんな筋トレが最も効果的ですか?

「私が患者さんに勧めているのは、おうちでも簡単にできる"スロースクワット"です。太ももの大腿四頭筋は人の身体で最大の筋肉であり、運動負荷が軽めでも筋肉が大きくなりやすいのが特徴です。

方法はまず、足を肩幅より広めに開き、腕を胸の前で組みます。そのまま、5秒かけてゆっくりと膝を曲げていきます。太ももと床が平行になるまで腰を落としたら、今度はまた5秒かけてゆっくり立ち上がる。そして膝の角度が45度のところまで来たらまた腰を落とします。これを5回1セットで、朝と夕方に1セットずつ行なうだけで効果は出ます」

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外食の機会が減った今こそ食生活を見直し、おうち時間でスロースクワットを習慣化してみると、数値が改善され、健康を維持できそうだ。

取材・文/渡辺ありさ イラスト/福田嗣朗

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