海外の少子化対策どこが違う? 出生率が大幅上昇した先進国と日本を比較

人口減少の日本では少子化対策が大きな課題に フランス、スウェーデンは出生率が回復

記事まとめ

  • 人口減少が始まった日本では、少子化対策が大きな課題になっている
  • 子育て「両立支援」が進んだフランス、スウェーデンで出生率が特に回復している
  • 国民負担率などの違いもあるが、家族政策の規模は欧米に比べ日本はまだ少ない割合に

海外の少子化対策どこが違う? 出生率が大幅上昇した先進国と日本を比較

海外の少子化対策どこが違う? 出生率が大幅上昇した先進国と日本を比較

[イメージ]人口減少が始まり、日本では少子化対策が喫緊の課題ですが、諸外国の現状はどのようになっているのでしょうか(写真:アフロ)

 人口減少が始まった日本では、少子化対策が大きな課題になっています。日本より先に合計特殊出生率(出生率)の低下が始まった欧米各国など海外ではどのように少子化の問題に取り組んでいるのでしょう。内閣府の2016年版少子化社会対策白書から少子化の現状についての国際比較を取り上げます。

子育て「両立支援」が進んだフランススウェーデンで出生率が特に回復

 まずは、欧米(アメリカ、フランス、スウェーデン、イギリス、イタリア、ドイツ)の合計特殊出生率の推移をみます。1960年代までは、全ての国で2.0以上の水準でしたが、1970(昭和45)年から80(昭和55)年ごろにかけて、低下傾向となり、2.0を割り込むように。背景には、子どもの養育費の増大、結婚・出産に対する価値観の変化、避妊の普及等が挙げられています。

 その中で、90年ごろからは、出生率が回復した国も出てきました。特に、フランスやスウェーデンは、出生率が1.5〜1.6台まで低下した後、フランス1.98、スウェーデン1.88(ともに2014年)まで戻っています。

 白書では、フランスは、家族手当等の経済的支援中心から、90年代以降、保育の充実へとシフトし、さらに出産・子育てと就労に関して幅広い選択ができるよう「両立支援」の環境整備を強める方向で家族政策が進められた、としています。またスウェーデンは、経済的支援と併せ、保育や育児休業制度といった、こちらも「両立支援」の施策が比較的早い時期から取り組まれてきた、と指摘しています。

 また、出生率が日本(1.42、14年)と近いものの回復がみられるドイツ(1.47、同)は、経済的支援が中心ではあるものの、近年、「両立支援」へ転換を図り、育児休業制度や保育の充実等を相次いで打ち出している、と報告しています(グラフ1)。

アジアは日本以上に出生率が低水準

 アジアの国・地域はどのような現状でしょうか。白書は時系列データの利用が可能なタイ、シンガポール、韓国、香港、台湾の出生率の推移を取り上げています。すると、70年時点は、いずれも日本の出生率の水準を超えていましたが、その後、低下し、現在では出生率が人口を維持できる人口置換水準を下回るようになりました。

 ちなみに、タイ1.40(2013年)、シンガポール1.25(2014年)、韓国1.21(同)、香港が1.24(同)、台湾が1.17(同)というように、日本1.42(同)よりも低い数値になっています。

日本の家族政策の財政規模は欧米より少なめ

 では、児童手当や出産育児一時金、就学援助など、家族政策の財政規模は、諸外国と日本でどのような違いがあるのでしょう。白書は、日本と欧米諸国(米国、ドイツ、英国、フランス、スウェーデン)でこれらの財政割合を比べるため、家族を支援するために支出されている現金給付と現物給付(サービス)の対GDP比を調べています。

 具体的には児童手当、社会福祉、健康保険、各種共済組合、雇用保険、生活保護、就学・就学前援助の項目から計上しています。その結果、日本はこれら家族関係社会支出の対GDP比は1.25%(2013年度)で、最も高い英国3.76%(2011年度)やスウェーデン3.46%(同)、フランス2.85%(同)などと比べ、4割程度の水準であるとわかりました(グラフ2)。

 国民負担率などの違いもあるため、単純比較は出来ないものの、数値を見る限り、家族政策全体の財政規模は、欧米諸国に比べ、日本はまだ少ない割合にとどまっているといえそうです。