英語が小5から正式教科に(2)英語指導できる教員どう大量に育成?

英語が小5から正式教科に(2)英語指導できる教員どう大量に育成?

文科省の資料を基に作成

 2020年度から、小学校の5・6年生は、英語が算数や国語と同じ「教科」になる。教科になるに伴い、教員はこれまでの「話す」「聞く」に加えて「読み」「書き」も教えなければならなくなる。課題になるのが教員の指導力だ。また、ゆとり教育からの転換で学ばなければならない内容が増えている現場では、新たに時間数が増える教科としての英語の授業をどこに組み込むべきか議論になっている。文部科学省の考えを聞いた。

 「英語指導を前提としていない先生が小学校では多数。まずは英語の授業を体験してもらうことから始めている」と話すのは圓入(えんにゅう)由美・外国語教育推進室長だ。

 文科省が力を入れて取り組んでいるのが全国で1000人、「小学校英語教育推進リーダー」を育成する事業。外部の研修機関に委託し、1人あたり2年かけて地域で英語指導のできるリーダーに育てるプログラムで、「これまでと比べられないくらい、厳しい内容」という。研修記録などを研修機関や自治体から提出を受け国でチェック。各県などの教育委員会から推薦を受けた教員が研修を受ける対象になる。

 リーダーになった教員は各県の教委と連携し、各小学校から1人を代表に選び(中核教員)教員に授業の仕方などを指導する。中核教員がその後、校内研修を実施する流れだ。伝言ゲーム形式で平成31年度までに、全国約2万302校の学校全てで研修を行う予定で、今年度中には65%の学校で達成する見込みだという。

 ただ、伝言ゲーム形式になるので一般教員まで高いレベルの授業ができるように指導するのは難しそうだ。国のリーダー研修では授業を全て英語で行う「オールイングリッシュ」の指導を行うが、一般教員にはハードルが高い。圓入室長も「一般の教員まで全て英語で授業を行うのは難しいかもしれない。なんで英語だけこんなに研修やるんだという声もあるだろう。ただこの問題は英語以外でも同じ。リーダーにはそういった人たちも巻き込んでいく力をつけてほしい」と話す。中核教員に渡す研修用の教材などは用意し、研修の質の担保を図るとしている。

 このほか、小学校教員が中学校の英語の教員免許を取得できるプログラムも今年度から始まった。免許取得に加えて小学校の英語指導に特化したプログラム開発を大学と進めている。全国の31大学で受けられるほか、来年度から放送大学で小学校英語の教授法の講習が開設される。こういった免許を習得した教員や、小学校英語教育推進リーダー、中学校所属の英語教員らを「専任教員」として、担任とペアで指導してもらうことも想定している。

 教員養成については着実に進められている一方、実際に授業を行っていく方法などについては未定の部分も多い。まず、教科になるにあたり、どのように「評価」していくかだ。覚える英単語数の目安などが新学習指導要領の中間報告には示されたものの、圓入室長は「英単語を覚えさせて書いてもらう、といった中学校のような評価にはならない」と説明する。

 英単語やアルファベットが書けるかといったことを重視するよりは、英語に向かう姿勢・態度なども十分加味できるような評価になる見込みだという。5〜1といった評定をつけるか、文章評価にするかについてはこれからの検討課題になっている。新学習指導要領が今年度中に完成した後、有識者会議などで具体的な内容を決める見通しだ。小学校の英語については2018年度に新学習指導要領が先行実施される予定のため、来年度には具体的な評価の仕方が固まる可能性がある。

 授業時間の確保についても課題だ。中間報告では週に2コマの授業は難しいという前提の上で、10~15分の短時間学習を繰り返して授業時間に充てることなど対策として示している。具体的にはどのように行うのか。文科省の教育課程課によると、現在行われている短時間学習は「課外活動」として行われている。漢字や計算などのドリル、読書などが行われていることが多い。

 この時間を本来の45分授業と関連づけられれば15分を3コマで45分授業とみなすことができるという。ただ、現状は短時間学習と授業本体を関連付ける場合の基準があいまいだといい、同省は7月、短時間学習と授業本体のひも付けについて協議する、非公表の検討会を発足させた。ルールなどを今年度中に取りまとめる方針だという。また15分単体の授業ではなく、45分授業に15分をプラスして60分授業を行うことも可能だという。それでも足りない場合は夏休みや土曜日などに授業を行うことで対応する想定だ。