路面電車型「神都バス」登場 大阪・堺でバスまつり

路面電車型「神都バス」登場 大阪・堺でバスまつり

三重交通の路面電車型「神都バス」。後部に集電ポールが付いている

昭和のレトロ気分を満喫

 スルッとKANSAI加盟の主要社局のバスが一堂に集まるバスまつりが25日、大阪府堺市の大浜公園で開かれ、家族連れなどが詰めかけてバスとの交流を楽しんだ。懐かしいチンチン電車を復元した路面電車型バスも登場。次々とファンが乗り込んで昭和のレトロ気分を満喫していた。

バスにして路面電車気分を味わえる「神都バス」

 バスまつりは今年16回目を迎え、30社局28台のバスが集合。関西各地で活躍する人気バスが勢ぞろいするチャンスとあって、熱心なバスファンたちが列を作って試乗していた。

 注目を集めたバスの一角が、三重交通の「神都バス」。三重県の伊勢神宮周辺では、明治後期から戦前昭和にかけて、路面電車「神都線」が参宮電車として親しまれていた。戦後もすばやい復興を支えたが、自動車交通の進展などに伴い、廃線が決定。1961年、バス路線に置き換えられた。

 惜しまれながら姿を消して半世紀あまり、2013年、路面電車型「神都バス」としてよみがえった。ベース車は1937年製造の神都線モ541型式543号車。神都線に入線した最後の車両をベースにバスを製造した。

 外観に路面電車の面影が濃厚に漂う。架線から電気を取り入れるため、車外後部で斜め上に伸びる集電ポールが異彩を放つ。正面の取り外し式ヘッドライトの丸さに、愚直なほど生真面目だったものづくりの精神が息づく。

 内装は木が基調。青い座席に座ると、路面電車のガタンゴトンと揺れる響きが聞こえてきそうだ。見学者たちは思い思いに座って、懐かしい昭和の気分を満喫していた。

高3男子は車両関連会社に就職内定し「がんばります」

 鉄道・バスファンのお目当ては、現役引退した車両部品などの展示即売会。南大阪に住む高3男子は、バスの方向幕やバス停の看板などを熱心に探していた。方向幕を広げながら、同世代のグループで仲良く盛り上がっていたが、同じ学校の友人ではないという。

 「SNSで知り合い、イベントなどで合流して楽しんでいます。おたく系はいつもひとり? 今は違います、僕らは仲間とつながっています。だから、『こんにちは』『よろしくおねがいします』って、みんなちゃんとあいさつもしますよ」という。SNSの人をつなげる力は、かなり強そうだ。

 すでに就職が内定。車両製造関連の会社で技師になるという。「趣味を仕事にでき、うれしいです」と笑顔を浮かべて張り切っていた。

運転士が乗り込んだ路線バスの旧運転席も即売

 北大阪在住の高3男子はバスのハンドルを購入後、他のブースで、運転士が操作するウインカーとワイパーのコンビネーションスイッチを発見。「ハンドルに合いそう」とひらめき、手に入れた。

 ものごころがついたころから、バスが好きだった。大学へ進学する予定だが、将来の就職先は決めている。「地元のバス会社一本に絞っている。入社試験に合格するまで受け続けます。ずっと運転士をして暮らしていきたい」と話す。バスひと筋の人生だ。

 即売コーナーで子どもたちがハンドルを回して遊ぶ運転席を見つけた。おもちゃではない。路線バスの運転士が乗り込んでいた本当の運転席だ。価格は2万5000円。2台持ち込んだが、2時間あまりで1台売れたという。会場には残暑に加え、バスファンの熱気が満ちていた。
(文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)