沖縄の高江ヘリパッド移設 反対派住民が会見(全文1)人権と環境の問題

沖縄の高江ヘリパッド移設 反対派住民が会見(全文1)人権と環境の問題

沖縄の高江ヘリパッド移設 反対派住民が会見(THE PAGE編集部)

 沖縄県東村(ひがしそん)と国頭村(くにがみそん)にまたがる米軍北部訓練場で工事が進むヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設問題で、建設に反対する住民らが13日午後3時から、東京の外国特派員協会で記者会見を行った。

 会見に出席するのは、安次嶺(あしみね)現達さん、伊佐育子さんら。ヘリパッドは東村の高江周辺に移設される計画で、9月21日には住民33人が国を相手取り、工事差し止めを求める訴訟を那覇地裁に提起している。安次嶺さんはその原告の一人。

「ヘリパッドいらない」住民の会』の伊佐育子さん 今日までの経緯について

伊佐:ありがとうございます。ただ今、紹介ありました。私は『「ヘリパッドいらない」住民の会』の伊佐育子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私のほうからは主に、今日までの経緯をお話ししたいと思います。

 高江は沖縄県本島北部の東村の一番北の集落で、住民約150名、50世帯の小さな集落です。1996年、県民の負担軽減、基地の整理・縮小のためとしたSACO合意、沖縄に関する特別行動委員会により全国でも知られることとなった普天間飛行場の返還、その代わりに辺野古に新基地を造る。そして高江のヘリパッド建設はこれに連動した訓練が可能となる北部訓練場の過半の返還、その代わりに残余の部分に高江集落を取り囲むように6箇所のヘリパッドが造られるというものです。

 これは使用不可能な訓練場を返還し、新型輸送機MV-22、オスプレイが離発着する、オスプレイパッドを建設する。提供水域、海からの上陸訓練とやんばるの森と空をつなげた、一連の訓練が可能となる訓練場です。負担軽減、基地の整理・縮小とはほど遠いまやかしです。やんばるの森は亜熱帯性〓多雨林 00:08:02〓のイタジイの森で、ノグチゲラやヤンバルクイナなど特別天然記念物や、5000種類の動植物、177種の絶滅危惧種が生息する生物多様性の宝庫で、IUCN、WWFジャパンなど多くの自然保護団体が、日米両政府に工事の取りやめや動植物の保全を求めています。また北部訓練場には4つのダムが隣接しており、事故が起きれば水源地が汚染され、県民全体の6割の人の大切な命の水の安全性も問われています。

 高江区ではヘリパッドができ、オスプレイが集落上空を飛び回ったら子育ても生活もできなくなってしまうと1999年、2006年の2回にわたり区民総会でヘリパッド建設反対決議を上げましたが、東村村長が容認に転じ、工事が2007年7月から開始されると同時に私たちは7、8世帯ですが、工事入り口のゲート前で座り込みを始めました。

 1年間、工事が進まないので2008年、国は通行妨害仮処分で私たち、8歳の子供を含む15名を訴えました。結果、共同代表の2名がこれからも妨害をするとし、認められ、本裁判では1人は却下、1人は最高裁まで戦いましたが2016年上告不受理、そしてゲート前には立ってはいけないという命令がされています。

 2013年と2014年にN4のヘリパッド2つが完成し、その後、2年間工事は中断しました。その中、6月にはこのN4での、オスプレイ3機による激しい訓練があり、高江住民は危機感を募らせています。その後、7月11日。参議院選挙の翌日、現職の大臣を落としヘリパッド建設反対の議員を誕生させたのに、9時間後の早朝に北部訓練場メインゲートから基地内に砂利や資材の搬入があり、事実上、工事再開となりました。車両には、ダンプ、ユニックと工事車両だけでなく他府県ナンバーの機動隊のバス、県警の乗用車、パトカーなど、約30台が途切れることなく、この日から毎日メインゲートの中へ入って行っています。この後は24時間体制で沖縄県警、機動隊、民間の警備員が今も米軍の基地を守るために、ゲート前で警備しているのです。機動隊は全国から500人以上、高江に集められたと聞いています。

 防衛局は7月21日までにゲート前のテントと車を撤去しなさい。その後は所有者がいないものと見なします、の貼り紙をし、21日の夕方、いきなり路側帯に駐車禁止の標識を置きました。その夜、私たちは車をゲート前に集め、その車と車の間に座りこみました。朝焼けが時を知らせ、機動隊が北から南から何列もの黒い人の壁となり襲いかかりました。1人1人、両手両足を奪われ、機動隊の人の壁の外へと排除されました。

 それと同時に、朝早く村外からも駆けつけた人たちは3〜4キロ南側と北側で県道での封鎖にあい、1台も座りこみ現場へ行くことはできませんでした。軍隊の戦略を民間人相手に強行したひどいやり方です。座りこみを始めて9年間は、憲法や法、手続き、そして私たちの運動がテントを守っていましたが、政府はこれを一切無視し、テントや車、人を排除しました。無法地帯となった高江。政府の恐ろしさを見ました。排除されたあと、新たなゲートが設置されました。その後、民間のヘリ、自衛隊のヘリを使い、国の総がかりで米軍のためにヘリパッドを建設しています。ここに暮らす高江区民の生活など、まったくないがしろにされていることを実感しました。

 9月26日、年内にヘリパッドを完成させる、安倍首相が所信証明で発表しました。ダンプは1日に最初は10台だったものが30台、最近では60台に増し、工事は急ピッチで進められています。このままではオスプレイが飛び交う集落になり、辺野古同様、100年も200年も次の世代に基地を手渡すことになってしまう。

 他国の軍隊のために、世界にここにしかない貴重な山原の自然を犯され、静かに暮らすことさえできないのか。戦後71年たった今も、沖縄県民は誰のために、なんのために、犠牲にならなければならないのか。国を訴えるという手段で高江の生活を守りたいと思います。基地をなくしていく、それが沖縄の未来を切り開く、私たちの責務です。どうぞ、皆さん、広めてください。どうぞよろしくお願いします。

司会:(英語)

安次嶺現達さん オスプレイ被害について

安次嶺:どうも皆さんこんにちは。高江から来ました、安次嶺といいます。よろしくお願いします。私は今の映像にも見たと思いますけれども、このオスプレイの被害について私たちの家族がこのオスプレイでどれだけ被害に遭って、どれだけ精神的に痛めつけられていることをちょっとお話ししたいと思います。

 私たち家族は14年ぐらい前に本当に素晴らしいこの高江の森、環境の中で、子供をここで伸び伸びと育てたいということで、14年ぐらい前に引っ越してきました。

 私がここに来る前は、嘉手納基地のすぐ近くで何年かずっと生活してたんですけども、やっぱりそこもすごい騒音がうるさくて、今のところに引っ越ししてきたとこもあるんですけども、来てちょっとしたらまたこのやんばるの森もこのオスプレイの騒音がすごい激しくなっています。

 私は今までこういう反対運動とかやったことなかったんですけれども、このオスプレイが来るということで、やっぱり自分たちの生活が騒音に、被害に遭うんじゃないかということで、10年前から声を上げてます。

 で、今現在、本当にこの、もう私たちは10年前からオスプレイが来るんじゃないかと、国にずっと訴え続けてきましたけども、国はそういうのは聞いたことがないとか、来ない、知らないということでずっと隠してきたんですね。しかし3年前に本当にこのオスプレイがこのやんばるの森を飛ぶようになって、すごい被害が今、起きてます。

 このオスプレイが一番うるさいってときは、2週間ぐらいずっと昼間、もう夕方も夜遅くまで、遅いときにはもう11時ごろまで、2週間、毎日続けて飛んでたことがあって、私たちが住んでるとこはほとんど、だいたいもう早くて8時、遅くても9時ぐらいには寝るんですね。寝たかなと思ったらそのオスプレイが飛んできて、それからもう2時間も3時間もずっとこの騒音をまき散らしてる状況です。

 今現在、子供4人と私と妻と6人で住んでますけども、本当にこのオスプレイの騒音で、2週間も続いたら本当に夜は眠れない。寝たかと思ったら起こされて、ちょっと精神的にちょっと今、学校に行けない状況になってます。

 今の状況を私が住んでる東村の役場のほう、あと学校の教育委員会にとにかくなんとかしてくれと要請を出しました。それから村からも防衛局に対して要請を出してますけど、なんの変わりもありません。このオスプレイが高江集落を囲むように6カ所できる計画があるんですね。今現在、2カ所出来上がって、あと今、4カ所の工事が強行に行われてますけども、この残りの4カ所ができたら本当にこの高江に人が住めるのかという、いつもそういう恐怖と怒りと、そういう思いで毎日暮らしてます。

 とにかくこの米軍基地が提供されてしまったら、自分たちがいくら声を上げてもどうしようもないというそういう話も聞いてて、なんとか今の工事が米軍、オスプレイの工事が終わらない前に、今の工事のうちになんとか止めたいっていうことで、今、国を訴えて高江の住民が今立ち上がって、頑張ってるところです。

 ありがとうございます。よろしくお願いします。

小口弁護士より 裁判のポイント

小口:では最後に、弁護士の小口のほうからお話をさせていただきます。ちょっと時間の関係もありますのでポイントを絞ってお話をします。

 工事自体の差し止めを求めて9月21日に裁判を起こしました。法律的には差し止めの裁判と、裁判が終わるまでの間、工事を止めてもらうという仮処分、この2つを提起しています。仮処分の結果は年内に出る見込みです。原告は周辺住民33人、代理人弁護士は30人で私はその1人です。たった2カ月程度で判断をしてもらう必要がありますので、今回の裁判は、争点を騒音に絞っています。

 裁判のポイントを簡単に3つに絞ってお話をします。まず沖縄のことです。沖縄は1879年まで基本的には別の国でした。その65年後、第2次世界大戦において沖縄は地上戦が繰り広げられました。多くの土地が米軍に軍事施設として奪われました。戦争で奪った土地をその後も使い続けるのはハーグ陸戦規定で禁止されていますが、その多くは現在も基地として使われています。ヘリパッドの移設工事というのは北部訓練場の返還の条件になっていますが、沖縄の歴史から見れば過去に奪われたものを返してもらう、ただそれだけに過ぎません。奪われたものを返してもらうのに、なぜ新しいヘリパッドを造らなければいけないのか。これが問題の1つです。

 次に移設工事の内容についてお話しします。北部訓練場にはもともと22個、ヘリパッドがあります。高江の周りにも、もともと12個のヘリパッドがありました。すでに2個のヘリパッドが完成して合計14個のヘリパッドに囲まれていて、唯一ヘリパッドがないのは高江から見て北東の方向ですが、あと4個のヘリパッドはここにできてしまいます。18個に囲まれてしまっては、海からも山からも、縦横無尽にオスプレイが飛び交う状態になります。そして騒音被害というのは、ただうるさいだけではありません。睡眠を妨害し、さまざまな健康被害を生じさせます。日本中では米軍機の飛行機の差し止めを求める裁判が起こされて、騒音被害は違法だということで賠償金が支払われ続けています。

 最後に3つ目に、日本の裁判所の考え方、第三者行為論というのにお話をします。日本の裁判所は第三者行為論という考え方を取っています。簡単に言えば、日本政府にはアメリカの行為を止める権限がないから、裁判所の米軍機の差し止めを認めることはできないという考え方を取っています。じゃあアメリカ相手に直接、裁判を起こせば止められるのかといえば、アメリカには日本の裁判権が及ばないと考えられているので、それもできないといわれています。つまり日本の裁判所では米軍機を止める方法がありません。一度、飛び始めてしまったら止められない。その後は違法な騒音が発生し続けるということになります。それなら飛び始める前に、工事の段階で止めて違法な騒音を防いでほしいというのが、今回の裁判です。

 今回の問題は、高江の問題、沖縄の問題ですが、日本の問題、そしてアメリカの問題でもあります。何より人権と環境の問題です。ぜひ世界中の多くの方に知っていただきたい、声を上げていただきたいと思います。

【連載】沖縄の高江ヘリパッド移設 反対派住民が会見 全文2へ続く