「獲れた天然魚 船ごと買う」流通革命目指し くら寿司が大阪・貝塚に魚市場

回転寿司チェーンくら寿司が、貝塚市に天然魚市場 国産天然魚の本格的販売に乗り出す

記事まとめ

  • くら寿司を展開するくらコーポレーションが国産天然魚の本格的販売に乗り出す
  • 貝塚センターに大規模加工場を整備し、漁港から直送される天然魚のさばく態勢を強化
  • 寿司ネタとして西日本の各店舗に出荷する他、センター内に鮮魚店と寿司店を併設する

「獲れた天然魚 船ごと買う」流通革命目指し くら寿司が大阪・貝塚に魚市場

「獲れた天然魚 船ごと買う」流通革命目指し くら寿司が大阪・貝塚に魚市場

[写真]「くらの不思議な池」は天然魚が泳ぐ海水池(写真左下)

漁港から直送される天然魚のさばく態勢を強化

 回転寿司チェーン「くら寿司」を展開するくらコーポレーション(大阪府堺市)が国産天然魚の本格的販売に乗り出す。貝塚市の貝塚センターに大規模加工場を整備し、漁港から直送される天然魚のさばく態勢を強化。寿司ネタとして西日本の各店舗に出荷する他、センター内に鮮魚店と寿司店を併設し、18日から営業を開始する。「天然魚の消費拡大で日本の漁業を復活させたい」と、天然魚の流通革命をめざす意気込みを見せている。

天然魚の消費拡大で日本の漁業復活へ

 「このままでは日本の漁業が危ない。獲れた天然魚を、船ごと、網ごと全部買う。天然魚の消費を拡大し、日本の漁業を復活させたい」。田中邦彦社長が記者発表で漁業振興にかける意気込みを力説した。センター内に併設された鮮魚店「くら天然魚市場」でも、天然魚を抱えた漁協関係者らとカメラに収まり、一体感を強調した。

 同社は数年来、天然魚を扱うフェアなどを試験的に実施。顧客から評価を受けた半面、天然魚は漁獲量や魚種にばらつきがあり、輸送や加工に伴う扱いが難しいなどの課題が見つかった。

 「天然魚プロジェクト」を立ち上げ、試行錯誤を重ねた結果、各産地に駐在バイヤー配置、独自の輸送ルート開拓、加工を自社完結できる加工センター建設、新鮮な魚をむだなく消費者に提供できる鮮魚店開店などで、課題を解決できると判断した。

お昼は寿司をつまみ魚屋で造りを買って夕食に

 加工能力は1日最大10トン。広い処理スペースを確保し、多様な魚種をさばける自社スタッフを育成の上、今月5日から先行して一部稼働。天然魚は福井、三重、愛媛、高知、兵庫県などの各漁港から直送されてくる。寿司ネタとして加工された食材は、主に西日本地区の200店舗へ出荷。天候が荒れてセンターへの入荷量が少ない日も、加熱する食材作りなどを行うため、人員ロスは発生しにくい。

 新鮮でありながら、寿司店での販売に向かない魚種は、くら天然魚市場で調理方法などの情報を添えて消費者に提供する。くら寿司東貝塚店と天然魚市場が隣接しており、お昼は寿司をつまみ、魚屋で造りなどを調達して夕食にという消費パターンも生まれそうだ。

漁港駐在バイヤーは午前3時に漁師と出船

 記者発表会には同社へ天然魚を納入する漁協関係者らが出席。福井市鷹巣漁港の定置網組合では近年、組合員の高齢化や漁具の老朽化などで将来展望が見込めなかった。

 しかし、くらコーポレーションが提案した契約金額を事前に決める年間契約「一船買い」で、漁港に活気が戻ってきたという。組合関係者は「一船買いで経営計画を立てられるようになった。網や加工場を改良してもっと出荷を増やしたい」と明るい表情で話した。

 鷹巣漁港担当駐在バイヤーの朝は早い。午前3時には漁師とともに出船。同5時ごろ、漁を終えて魚とともに帰港し、ただちに出荷する毎日を繰り返す。天然魚の安定供給には、地元漁師と信頼関係で結ばれた目利きの駐在バイヤーが欠かせない。

 「天然魚の流通革命をめざす」と田中社長。消費者もカギを握る。田中社長は「網の底で押しつぶされかけたイワシが出てくる。見かけは悪くても、すり身にするとおいしい」と、天然魚を賢く活用するライフスタイルへの転換を提案する。

 天然魚市場と寿司店は18日開店。屋外にある「くらの不思議な池」は天然魚が泳ぐ海水池。魚をテーマとするアメニティー性も充実させていく方針だ。詳しくはくらコーポレーションの公式サイトで。
(文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)