生理に関する男女の情報差解消の重要性 男性の生きやすさにも繋がる

生理に関する男女の情報差解消の重要性 男性の生きやすさにも繋がる

「健康経営」を掲げているロート製薬では「スニーカー通勤」など男女ともに健やかに働くための制度を取り入れている(写真/ロート製薬提供)

 ホルモン周期に左右される女性の体。性別に関係なく、生理がどういうものなのかをしっかり理解する必要があるはずなのに、長らく生理に関する話題がタブー視される風潮があった。

 しかし最近は、女性の体に配慮した福利厚生や制度の充実を推進する企業も増加。フェムテックと呼ばれる、女性の健康課題をテクノロジーで解決するサービスや製品も広く普及し始めている。

 女性が快適さを追求することは男性の生きやすさにもつながる。都内在住の会社員、西村亮二さん(38才・仮名)が言う。

「姉が2人いて、昔からよくお使いも頼まれていたので、月経の話題が出ることにそれほど抵抗なく育ってきました。ですが妻は、『男性に生理のことを言ってはいけない』という思いが強かったようで、痛みをがまんしたり、ナプキンは必ず自分で買うようにしていた。それを知らないぼくが生理中に『今日のご飯なに?』と聞いて、キレられてしまって。こっちは事情がわからないので、『なんで急に怒るんだ!』と言い争いになっていました」

 だが、不穏だった夫婦仲は、簡単なきっかけで解消する。

「ある日、インフルエンザと生理が重なってしまった妻が意を決したような顔で申し訳なさそうに生理用品の買い物を頼んできた。姉たちとのエピソードを話しながら『全然大丈夫だよ』とすぐに買いに行きました。

 それ以来『今週、生理だからイライラしてるかも』と、体調や気分を教えてくれるようになったんです。そこから一気に夫婦関係が改善しました。頼ってもいいとわかってくれたからだと思います」(西村さん)

「言ってはいけないこと」として内々に処理されてきた結果、いつまでたってもその実情が理解されず、非常時に問題が起きることもある。2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震では、女性1人につき1個しかナプキンが配られなかった被災者がいたことが、大きな波紋を広げたことがあった。恐らく、生理について詳しく知らない男性職員が、平等に1個ずつ配ればこと足りると思ったのだろう。悪意こそないのだろうが、その無理解さは、月経日を犯罪捜査に使い、それを1つの根拠として女性を逮捕しようとしたこともあるという1970年代の刑事とあまり変わらないのかもしれない。

 ロート製薬では、こうした男女の情報差をなくす意図もあり、女性の体についてまとめた冊子を男女双方に配布している。同社広報の小川未紗さんが言う。

「読んだ男性社員からは『なぜ女性がイライラするのか、なぜつらいのかが、読むまではわかっていなかった』という声が上がっています。女性社員からも『男性上司であっても、月経がつらいから休みたい』と口に出しやすくなったなどという意見もある。社内を見回しても月経の話はタブーではなく『2日目でつらいです』といった会話をオープンに話せる雰囲気があると思います」

 同社社員や西村夫妻のように「不調は自分だけのもの」と思い詰める女性が減れば、パートナーである男性にとっても、いい影響を与えるのではないか。

 フェムテック製品のオンラインサイトを運営し、日本市場をリードしている「フェルマータ」でCOOを務める近藤佳奈さんはこう言う。

「自分をいたわる大切さは男女共通のこと。たとえば『メンズスキンケア』という言葉がありますが、わざわざ『メンズ』とつけなくても、本当は男女ともに肌を大切にできたらいいですよね。これと同様に、『フェムテック』という言葉が当たり前になりすぎて、使われなくなる日が来ることこそが、理想かもしれません」(近藤さん)

 フェムテックを味方につけながら、フェムテックという言葉が地球上からなくなる日を目指したい。

※女性セブン2021年4月1日号

関連記事(外部サイト)

×