それぞれの終活 会社を畳んだドン小西の決断「朝起きて鏡を見たら乳首が…」

それぞれの終活 会社を畳んだドン小西の決断「朝起きて鏡を見たら乳首が…」

「若かった自分とも張り合わない」

 終活とか、断捨離とか、ミニマルとか。長寿社会になり、物質的にも満たされた現代日本では、晩年をどうやって「きれいに」生きるかが人生の大きな課題になっている。『週刊ポスト』(3月29日発売号)では、9人の多彩な著名人が自ら実践している「手ぶらライフ」を語っているが、そこで紹介できなかった各氏のディープな話を改めてお届けする。

 ファッションデザイナーのドン小西氏(70)は「仕事のダウンサイジング」について語ったが、そこに至る心情の変化を改めて詳しく聞いた。

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 今は、金儲けだけの仕事なら「やらなくてもいいや」と思っています。そりゃ40〜50代の頃なら凄い量の服の注文をガンガン受けていたし、がむしゃらに稼ぎまくっていたけど、今は興味がないね。もちろん情熱をもってやるだけやったけど、しょせん目的は金儲けだったから。もっと大事なことがあるんじゃないかと思うと、そのあとは抜け殻のようになっちゃった。今は、その抜け殻を捨てて、芯の部分だけを残している感じだね。

「YouTubeやりましょう」「ネットビジネスをやりましょう」と言われるけど、興味がない。ネットは好きじゃないね。ダサいよ。試着もしないで服が売れるなんて、売る方も売る方なら、買う方も買う方だよ。味わいもコクもないでしょう。ネットでジャージを10着買ってみたことがあるけど、8割は粗悪品で捨てた。セクシー下着も買ったけど、すべてゴミみたいなものだった。包茎の矯正器具みたいなのもネットにはたくさんあるけど、99%は役に立たないまがいもの。そういうものがネットで普通に売れているから不思議な時代だよね。

 僕と同年代でも、これから事業を拡大させよう、店舗を増やそうとしている人がいるけど、何が楽しいんだろうと思う。僕は50代の頃に70億の資産を持っていたこともあるけど、今はもう必要以上に稼ぐことは考えていない。僕自身、何年か前に、ちょっと自分でも納得していない仕事をしていた時期がある。確かに金にはなる。続けていれば年間何億かは稼げたと思うけど、とにかく虚しかった。

 4つの会社を1つにしたけど、あのままやっていれば年間10億はいけた。でも、金だけだと虚しさが出てくる。白米に塩かけただけのご飯を食べてるみたいな味気ない気分になるんだよ。朝起きて鏡を見ると、ほうれい線は出ているし、乳首は2センチは下がった(笑)。そういう自分が40代、50代の真似事をしてもしょうがない。自分の若い頃と張り合うことも意味がない。

 会社を減らすのにはずいぶん金がかかったよ。会計事務所にもすごい金額を払ったしね。時間もかかる。会社を作って、そして整理することは結婚と離婚に似てるよ。

 会社に限らず、自分に自信のない人ほど、いろいろなものを集めたり増やしたりするよね。僕はそういうモノも捨てた。昔は部屋の半分をいろんなモノが占めていたけど、50代の頃に勇気を出してすべて捨てたよ。偉い人が、名刺をなくしたらただのジジイになるってのを何度も見てきた。そうならないためには、ちゃんと「俺は何者だ」ということを人生の早いうちに気づくかどうかだよね。肩書とかいろいろ取っ払ったときに何もなくなってしまうのではダメ。

 仕事も人間関係も、今は要らないものは捨てて質を重視しています。毎晩パーティに顔を出して、お姉ちゃんをはべらせていた頃より、断然カッコいいと思っています。

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