コロナワクチンに不安抱くライター、「時価の寿司店」との共通点語る

コロナワクチンに不安抱くライター、「時価の寿司店」との共通点語る

咲き誇る桜に自然と気持ちが高ぶった、いつもの春が懐かしい…(「染井霊園」の桜)

 緊急事態宣言は解除されても感染者の増加は止まらず、しかし、たくさんの人々が街に繰り出している今の状況に、なんとも言えない気持ちを抱く人も多いだろう。女性セブンの名物ライター“オバ記者”こと野原広子もそんな1人。オバ記者が、モヤモヤするこの状況に、素直な気持ちをぶつける。

 * * *
 先日、アルバイト先の衆議院議員会館を出たら、総理官邸前でマイクを握っている人がこんなことを言っていたの。

「新型コロナウイルスの正体は何なのか、誰か説明できるんですか? ワクチンの効果、ちゃんと説明できる人、いるんですか? 緊急事態宣言を解除した根拠は何? それ以前に、緊急事態宣言にどんな効果があったのか。何ひとつわかっちゃいないじゃないですか! 子供に説明できるようにしてくださいよ」

 早足で前を通りすぎたけど、「そりゃそうだ」と大きくうなずいた私。

 なんたって、去年の2月に安倍晋三前総理は小・中・高校を一斉に休校にしたんだよ。それで卒業式ができずに泣いた子供たちがどれだけいたか。その後にアベノマスク配布。あのマスクにどれだけの意味があったのか、納得のいく説明を誰もしてないんだよね。

 総理の顔が変わったからって、1年前のことを水に流していいわけないと思うんだけど、どうなの? えっ、説明できないものはできないって? こんな態度を政府がとると、末端の私たちも自分がどう動いたらいいのか悪いのか、確信が持てないんだわ。

 先日、「ねぇ、ワクチン、打つの?っていうか、ワクチンって効くの?」と女友達Y子(51才)に聞かれたから、「総理大臣は打ったよね。看護師をしている親戚の子も打ったって言ってたよ」と私。

「でもなぁー、50才を過ぎてから花粉症がひどくなってさ。薬をのんで、くしゃみや咳を抑えているところにワクチン打っても大丈夫って保証、あると思う?」とY子。

 お薬手帳を持っていけば、薬剤師は何らかの判断をすると思うけど、じゃあ、その判断は正しいのだろうか。いまはいいけど、5年後、10年後は? 日本中から“太鼓判”というハンコが消えてしまったみたいで、落ち着いて考えれば考えるほど、不安でたまらなくなる。

 この感じ、何かに似ていると思ったら、「時価」だけの寿司店に行ったときに似てると思った。そんな店に入ったのは、64年の人生で1度しかない。仕事上、恩のある人から「いい店だから行ってみて」と言われ、たいした考えもなくフラリと入ったんだけど、なんとも落ち着かない。

 紹介者の話をすると、「ああ、〇〇さんのお友達ね」と言いながら、着物を着た女将さんが満面の笑みでビールを注いでくれたけど、店内にはビールの値段も表示されていない。メニューもないし、「メニューを見せてください」などと言える雰囲気もない。もし、「梅一人前」なんて言ったらどうなるか……。

 不安いっぱいで落ち着かないんだけど、それを受け入れないことには一歩も先へ進めない。どうなるか確信が持てないけど、とにかく受け入れるしかない。ワクチンを打つって、私にとってはそんな感じがするんだわ。

 結局、その寿司店では、「次の予定が入っている」とその場しのぎの言い訳をして、ビール1本にとどめて、安めの魚ばかりを数貫握ってもらって、1万円でおつりをもらって逃げ帰ってきたけど、気が気じゃなかった気持ちはいまも残っている。

 寿司店なら、ボラれたところでお金でカタがつくけど、私たちがいま直面しているのはお金じゃなくて、自分の命。そのときの風向き次第で、ちょっとした行動の差で生死が分かれるなら、そりゃあ、身を硬くして当然よ。

 国民の多くは不安を抱えている。でも、前進しなければならない。そんなタイミングで緊急事態宣言が解除された。それと歩を合わせるかのように、各局のニュースでは「3月10日頃には7日間平均で262人まで減っていた都内の感染者が、現在は300人程度まで増加している。リバウンドか」などと報道する。

 ブレーキをかけながらの“解除”って、相変わらずのわけのわからなさ。なんともスッキリしない。

 そんななか、今年も東京の桜は満開になったので、緊急事態宣言が解除されようがされまいが関係ないところに、原チャリにまたがって、ひとり花見に出かけたの。

 いま咲き誇っているソメイヨシノの原産地が、東京・駒込の「染井」地区で、その名残りが染井霊園。古い墓石を見ると、明治の初めから中頃に亡くなった人が多くて、無教養な私でも、どっかで聞いたことがある人の墓碑もある。

「陸軍大尉勲一等」がどれほどエライ人かよくわからないけれど、立派な石の門構えに敷石が並び、その先に墓石がドーン。その後ろに、妖艶な桜の木がドーン。

「この見事さを誰かと共有したい」──去年まではきっとそう思ったに違いない。それを思わなくなって、ひとりでいることが当たり前になったことが、コロナ禍の恐ろしさなのよね。

 このモヤモヤの中で、これから何年も生きていく覚悟を決めた方がよさそうかも。

【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。

※女性セブン2021年4月15日号

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