平成最後の私大入試 難関大学も強気に狙えるチャンス到来か

平成最後の私大入試 難関大学も強気に狙えるチャンス到来か

2019年の私大入試は「安全志向」の志望校選びでは後悔する!

 近年、私立大学の入試は「定員厳格化」の影響で厳しさを増している。だが、2019年の入試からその傾向は変わりそうだ。大学通信の安田賢治常務取締役は、「難関私大も積極的に狙えるチャンス」と助言する。

 * * *
 私大の定員厳格化は2016年から始まった。これは国の地方創生政策の一環だ。大都市圏の大規模大学が、地方から入学者を数多く受け入れているために、地方の大学の入学者が減っているという考えから始まっている。

 そこで、大都市圏の地方からの受け入れを制限することで、地方の若者が地元の大学に進学して地方に定着し、地方創生が果たせるというわけだ。2015年までは、入学者が2000人以上の大規模大学で、定員の1.2倍未満まで入学させてもよかった。それが年々減少し、2018年には1.1倍未満まで制限することになった。

 入学者を減らすことは合格者を減らすことにつながる。2015年と2018年を比べると、一般入試の合格者数は立命館大が5853人減、早稲田大が3749人減、明治大が3693人減などと大きく減らしている。2015年には合格していた受験生が、2018年には不合格になったということだ。

 この定員の厳格化に対して、受験生は併願校を増やすことで対抗した。2017年の私立大の志願者は前年に比べて8%増、2018年は7.2%増と激増。志願者が増えて合格者が減ったのだから、入試は厳しくなった。

 倍率(志願者数÷合格者数)をみると、早稲田大は2015年の5.7倍から2018年には8.1倍に跳ね上がっている。同様に青山学院大は5.9倍→8.6倍、専修大は2.9倍→5.4倍、法政大4.8倍→7.0倍、京都産業大は4.0倍→8.3倍などと大きくアップしている。

 この定員厳格化のおかげで、私立大の定員割れは2015年の43.2%から2018年は36.1%に改善し、地方の大学でも定員の充足率が上がっている。ただ、入試が厳しくなったため、難易度50未満の大学で志願者が激増している。

 今の受験生は現役進学志向が強く、浪人しないような併願作戦をとる。もちろん経済的な問題もあるが、特に保護者の意見が大きい。ある進学校の進路指導教諭は、こういう。

「三者面談で、実力相応校をあと2校ぐらい受けておけば? と話したのですが、結果的にはスベリ止め校を増やし、合格したのがスベリ止め校だらけになった生徒がいました。理由を聞いたら、親が実力相応校ではなく、スベリ止めをたくさん受験するように勧めたからということでした」

 安全志向を演出しているのは保護者ということになる。予備校の講師も、「自分の受験時代は入試が厳しかった親が多く、子どもに合格できるところを勧めていることもある」と言う。難関大を目指して浪人生が出るのは例年のことだが、近年はどこも受からずに浪人する受験生も出てきているようだ。

 このような入試状況で、2019年は入学定員の1.0倍にするように文部科学省は求めている。しかも規模にかかわらず全大学だ。2018年の1.1倍から1.0倍に下がるため、合格者数はまた減ると見られていた。

 しかも、昨年までは文科省が決めた倍率を超えて入学させると、ペナルティが課されていた。国からもらえる助成金をカットしたのだ。事実、カットされた大学も出ている。大学の収入に占める助成金の割合が1割程度なことを考えると、やはり、この金額をもらえないのは厳しい。

 ところが、2019年は当初、予定されていたペナルティがなくなるため、それほど厳しく1.0倍に減らさないのではないかとみられている。つまり、合格者数の減少が鈍ると見られているのだ。

 これ以外にも2019年入試の傾向が変わりそうな要因がある。

 2018年の7月に進学校にアンケートを実施した。825校から回答があったが、「私立大の定員厳格化にどう対応するか」の問いに、「併願校を増やすよう指導」59.3%、「センター試験利用入試の受験を勧める」29.2%、「推薦・AO入試の受験を勧める」23.5%──の順だった。これを見ると、2019年入試でも私立大志願者は激増しそうだ。

 センター試験利用入試は一部の私立大を除き、ほとんどの大学で実施している方式だ。センター試験の成績だけで合否が決まる方式がほとんどで、受験料も一般入試の3万5000円の半額以下のところが多く、併願にはもってこい。生徒に勧めやすい方式ともいえよう。しかし、今年はセンター試験の志願者は減少した。2019年のセンター試験の志願者は57万6829人で、今年と比べて5842人、1.0%の減少だ。3年連続増加だったが、歯止めがかかったのだ。

 さらに、推薦・AO入試の志願者が増えているようなのだ。なかでも指定校推薦が好調だという。指定校推薦とは、大学が指定校に定めた高校から出願すると、ほぼ100%合格する方式だ。これを使えば、よほどのことがない限り「出願=合格」になる。しかも受験料が1回分で済む。

 一般入試で併願校を増やすと、受験料がかさんでしまうため、受験生は併願校を増やす対策を取らず、推薦やAO入試で合格を勝ち取る対策をとっているのではないだろうか。そうなると、平成最後となる2019年の一般入試は、志願者がそうは増えないのではないかと見られる。

 大手予備校の予測でも、この2年の激増とは打って変わり、志願者数は2018年並みではないかという。しかも安全志向から難関大を避ける傾向が顕著になっているようだ。

 2019年の私立大入試は、それほど志願者が増えず、合格者も大きく減らさず、ここ2年のような厳しい入試にならない可能性が高まっている。「あの難関私大も受けておけば受かった……」とならないよう、強気に入試に望むのが得策かもしれない。そうはいっても、こればかりはフタを開けてみないと分からないことも確かではある。

関連記事(外部サイト)