美智子さまが被災地の子供たちに贈った14冊の絵本

 2月1日、宮内庁は皇后美智子さまがミュンヘン国際児童図書館の名誉会員に就任することを発表した。

 美智子さまと児童向け図書との縁は深く、童謡「ぞうさん」や「一年生になったら」などの作詩で知られた詩人のまど・みちおの『どうぶつたち』の英訳を担当したこともある。

 また、東日本大震災直後には、知人を通して被災地の子供たちに14冊の絵本を贈った。『おおきなかぶ』、『白いお姫さま』、『スーホの白い馬』、『くるみ割り人形』、『新美南吉全集』(1~4)、『ガラスのうさぎ』、『ともしびをかかげて』、『三月ひなのつき』、『しんせつなともだち』、『でんでんむしのかなしみ』、『龍の子太郎』、『わたしとあそんで』、『わすれられないおくりもの』、『しずかに!ここはどうぶつのとしょかんです』だ。

 1998年、美智子さまは国際児童図書評議会にビデオメッセージを寄せられた。後に『橋をかける 子供時代の読書の思い出』として刊行もされたそのメッセージの中で、美智子さまは「ごんぎつね」の作者として知られる児童文学作家・新美南吉の『でんでんむしのかなしみ』に触れている。

 あるでんでんむしが、ふと自分の殻の中に悲しみが詰まっていることに気付く。自分の背負う不幸を他のでんでんむしに話すも、どのでんでんむしからも、「自分の殻にも悲しみが詰まっている」と返ってくる。そしてでんでんむしは、“悲しみは誰もが持っているもの”だと気付き、嘆くのをやめる──という内容だ。

 皇室ジャーナリストの神田秀一氏が話す。

「皇室に嫁いでからの美智子さまは、決して順風満帆ではなく、苦悩の連続でした。悲しみを抱えながらも、嘆くことをやめたでんでんむしの姿にご自身を重ね合わせたこともあったのではないでしょうか」

 2010年、両陛下は愛知県にある新美南吉記念館に足を運んだ。記念館の学芸員・遠山光嗣さんが振り返る。

「皇后さまは展示ケースに手をつき、身を乗り出すようにして熱心にご覧になっていました。展示室のご見学前に『でんでんむしのかなしみ』の石碑の前をお通りになったときには、陛下が皇后さまに“文学碑があるよ”とお声をかけられたそうです。

 皇后さまが南吉のことを大切に思っていると、陛下もご存じだったからこそのお言葉だったのだと思います。お互いを深く理解されていることが伝わってきました。

 そのあと、両陛下は図書室で地元の保育園児たちへの読み聞かせの様子をご覧になりました。お帰りの際に、皇后さまが何度も何度も振り返って、園児たちに手を振ってくださったお姿が強く印象に残っています」

※週刊ポスト2019年3月22日号

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