逆風の不動産投資 医者や弁護士には「チャンス到来」の理由

逆風の不動産投資 医者や弁護士には「チャンス到来」の理由

「利回りもの」と呼ばれる投資用不動産の価格が下落傾向に

 シェアハウス「かぼちゃの馬車」を巡るスルガ銀行の不正融資や、レオパレスの施工不良アパート問題など、昨年から相次いで投資用不動産業界を揺るがす不正が明るみになったことで、すでに物件オーナーになっている多くの個人投資家が危機的状況に陥っている。だが、「“一部の人たち”には千載一遇のチャンスが巡ってきた」と話すのは、不動産ジャーナリストの榊淳司氏だ。

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 2018年にはかぼちゃの馬車&スルガ銀行の事件、そして2019年に入って、レオパレスの問題がかまびすしい。このどちらもが個人レベルの不動産投資にまつわる問題である。

 実のところ、2017年頃から金融庁が銀行に対して「個人の不動産投資に対する融資は、しっかりと審査しろ」というプレッシャーをかけていた。つまりは「デタラメに貸すな」ということである。

 日本は有史以来の低金利状態が続いており、本来は利ザヤで稼ぐはずの銀行は経営が苦しい。2015年から2016年頃は、個人の不動産投資に対して目に余るような緩い基準で融資が下りていた。その最たるものがスルガ銀行のかぼちゃの馬車オーナーへの融資だった。預金残高を改ざんしたり、売買金額を取引額よりも高く書きこんだ契約書を作成したりするなど、不動産業界の一部では日常風景であったことが俄かにクローズアップされてしまった。

 その結果どうなったのか? 個人の不動産投資に対する銀行融資は極端に審査が厳しくなり、メガバンクからはほぼ融資を引き出せない状態になっている。スルガ銀行にならって積極的に不動産担保融資を行っていた一部の地方銀行や信用金庫も、警戒色を露わにするようになっている。つまり、金融庁などの監督官庁に突っ込まれても、きちんと説明できる融資しか行わなくなっているのだ。

 この「金融引き締め」効果は、2018年の後半から市場に及んできた。簡単に言うと、個人の不動産投資の対象となる「利回りもの」と呼ばれる一棟マンションやアパート、小規模ビルなどの価格が下がり始めたのだ。

 個人で不動産投資を行っている人々は、価格が下落した(利回りが上昇した)そういう物件を買いたいのだが、融資が下りないので買えない状況に追い込まれている。逆に、手持ち物件を売却しようとしても売れなくなっているのだ。

 こういった個人投資家向けの物件情報が、全国紙の広告で目立つようになってきた。普段は不動産投資を考えない人々から買い手を募ろうという動きである。東京や大阪の都心エリアなら、郵便ポストにそういった投資向け物件の広告チラシが盛んに投函されるようになっている。

 こういった動きは、バブルの終焉期ではよく見られる。一般向けの広告を行わなくても買い手が容易に現れるのがバブルの絶頂期。業者が買い手を積極的に探さなければならなくなるのが終焉期。今がまさにその時ではなかろうか。

 では、この後はどうなるのか? 日本銀行が追加の金融緩和でも行わない限り、個人向けの利回り物件はなだらかに市場価格を下げていくはずだ。

 世界の景気も後退期に入ったと目されているので、どこかでこういった動きは加速するはず。中国の経済成長が停まっているし、ヨーロッパもイギリスのEU離脱が控えている。IMFの観測でも世界経済の成長は鈍化するとされている。下落幅がきつくなると、「暴落」に近い状態にもなり得る。

 日本銀行はそういった事態を望まないから金融緩和をやりたい。しかし、金利ゼロでマネーサプライがじゃぶじゃぶになっている現状から、さらに踏み込んでの金融緩和など実質的に不可能である。つまり、日銀には投資用不動産の価格下落は止められない。かといって、スルガ銀行が行ってきたような杜撰な融資を黙認するのも、世論が許さない。

 すでに、投資用の一棟マンションやアパート、小規模なビルの価格は下がり始めている。最盛期に比べると3割ほど売り出し価格を下げている物件もチラホラと見られるようになった。しかし、まだ高い。

 2013年からのアベノミクスと異次元金融緩和で、こういった利回りものは2倍程度に値上がりしてきた。2割や3割値下がりしても、まだ6年前の水準よりも高いのだ。

 そもそも、ここ6年ほどで都心を中心とした一部エリアで日本の不動産価格が異様に高騰したのは「住む」、「使う」という需要が高まったからではない。金利がゼロ近くに下がり、マネーサプライが異次元に高まったからである。

 つまり、実需に拠らざる価格高騰。言ってみればバブルである。そのいびつな価格高騰が、かぼちゃの馬車やレオパレスの事件となって表層化してきたのだ。今後もこの手のバブルの仇花のような事件は頻発する可能性がある。

 そう考えると、下落が始まった利回りものはさらに価格が下がる可能性が高い。売り急ぐ投資家からは時に投げ売りも出てくるだろう。

 だが、これは不動産投資にとっては絶好の買い時でもある。多くの個人投資家は銀行の融資が下りないから買いたくても買えないが、“一部の人々”にとっては、不動産投資における千載一遇のチャンスが巡ってくる。

 この「一部の人々」とはどういう方なのか。それは銀行などの金融機関が堂々と融資を行える属性の人々。金融庁などの調査を受けても、胸を張って「だから貸しました」と言える人々だ。具体的にいえば、医師や弁護士、会計士など、誰から見てもピカピカに光っていて、借金を取りっぱぐれる心配のない、いわゆるライセンサーだ。

 今後数年以内に、ライセンサーにとっては最上の買い時がやってくる。

 では、ライセンサーでない人々はどうすればいいのか。この最上の買い時に、指をくわえて眺めていなければならないのかというと、賢い方法はある。それは「現金を用意する」ということだ。今のうちに現金に変わる金融資産や、あるいはマンションなどの不動産も売却して現金化する。そして、やってくる利回りものの暴落に備えるのだ。

 今までせいぜい5%程度の利回りしか望めなかった物件が、この数年以内に10%か、さらにそれを上回るレベルにまで価格が下がる可能性がある。ライセンサーと現金保有者には、まさに千載一遇の不動産投資チャンスが巡ってくると言っても過言ではない。

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