東寺の仏像搬送プロジェクトに密着、発遣法要〜移送まで

東寺の仏像搬送プロジェクトに密着、発遣法要〜移送まで

「発遣法要」の様子

 約1200年もの間大切に守り伝えられてきた、弘法大師・空海ゆかりの密教の名宝が東京に集う──。

 京都の名刹「東寺」に安置される国宝11体・重要文化財4体の仏像が、東京国立博物館で3月26日から行なわれる特別展「国宝 東寺─空海と仏像曼荼羅」に出展される。史上最多となる、合計15体の仏像は如何にして運ばれるのか。その全貌に迫った。

「京の底冷え」といわれるほど、手足がかじかむような寒さを感じる1月下旬、東京国立博物館での特別展に向けた「発遣(はっけん)法要」が行なわれた。

「仏像には1200年の祈り、魂が込められています。発遣法要とは、そうした魂に一度仏様が本来おられる場所へお帰りいただき、運搬や展示等が安全に行なわれた後、無事にお戻りいただけますよう祈願する大切な儀式です」(東寺の三浦文良・総務部長)

 法要後、2週間ほどかけて1日1体〜数体ずつ、木箱に梱包していく。作業にあたるのは、美術品の梱包・運搬に特化した専門家、日本通運・関西美術品支店のメンバーだ。

 半年以上前に仏像のサイズを計り、どう動かすかなどのシミュレーションを行なう。作業の際は手を消毒した後、直接素手で仏像に触る。布などの手袋では、触れているのかどうかが分かりにくく、ラバー製の手袋では仏像の表面を吸着し剥離させてしまうおそれがあるためだ。

 講堂内は薄暗いため、ライトで手元を照らしながらの緻密な作業が続く。誤って他の仏像を傷つけないよう、そして拝観者の妨げにならないよう配慮しながら行なわれる。

 作業をする講堂そのものも重要文化財のため、一瞬たりとも気が抜けない。特に立像は高さも突起もあるため、梱包に時間がかかる。今回取材した持国天立像の梱包は、朝の9時から作業が始まり、終わったのは17時頃だった。

 梱包された仏像は閉門後、まずトラックへと積み込み、運搬用の特別車両へと運ばれる。講堂から続く作業台とトラックの荷台を、わずかな振動も与えないよう数ミリ単位で高さを調整しながら、特別車両へ積み込んでいく。

 この国宝や重要文化財を運ぶための特別車両はあまりに巨大なため、走らせるだけでも通行許可を取らなければならないという代物だ。セキュリティ上の理由から、残念ながらその姿の撮影は叶わなかったが、前後に誘導車がつき、内部は温度・湿度が24時間管理されるなどして、貴重な仏像をガードしている。

 こうした万全の態勢のなかで、15体は東京へと旅立っていった。

●特別展「国宝 東寺─空海と仏像曼荼羅」/東京・上野の東京国立博物館にて3月26日(火)〜6月2日(日)に開催(月曜と5月7日は休館。ただし4月1日=東寺展会場のみ、29日、5月6日は開館)。詳しくは公式サイト:https://toji2019.jp まで。

※週刊ポスト2019年4月5日号

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