ネット架空請求詐欺 被害に遭う30代女性が急増している背景

架空請求詐欺の被害に遭う30代女性が急増 女性向け「アダルトサイト」から情報流出も

記事まとめ

  • アダルトサイトへの登録や利用料を請求する架空請求詐欺で、女性の被害が急増している
  • 女性向けアダルトサイトや、BL(ボーイズラブ)アニメなどのサイトの情報が流出とも
  • 大手通販サイトの情報が流出し、違法サイトの情報と紐づけられて悪用されるという

ネット架空請求詐欺 被害に遭う30代女性が急増している背景

ネット架空請求詐欺 被害に遭う30代女性が急増している背景

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 アダルトサービスへの登録や利用料を請求する架空請求詐欺といえば、これまでは被害者といえば男性だった。ところが、ネットの文化が成熟してきたからだろうか、最近は女性の被害者が目立ち始めている。なぜ、特定の利用履歴を悪用した被害が女性に広がっているのか、ライターの森鷹久氏がレポートする。

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「出会い系サイト」や「アダルトサイト」などを利用・閲覧したと偽り、不特定多数のネットや携帯電話ユーザーに利用料などの請求を送りつける「架空請求詐欺」。最近では、ありもしない訴訟や裁判を起こすなどと記したハガキを送りつける雑な詐欺も頻発しているが、今、その被害者にとある傾向が見られるようになってきている。特殊詐欺事件などを追い続ける週刊誌記者の証言だ。

「実は女性がターゲットにされるケースが多く見られるようになってきました。ご存知の通り、架空請求詐欺は送りつけられた側に何らかの“やましいこと”がないと成立しづらい。アダルトサイトや出会い系サイトであれば、男性なら誰もが一度は閲覧したことがあるでしょうから、もしかしたら? と思い、請求通りにカネを振り込んでしまう場合がある。こうしたアダルト系サイトのユーザー情報が名簿屋などから流出することで、よりターゲットを絞れるのですが、今は男性だけでなく、女性も狙われています」(週刊誌記者)

 オレオレ詐欺、架空請求詐欺などの「特殊詐欺事件」は全体的に減少傾向にあるが、オレオレ詐欺や還付金詐欺などと比べ、架空請求詐欺は認知件数、被害総額共に大幅に減っている。警察当局の尽力、マスコミによる周知が寄与していることは間違いないが、そうした現状を踏まえて、詐欺師たちは新たな手段を模索し始めた。

「女性向けアダルトサイトのユーザーリストが出回り始めました。BL(ボーイズラブ)アニメや、女性向けアダルトゲーム、そして動画サイトのユーザーが名前やメールアドレス、そして年齢、時にはそこに住所や勤務先まで記載されている。こうしたリストが、女性を狙った架空請求詐欺に利用されています」

 都内の名簿業者の男性がこう話すように、特にネット上のアダルトコンテンツといえば、主に男性向けのものが多かった。近年ではBL作品が広く女性に読まれるようになってきており、アダルトゲームや動画も、女性向けのコンテンツが増えた。この新しいマーケットに目をつけたのが、出版社でもテレビ局でもない、詐欺師たちだったというわけだ。

「男性同様、ネットを使ってアダルトコンテンツを楽しんだというのは、女性にとっても後ろめたい。その隙をつくのです。特にいいのは、メルアドさえ登録すれば有料で購入できるBLなどのコンテンツを閲覧するサイトの会員でしょう。著作権などを無視した違法サイトがとても多いのです。そうした人々に架空請求などで脅しをかければ、カネを支払う可能性は高くなるし、警察や弁護士といった法的機関に相談もされにくい。公には出ませんが、こうした女性たちが被害にあったという事例は当局も把握しているはずです」(前出の週刊誌記者) 出会い系サイトを使った詐欺も、当初は男性が騙されるのみだったことを思い出す。男性は、女性や女性のふりをしたサクラや業者に騙され、下心を存分に弄ばれた挙句、多額の金銭を失った。こうした被害が知れ渡ると、業者は次に女性へとターゲットを広げた。最初は、ジャニーズタレントや俳優であることを匂わせ女性を誘惑するなどという、側から見れば信じられないような詐欺の手法ではあったが、業者によれば一定の成果(被害)があったというから驚いたものだ。

 そして今回のパターンでは、女性らはアダルトコンテンツを利用したことに加え、違法行為に加担しているかもしれないという後ろめたさも感じている。ターゲットにしやすいと狙われた女性たちの元には、架空請求や出会い系サイトのメールが届くだけではすまされない。

 栃木県在住の濱村早希さん(仮名・30代)はかつて、ネット上の違法サイトに会員登録し、多数のBL作品を閲覧していた。そのうち、架空請求などの迷惑メールが1日に多い時で数十通も届くようになったが、その中には結婚相談所や占い屋、さらには女性向けアダルトグッズの専門店から、自宅にダイレクトメールが送りつけられるようにまでなってしまったと話す。

「ネットで知り合い、オフ会で会ったこともあるBLサークルの友人は、架空請求のメールが届き、家族や彼氏に知られたくないと30万円も支払ってしまいました。私は無視していればよい、と動じませんでしたが、実在する結婚相談所などから自宅に直接資料が送られてきたことに恐怖を覚えました。

 BLのサイトに登録する際、確かにハンドルネームや生年月日、メールアドレスなどを登録した記憶はあります。でも住所なんて絶対に書いていない。独身で親と同居しているので、アダルトグッズのカタログが届いた時には本当に焦りました。なぜ登録していない私の住所がバレてしまったのか。朝夕、家族の誰よりも早く郵便受けをチェックするようになってしまった」(濱村さん)

 前出の名簿業者によれば、合法の大手通販サイトに登録された情報が流出し、違法サイトの登録者情報と紐づけられることで、悪用されやすいリストがいとも簡単に作成されているという。

「表の情報と裏の情報が合わさるというパターンです。アダルトサイトや違法サイトなどに実名や住所を登録する人はいないでしょうが、メールアドレスを登録する人は結構いる。通販サイトに実名や住所、そしてメールアドレスを登録していて、そのデータが流出すれば、メールアドレスから個人が特定できます。アダルトや違法サイト利用歴のある個人情報ですから、詐欺だけでなく脅迫にも利用できてしまう」(名簿業者)

 詐欺に使われるだけならまだマシかもしれない。オレオレ詐欺が「アポ電」により強盗殺人事件に発展したように、立場の弱い女性のデータが悪意のあるグループの手に渡ってしまったら、何をしでかすかわからないのである。そもそも、違法サイトなどを利用しない、ということが大前提だが、自身の個人情報が流出してもトラブルを回避できるよう、普段からメールアドレスを使い分けたり、むやみやたらに氏名や住所を出さないなど、防衛手段についてよく考えておく必要があるだろう。

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