参院選で菅vs二階vs麻生が激突 安倍自民怨恨の人間関係

参院選で菅vs二階vs麻生が激突 安倍自民怨恨の人間関係

悲願の幹事長就任は叶うか?(時事通信フォト)

 夏の参院選は自民党の大苦戦が予想されている。選挙分析に定評がある政治ジャーナリスト・野上忠興氏は、自民党幹部たちは「20議席減」の“大敗”を覚悟していると読む。

「自民党は6年前の参院選で大量当選(65議席)した議員たちが改選を迎えるため、今回は大幅に議席を減らすのは確実。甘利明選対委員長は、『目標は自公で安定多数』と語っているが、それは自民党が20議席減の大敗で40議席台しか取れなくても達成可能な数字です」

 だが、議席を20も減らせば、選挙の指揮を執る二階俊博・幹事長の引責辞任論が浮上するのは避けられない。参院選後の内閣改造・党人事は「幹事長ポスト争奪戦」が焦点になる。

“影の総理”として官邸を仕切る菅義偉・官房長官は次は幹事長を希望するとみられており、岸田文雄・政調会長も幹事長就任が悲願だ。麻生太郎・副総理も自分の派閥から後釜の幹事長を出そうと虎視眈々と狙っている。

 しかし、二階氏は選挙に負けても幹事長の座を譲る気はない。二階氏が大阪で菅氏、福岡で麻生氏との代理戦争を仕掛けたのは、「地方選で2人を敗北させ、参院選後の“二階降ろし”を防ぐための戦術」(自民党ベテラン)と見られている。

 幹事長の座を脅かすもうひとりの政敵、岸田氏にも参院選で露骨に“ケンカ”を吹っかけた。岸田氏の地元・広島選挙区(改選2)には岸田派現職がいるにもかかわらず、二階氏は「2議席独占は可能だ」と自民党から2人目の候補を公認した。自民党候補同士の“骨肉の争い”を強いられる岸田派議員は「うちの派閥に刺客を送ってきた」とカンカンだ。

 そればかりか、二階氏は旧民主党の細野豪志氏(衆院静岡5区)、鷲尾英一郎氏(衆院新潟2区)をスカウトして党内の批判を浴びながら、参院選ではさらに旧民主党の元議員3人を二階派から比例代表に出馬させるという野党人材を利用した派閥拡大戦略に走っている。

「政治家は当選すれば正義。二階さんは派閥の勢力拡大で幹事長留任の足場を固めながら、静岡と新潟の野党陣営の要だった細野と鷲尾を引き抜いて野党の参院選準備を混乱させようとしている」(二階派議員)

 まさに自分の立場を守るために、党内紛争の十字路で敵にも味方の自民党にも鉄砲を撃ちかけている。不気味なのは、安倍晋三首相がそんな二階氏の“ケンカ上等”に高みの見物で、事態収拾に動かないことだ。

「総理は菅官房長官の力が突出するのを警戒しており、実力者たちが互いに足を引っ張り合うのはむしろ都合がいいと考えている」(安倍側近官僚)

 そうなると対立の連鎖は参院選の先、来年の東京都知事選へと続いていく。

 都知事選は小池百合子・都知事が二階氏の「全面支援」で再選をめざしているのに対し、小池氏と五輪の主導権争いをしてきた森喜朗・元首相―麻生副総理の文教族ラインは橋本聖子氏ら対立候補を擁立する構え。そこに菅氏とパイプが太い橋下徹氏が出馬すれば、それこそ二階vs麻生vs菅の三つ巴の大混戦に発展する。

 新元号で最初の国政選挙を3か月後に控え、日本政治は安定の時代から群雄相食む時代に突入する。

※週刊ポスト2019年4月12日号

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