レモンサワー市場が過熱 ハイボール客をめぐる駆け引きも

缶チューハイ市場でレモンサワー強化 サッポロビール、サントリーなどが“深堀り”

記事まとめ

  • 若者を中心に人気のレモンサワーは、缶チューハイ市場でも強化する動きが活発だという
  • サッポロビールからは新しいレモンサワー「レモン・ザ・リッチ」(3種類)が発売される
  • 日本コカ・コーラやサントリーもレモンサワー市場を深掘りしている

レモンサワー市場が過熱 ハイボール客をめぐる駆け引きも

レモンサワー市場が過熱 ハイボール客をめぐる駆け引きも

進化系サワーの需要を創出したい──と意気込むサッポロビールの新レモンサワー

 近年、若者を中心に人気のレモンサワー。居酒屋でもレモン果実を贅沢に使った“進化系レモンサワー”を名物にする店が増えている。一方、市販の缶チューハイ市場でもレモンサワーを強化する動きが活発で、「ポストハイボール」への期待が高まっているが、果たしてその勢いはどこまで続くのか──。経済ジャーナリストの河野圭祐氏がレポートする。

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 4月2日、サッポロビールから新しいレモンサワー、「レモン・ザ・リッチ」(3種類)が発売される。同社からは「キレートレモンサワー」という商品も出ているが、若年世代を中心にレモンサワー人気が高まっていることから、さらに需要を取り込もうというわけだ。サッポロの高島英也社長はこう語っている。

「外食市場でレモンサワーが本当にブームです。最大の理由は食中酒になること。いろいろなものを食べながら、レモンサワーだったらスッとイケる。また、缶チューハイでもレモンフレーバーは人気で、(スーパーなどで)やっぱり皆さん手に取られています」

 サッポロのニュースリリースには、〈外食業界では「ポストハイボールはレモンサワー」と言われ、さらにこだわり系、濃いレモン系などの「進化系レモンサワー」にトレンドはシフトしており、家庭用でも「進化系レモンサワー」の需要を創出する〉とある。

「レモン・ザ・リッチ」のこだわりは、レモン果汁にレモンの果皮、レモンオイル、レモンパルプを加えた果汁を使用したことにあるという。開発したのは、飲料メーカーのポッカサッポロフード&ビバレッジ。2013年にポッカとサッポロ飲料が経営統合して誕生した会社だが、ポッカといえば、代名詞にもなっている「ポッカレモン」がある。

「そこで我々にしかできないことをやろうということで、ポッカサッポロが持っているレモンの特徴的なノウハウを、この缶商品に詰め込みトライしてみました」(高島社長)

 3種類の「レモン・ザ・リッチ」はすべてアルコール分は5%で、「濃い味ドライレモン」「濃い味レモン」「濃い味ビターレモン」。3種類のレモンサワーといえば昨年5月、日本コカ・コーラが九州エリア限定で出した、「檸檬堂」の「定番レモン」(アルコール度数5%)、「塩レモン」(同7%)、「はちみつレモン」(同3%)が思い出される。

「私も『檸檬堂』の商品は飲んでみましたが、缶のパッケージデザインがカッコいいし、かわいい。将来、どう全国展開に持っていくのか、興味があります」

 昨年、高島氏はこう語っていたが、もともと日本コカ・コーラは広告宣伝やマーケティングの巧みさで定評がある。「檸檬堂」の出荷数量は計画比の2倍とも言われ、今年1月にはアルコールプロジェクト統括部も発足。

 さらに2月には、やはり九州限定ながら「檸檬堂」の4つ目の商品となる「鬼レモン」(アルコール度数9%)も投入している。いつ九州以外のエリアにも展開を広げるのか、気になるところだ。

 一方、伸長を続ける缶チューハイ市場で、「氷結」擁するキリンビールに対し、「-196℃ストロングゼロ」を主力にキリンと2強を形成するサントリースピリッツも、レモンサワー市場を深掘りしている。

「-196℃ストロングゼロ」も3種類あり、「ダブルレモン」は、果実の浸漬酒と果汁をダブルで使用し、アルコール度数高めの飲みごたえと、しっかりとしたレモンの果実感が特長だ。

 また、「ビターレモン」は、ほろ苦さを引き出したレモンピール(果皮)浸漬酒とレモンまるごとの浸漬酒を使用し、レモン果皮本来のほろ苦さが楽しめる、甘くないすっきりとした味わいが特長。「瞬間レモン」は、たっぷりの浸漬酒(ダブルレモン比1.2倍)に果汁を加え、ガス圧を強めに設定し、1口目から瞬時に広がる果実の香味と爽快な炭酸の刺激が特長、というのがサントリー側の説明だ。

 さらに昨年2月、「こだわり酒場のレモンサワーの素」という濃縮タイプの瓶商品を売り出したところ、想定以上にヒット。これを受けて今年は、3月5日から缶商品で「こだわり酒場のレモンサワー」(アルコール度数は7%)も投入した。レモンをまるごと漬け込んだ浸漬酒と、複数の原料酒をブレンドし、レモンの味わいとお酒の旨みがしっかり感じられる中味が特長だとしている。

「初動としては好調なスタートを切っており、お客様の評判も上々。缶には手軽さ、瓶には自分好みの濃さでお楽しみいただけるなど、それぞれのメリットがある。レモンチューハイとレモンサワーは、特に違いはないと考えており、商品特性に応じて商品のネーミングとして使い分けています。

 当社も多くのレモンフレーバーチューハイを発売しており、商品間の多少のカニバリはあるかもしれませんが、お客様がレモンサワーに求める価値は多様化しており、それぞれのニーズにあった商品を投入することで、市場はさらに活性化できると考えています」(サントリーホールディングス広報部)

「こだわり酒場のレモンサワー」についてのエクステンション(味わいやアルコール度数の多様化)も「様々な可能性を検討している」(同)というから、販売が拡大すればあり得そうだ。

 レモンサワー市場はここ数年大きく伸長し、昨年は家庭用市場で1割強、業務用市場で約2割、前年比で伸長した推定されるが、サントリーでは「ただし、ハイボールはブームではなく、定番の飲み方として定着していると考えており、レモンサワーをポストハイボールとは捉えていない」(同)と言う。

 この点はハイボール王国のサントリーと、レモンサワーにポストハイボールを期待するサッポロとでは、思惑に温度差がある。

 今年、レモンサワー商品の強化に乗り出したサントリーとサッポロ、新商品を追加したコカ・コーラ陣営と話題が増える中、レモンサワー市場の陣取り合戦は、さらにヒートアップしそうだ。

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