坂東眞理子氏 「70代はコンビニでも介護施設でも働くべき」

坂東眞理子氏 「70代はコンビニでも介護施設でも働くべき」

『女性の品格』は330万部を突破した

「70代は晩年である」という考え方はもう古い。330万部を突破したベストセラー『女性の品格』の著者で、新刊『70歳のたしなみ』も話題の坂東眞理子氏(昭和女子大学理事長・総長)が、70歳から「終わった人」にならないための生き方を提案する。

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 人生100年時代と言われるなか、70代は30代や40代のように仕事や子育てに追われることもなく、50代や60代のように人生の新しいステージに対する焦りや不安もない、心にゆとりを持って人生を俯瞰することができる年代です。新しいゴールデンエイジ――人生の黄金時代なのです。

 この時期に始めるべきなのは、いかに死ぬかの準備である「終活」ではなく、その先の高齢期をどう生きるかの準備「老活」です。

◆「専業祖父」になるのもいい

 まず70代は、少しでいいから仕事を持つべきです。労働力不足の日本はコンビニの店員や介護施設など、高齢者が働く場所はいくらでもある。働くことで人から感謝されれば幸福感も増しますし、健康増進や認知症予防にも役立つうえ、老後資金の足しにもなる。

『週刊ポスト』には「75歳まで働かせるのか!」と怒りの見出しが躍っていましたが、今の70代はまだ元気で働き盛り。若さを保つ最大の秘訣は働き続けることで、「能力も意欲も時間もある75歳にもっと仕事をよこせ!」と要求すべきです。

 仕事でなくても、70代は「人生の新しいステージ」だと思って色々なことに挑戦してほしいですね。私の知人は定年後に大学院に入り、それまでかかわりのなかったテーマの研究に没頭しました。NPOでボランティアをしたり、水墨画や俳句といった新たな趣味や、小説執筆など子供の頃からの夢に取り組んで大変活き活きしている方もいる。

 この時期は「キョウヨウ(今日は用がある)」と「キョウイク(今日は行くところがある)」が大事になるのです。家でゴロゴロしながら妻に「おい、お茶」と言うだけではすぐボケるので、積極的に外出して人と交流してもらいたい。私の知人には、「専業祖父」を名乗って7歳と3歳の孫の子育てに励む方もいます。

 肝心なのは、誰かに誘われたり頼まれるのを待つのではなく、自ら動いて仕事や用事、外出先を見つけること。

 自分が興味のあるテーマなら老活が長続きしやすい。年齢を理由に「いまさら」「もう遅い」と諦めるのではなく、自分は「まだ不完全で未熟」だと自覚すれば、70代でもさらに成長できると思います。

 難しいのは、会社の中で成功して、会社から大事に扱われてきた男性ほど、定年後に新しいスタートを切りづらくなってしまうことです。

 この人たちは自分が大事にされない環境で生き抜く力がなく、リタイアと同時に、自分が使い道のない「終わった人」になったと思いがちなのです。現役時代の栄光にすがり、「俺を誰だと思っている」という意識が邪魔をして定年後の活動がはかどらない人に伝えたいのは、「他人はあなたの歴史に興味がない」ことですね。

 私も内閣府の初代男女共同参画局長を務めて退官した際、多少の自尊心はありましたが、一般の人から「郵便局の局長とどっちが偉いの?」と聞かれてハッとしました。自分がこだわる過去や肩書きは、他の人にはまさに他人事なのだと知らされ、ずいぶんと気が楽になったものです。

※週刊ポスト2019年4月19日号

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