コンビニ「袋パン」最前線 人気不変のメロンパンも劇的進化

コンビニのパンが劇的に進化 ファミリーマートは大きいウインナーなどが売れ筋

記事まとめ

  • コンビニで陽気が良くなると売上が伸びるパンについて、ジャーナリストが取材している
  • ローソンは新シリーズ『マチノパン』を展開、おしゃれで独創的な名前のパンが並ぶ
  • セブン−イレブンは、メロンパン・コロッケパン・あらびきジューシードックが売れ筋

コンビニ「袋パン」最前線 人気不変のメロンパンも劇的進化

コンビニ「袋パン」最前線 人気不変のメロンパンも劇的進化

バラエティ―豊かになったコンビニ袋パン(セブン店頭で)

 数あるコンビニ商品の中で、陽気が良くなってくると売り上げが伸びると言われるのがパン。特に持ち歩きしやすい「袋パン」は、アウトドアシーズンにピッタリなため、GW商戦も熱くなっている。今や売れ筋は、定番ばかりじゃない。大手3社、個性を出し始めたパン売り場をコンビニジャーナリストの吉岡秀子氏が取材した。

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 フランスパンに、くるみパン……香ばしい小麦の香りが漂ってきそうな店内。といっても、ベーカリーショップではない。ローソンがこの3月から始めたベーカリー新シリーズ「マチノパン」が並ぶ売り場だ。

 袋に入ったコンビニパンといえば、メロンパンやカレーパンなどが人気商品で、ヘビーユーザーは「袋パン好きなミドル世代」というのが業界の常識だ。それが最近、様子が違う。

 売り場をみると「マチノパン フランスパンのフレンチトースト2個入」(150円)や「マチノパン チーズ!チーズブール」(180円)など、おしゃれで独創的なネーミングのパンがずらり。

 以前から、通常の「ローソンベーカリー」や健康志向の「ナチュラルローソンブランド」など数種類のパンシリーズがあった。それなのに新しいシリーズを作ったのにはわけがあるという。中食商品本部の村田文子さんはこう話す。

「メイン客層の30〜40代男女を主なターゲットに、さまざまなパンを作ってきましたが、お客様にヒアリングをすると『(パンが)代わり映えしない』『そもそも袋パンに期待していない』という意見もあったのです。改めて皆様に満足いただけるパンとは何かを考えました」

 市販のパン市場に目を移すと、約2兆7800億円と緩やかに拡大しているが、トレンドは「本格具材のパン」や「健康的な付加価値のあるパン」(2017年/富士経済調べ)。従来のコンビニパンのイメージとマッチしているとは言い難い。スタイリッシュな「マチノパン」シリーズを売り場に加えたのもうなずける。結果、トレンドに敏感な女性客の購入が目立ち、発売直後は売り上げが通常の約20%アップしたという。

 特に人気が高いのは、前出の「フランスパンのフレンチトースト2個入」。外側の香ばしさと中のもちっとした食感が絶妙だ。また、うす皮のあんぱん「マチノパン あんこ天国」(150円)もオススメ。パンなのかあんこの塊なのか、迷うほど大量の“あん量”は、甘党にはたまらない。

 こうした“脱・コンビニパン”路線が今、顧客の獲得に一役買っている。

 大定番の袋パンの質を徹底的に追求し、根強いファンを離さないのがセブン−イレブン(以下セブン)だ。

 セブンのパン売り場に並ぶのは、平均して菓子パン25種、惣菜パン15種。他のチェーンよりやや少ないと思うかもしれないが、圧倒的に売れている商品があるのが強みだ。売れ筋トップ3を尋ねると「メロンパン・コロッケパン・あらびきジューシードック」だという。

 セブンの袋パンの特徴を一言でいえば「手づくり感」があることだ。専用工場で調理する手間ひまは、これまた“町のパン屋さん”と比べてそん色ない。

 人気の「芳醇なソースで味わうコロッケパン」(128円)に注目すると、2〜3年前にパンを「縦カット」から「横カット」に変えたことで、より大きなコロッケを挟むことができ、食べ応えがぐんとアップした。

 メリットはまだある。商品本部デイリー部の三好崇司さんによると、「(横にカットすることで)パン生地の空気に直接ふれる部分が減り、生地のしっとり感をキープできるようになった」という。

 なんともマニアックな視点だが、確かに縦にカットしたコッペパンより、横カットにしたほうがふわふわだ。細かいことだが、地味な袋パンにも入念なおいしさアップの工夫が詰まっている。

 こだわりはパンだけでない。コロッケは工場で揚げ、ソースも野菜や果物を加えてコクを深めたオリジナルを使用しているのも、専用工場を持つセブンならでは。「コロッケパンやあらびきジューシードックは購買客の7割が男性。特にコロッケパンは中高年の方に人気です」(三好さん)

 女性客支持率の高いローソンのパン、男性客の胃袋をわしづかみにするセブンの硬派パンと、近年、ここまで各社の袋パンに個性が出たのは珍しい。

 驚くことにファミリマート(以下ファミマ)の人気パンは、2社とはまた一味違う。オリジナルの菓子パン・惣菜パンを刷新して新ブランド「ファミマベーカリー」を立ち上げたのは1年半ほど前のこと。通常のパンと高い付加価値をつけたパンと、ラインアップを拡大させ、売り上げは好調だ。

 約100種もある品ぞろえのうち、売れ筋トップ3は「大きいウインナー・あらびきチョリソーソーセージ・しっとりケーキ(チョコ)」。これだけ見るとセブンと同様、男性ファンが圧倒的なのではと思うだろうが、デリカ食品部の中川秀一さんによると、「女性の社会進出に伴い、家族で食べられ買い置きの利く、複数個商品が伸びている」そうだ。

 複数個商品とは、「チョコチップスナック」や「なめらかクリームパン5個入り」、「なめらかチョコクリームパン 5個入り」(いずれも100円)など、いわゆるファミリーパックのようなパンのこと。

「リニューアルしてさらにおいしくしただけでなく、シールド乳酸菌入りなど健康訴求したメニューを増やしたところ、複数個入りのパンは2017年以降、20%前後のアップが続いています」(中川さん)

 主婦層やシニア世代の来店が増えたことでパンにも“シェアニーズ”が高まってきた。加えて1袋100円前後とコスパがいいのもウケている理由だろう。

 このように、三社三様になってきたコンビニ袋パン戦略だが、変わらないことがひとつある。「袋パン王はメロンパン」と、ローソン・セブン・ファミマが口を揃えたことだ。そこで、3社の2019年の新作メロンパンを見てみよう。

【ローソン】香るバターのサックリメロンパン(116円)
 ふんわりしっとり食感のパン生地に、バターの風味が楽しめる。アーモンドプードル(アーモンドを粉末状にしたもの)とたまごを使用したバタークッキーのようなサックリ食感のクッキー生地が特徴。

【セブン】サックサク食感!バター香るメロンパン(127円)
 外はサックリ、中はしっとり食感にこだわる。クッキー生地はマーガリンではなく、バターだけを使うことで香りを強調。SNS上には「皮のシュガーコーティングがすごい」という反響も。

【ファミマ】ホイップメロンパン(138円/5月7日より全国発売)
 ミルクホイップと塩バニラホイップの2種のクリームをはさんだメロンパン。ミルクのコクとすっきりとした甘さがメロンパンと合う。昨年大好評だったため、リニューアルしたという人気商品。

 気づかないうちに、コンビニ袋パンは劇的な進化を遂げている。いつもより長いGW、食べ比べてみてはどうだろう?

※価格は税込み。写真は各社提供

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