ヤクザと選挙、山口組の民主党推しや安倍氏宅火炎瓶騒動など

ヤクザと選挙、山口組の民主党推しや安倍氏宅火炎瓶騒動など

山口組本部への家宅捜索(2019年4月)

 統一地方選から休む間もなく、永田町は7月の参院選に向けた臨戦態勢に入った。地元企業、労働組合、宗教団体……さまざまな集票組織がひしめく中、政治家が絶対手を出してはいけない“禁断の果実”が暴力団である。だがいけないと知りながら、ヤクザに頼ってしまう政治家は後を絶たないという。ノンフィクション作家の溝口敦氏とフリーライターの鈴木智彦氏が、政治家とヤクザの繋がりについて語りあった。

鈴木:政治家とヤクザは、ちょっと前までは不可分の関係でした。2000年頃かな、住吉会系の事務所の組長にインタビューしてたら、「ピンポーン」とベルが鳴って、若い組員が話してるんですよ。そうしたら組長が今も現役の国会議員の名前を挙げて、その秘書だと。選挙のお願いに来ていたみたいだった。

溝口:暴力団は組員を動かして本来は選挙に行かないような人たちを投票に行かせられる。集票組織として使えるわけです。

 かつて六代目山口組が、弘道会(司忍・六代目山口組組長の出身母体)を中心に「民主党を推そう」ということになって、動いたことがあったんです。2007年の参院選の頃でした。

鈴木:ありましたよね。民主党が打診したわけでもないのに、なんであんな動きをしたんでしょう。

溝口:弘道会系のフロント企業(暴力団が経営に関与する企業)と、民主党の支持基盤である企業労組との関係があったんじゃないか。そこで、恩を売るために動いたということだと思います。弘道会なんかは、組員以外にも家出してぶらぶらしているような若者たちに事務所でタダ飯を食わせて組員や周辺層にするといったことを長年やってきた。彼らに住民票を移させて選挙にも動員していた。

鈴木:なるほど。あと、政治家にとってヤクザと付き合うメリットは、裏のお金を融通してもらえるということですよね。

溝口:選挙の時に、いわゆる「実弾」を配るということ。反対に、敵対陣営の選挙妨害にヤクザが使われるケースもある。

鈴木:2000年に安倍(晋三)首相の自宅や事務所に火焔瓶が投げ込まれて、工藤会の組員たちが逮捕された事件がありましたね。

溝口:前年にあった下関市長選で、安倍事務所に依頼されて反安倍陣営への選挙妨害を行なったと主張する地元ブローカーと暴力団組員が、その報酬がないと言って火焔瓶を投げ込んだという経緯が裁判で明らかになった。

鈴木:安倍事務所は関係を否定しています。

溝口:そういえば安倍昭恵夫人と会ったそうですね。

鈴木:俺の書いた『サカナとヤクザ』という本で密漁問題に興味を持ったらしく、話を聞かせてほしいというので会食してきたんです。そうしたら『フライデー』(5月10・17日号)に撮られて「安倍昭恵夫人の『酔いどれ懇親会』がまた始まった」という記事が出てしまって。

溝口:それは貴重な体験だね(笑い)。

鈴木:政治の話は出ませんでしたが、最近も元暴力団幹部が安倍首相や昭恵夫人とイベントで撮ったとされる写真がSNSで出回っていたことは伝えました。真偽は不明だし、ただの記念写真だからそれだけで「黒い交際」となるものでもありませんが。

溝口:そういうケースはよくありますよ。

●みぞぐち・あつし/1942年東京浅草生まれ。早稲田大学政経学部卒。『食肉の帝王』で講談社ノンフィクション賞を受賞。『暴力団』、『山口組三国志 織田絆誠という男』など著書多数。

●すずき・ともひこ/1966年北海道札幌生まれ。『実話時代』の編集を経てフリーへ。『潜入ルポ ヤクザの修羅場』など著書多数。近著に『サカナとヤクザ』、『昭和のヤバいヤクザ』。

※週刊ポスト2019年5月17・24日号

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