ニトリ会長、ネットとリアルが相互侵食する中でどう戦うか

ニトリ会長、ネットとリアルが相互侵食する中でどう戦うか

似鳥会長が好調の理由を明かす

 家具やインテリア雑貨を手がけるニトリホールディングスは平成の30年を通じて右肩上がりの成長を遂げた。同社を率いる似鳥昭雄会長(75)は“経済予測の達人”として財界に名を轟かせている。同氏は、米国の現状を見れば10年、15年後の日本を読むことができるという。そんな中、米国で発生している事象で似鳥氏が注目しているのが、アマゾンがホールフーズという食品スーパーを傘下に収め、ウォルマートがネット分野に力を入れ売り上げを増やすなど、ネットとリアルの巨人同士がお互いの得意分野を侵食していることだという。

──ネット企業とリアル企業の相互侵食が進む中で、どう戦いますか?

似鳥:当社ではネット通販ビジネスを10年ほど前から始め、2019年2月期には389億円の売上規模になっており、特にここ3年は平均して約3割増しで増えています。特徴的なのは、ネット通販が増えた分、リアル店舗での売り上げが減っているわけではないこと。ネットで当社の商品を見たお客様が、店舗に来られて実際に商品を手に取ってお買い求めになるケースも増えており、総じて言えば家具類はeコマース比率が高く、ホームファッション分野は店頭でという方が多い。

 リアルとネットの両方を、思っていた以上にお客様が柔軟に使い分けていますね。ネット通販は売上げ比で現状、6.4%ですが、これをまずは10%に、将来的には20%まで引き上げていく予定です。

──似たような業態のライバルも増え、戦いは厳しさを増すのでは?

似鳥:当社の競争相手はかつてならホームセンター、あるいは総合スーパーといったところでしたが、変わってきている。どの業界も総じて市場が縮んできているので勢い、競争が業界の垣根を越えて激しくなっています。実際、商社がコンビニを傘下に置くようになり、メーカーも小売り分野まで下りてくるようになっている。

 ほかにも、食品といえばスーパーかコンビニという状況でしたが、そこにドラッグストアも本格的に進出するようになった。いまや、川上の製造業、川中の卸売業、川下の小売業が渾然一体となって、あるいは新たに異分野に進出して、複合的な戦いになってきました。

【PROFILE】にとり・あきお/1944年樺太(サハリン)生まれ。株式会社ニトリホールディングス会長。北海学園大学経済学部卒業。広告会社へ就職した後、札幌市内に「似鳥家具店」創業。1986年、社名を「ニトリ」に変更。2002年東証一部へ上場。32期連続の増収増益を果たしている。

●聞き手/河野圭祐(かわの・けいすけ)/1963年、静岡県生まれ。ジャーナリスト。経済誌編集長を経て、2018年4月よりフリーとして活動。流通、食品、ホテル、不動産など幅広く取材。

※週刊ポスト2019年5月17・24日号

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