なぜ今、「女性宮家」創設議論が再燃しているのか?

なぜ今、「女性宮家」創設議論が再燃しているのか?

愛子内親王はあと3年で20歳に(写真/JMPA)

 生前退位を可能にした「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」には、退位後の立場、新天皇の即位といった“本題”の他に、次のような附帯決議が明記された。

〈安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題である〉

 かねてより、皇統の将来は懸念されてきた。戦後に制定された現行の皇室典範では、皇位継承者を「男系の男子」に限定している。女性皇族は結婚と同時に皇族の身分を離れ、その後の人生を「民間人」として過ごす。

 この2つの規定が、将来的に皇位継承者が不在となり皇統が途切れる可能性と、公務の担い手が減っていく未来を招いている。

 改元前の3月、菅義偉官房長官は「ご即位された後、そんなに時間を待たないでこの問題の検討に入る」、と明言していた。それだけに、各世論調査は今後の皇室の在り方に関する質問を投げかけた。

 産経新聞社とFNNが5月11日、12日に合同で行なった世論調査では、男系継承の伝統を変えることになる「女系天皇」の賛成が64.2%。女性皇族が結婚後、宮家を創設して皇室に残り活動する「女性宮家」の賛成が64.4%だった。

 ところが、同じ調査では「女系天皇」と「女性天皇」の違いを「理解していない」という人が、半数を超えていた。

 代替わりを終え、皇室への注目度が増している今だからこそ、“よくわからないけど賛成”あるいは“よくわからないけど反対”という状況が変わっていく必要があるだろう。皇室典範改正論議をポイントに分けてその論点を見ていく。

◆なぜ今、「女性宮家」創設議論が再燃したのか?

 上皇・上皇后は、在位中、年間300件以上の公務を行なっていた。今後は、天皇・皇后や秋篠宮皇嗣夫妻、眞子内親王、佳子内親王が公務を分担し務めていくことになるが、前述したように女性皇族は結婚すると「皇籍離脱」して皇族ではなくなるため、公務を担えなくなる。

 上皇・上皇后を除くと、現在の皇室には天皇の他に15人の皇族がいる。そのうち、未婚の女性皇族は6人。愛子内親王以外の5人は成人しており、小室圭さん(27)との婚約が内定している眞子内親王をはじめ、結婚による皇籍離脱が考えられる世代だ。女性皇族が皇室を離れる事態が連続すれば、皇室活動そのものが立ち行かなくなることさえあり得る。

 そこで持ち上がったのが、女性皇族が宮家の当主として結婚後も皇室に残り、公務を担えるようにする「女性宮家」の創設だ。

 同様の議論は、民主党政権下の2011年頃にも行なわれた。当時の羽毛田信吾・宮内庁長官が、皇族の減少が皇室全体の活動に支障をきたすことを憂慮し、当時の野田佳彦首相に女性宮家の創設検討を要請した。皇室ジャーナリストの神田秀一氏が解説する。

「宮内庁長官の要請ですから、当時の天皇・皇后両陛下のご意向を受けていたと考えるのが自然です。その後、有識者へのヒアリングを経て、2012年10月に女性宮家創設のための皇室典範改正へ向けた論点整理が発表されましたが、直後に2度目の首相就任を果たした安倍晋三首相が白紙撤回しました」

 以降、議論は進むことなく時間だけが過ぎた。それが、代替わりをきっかけに「公務の担い手の減少」という喫緊の課題が知れ渡ることになり、議論が再燃した。

◆女性宮家で、眞子内親王、佳子内親王はどうなる?

 前述した論点整理では、愛子内親王、眞子内親王、佳子内親王の3人に限定して女性宮家を創設する方針が示された。『皇室典範と女性宮家』などの著書もある京都産業大学名誉教授の所功氏が言う。

「今の皇室典範のもとで生まれた皇族女子は、結婚したら皇籍を外れることを前提に育てられています。ご本人たちも、それに沿って進路を考えてこられたことでしょう。そのうち、愛子内親王以外は成人ですから、急に“皇室に残ってください”と路線変更を求められても難しいであろうことを配慮して、慎重に迅速に議論を進めなければなりません」

 さらに事態を複雑にするのは、7年前と状況が変わっていることだ。

 眞子内親王は、ニューヨーク・フォーダム大学に留学中の小室さんと「婚約内定」の状態にある。

「眞子さまが皇籍を離脱した後に皇室典範が変わり、佳子さまが結婚後に女性宮家を創設したとなれば、姉妹にもかかわらず、“姉は民間人、妹は皇族”という状況が生じます。

 すると、今度は“では愛子さまだけでも女性宮家を認めるべき”という意見が出てきますが、そもそも公務の担い手を確保するのが目的なのに、お1人だけに認めるのでは解決にならない」(前出・神田氏)

※週刊ポスト2019年5月31日号

関連記事(外部サイト)