ソニー、東芝、日本航空、東京電力 リストラ後の経営評価は

ソニー、東芝、日本航空、東京電力 リストラ後の経営評価は

東京電力もリストラ断行企業の1つ(時事通信フォト)

 日本経済を不況が襲うたび、企業は“社員の血”を流して窮地を脱してきた。だが、そうしたリストラが奏功したかどうかについて、「長期的視点での検証」はなされていない。日本型企業の最大の特性でもあった「終身雇用」が揺らいでいる中で、今後“人減らし経営”はさらに加速していくものと見られている。

 そこで、本誌・週刊ポストは、企業の信用調査をもとにデータベース事業などを行なう東京商工リサーチの協力をもとに、リストラ実施企業の「業績変化」成績表(別掲)を作成。経済ジャーナリストの福田俊之氏に、各企業のリストラの「成功と失敗」を3段階で評価してもらった。

 もともとの企業の大きさによってリストラの規模には差があるが、リストを見れば多くの会社が業績を拡大させていることがわかる。福田氏はこう指摘する。

「売上と利益だけではリストラが成功か失敗かは判断できません。リストラによって企業規模が縮小すれば、全体の売上高も下がる。その縮小が、不採算部門の整理などによるものであれば、売上減がそのまま失敗の証明にはならない。

 人件費など固定費を削減した分を、設備投資や研究開発費に回すなど、いかに『選択と集中』が行なわれているかが重要です」

 経営資源の選択と集中は、復活のための重要なファクターだ。大胆な方針でV字回復を果たしたのが「ソニー」だ。

「リストラ社員への『追い出し部屋』の存在などが露呈し、かつてのソニー神話は一度は地に墜ちました。しかしリストラで整理した経営資源をゲーム、音楽、金融などの事業に充てたことで業績が回復した。同社OBの中には“たまたま時流の追い風に乗っただけ”と手厳しい意見を言う人もいますが、思い切った戦略が効果を発揮した」(同前)

 同じ電気機器メーカーでも、「東芝」を取り巻く環境は厳しい。

「東芝は、利益こそ改善に向かっているものの、1兆円単位で売り上げを落としている。粉飾決算の発覚と、その痛みを従業員に押し付けるリストラがブランドイメージを大きく落としてしまった」(同前)

 サービス業においてもリストラが従業員の“質の低下”を招く例がある。

「現在では、経営破綻からの回復を遂げた『日本航空』ですが、再建計画ではグループ全体で2万人以上をリストラ。給料も20〜30%のカットが行なわれました。

 それから10年、業績は黒字化したが、パイロット不足や経費削減などによる過労、飲酒問題などコンプライアンス上の問題が浮上。大リストラのデメリットが出ていることも否めません。

 人員削減によるサービスの質低下への不満は、原発事故以降にリストラを断行した『東京電力』にも集まっている」(同前)

※週刊ポスト2019年7月19・26日号

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