子供の学力を上げるには 「能力」ではなく「努力」を褒める

子供の学力を上げるには 「能力」ではなく「努力」を褒める

もし「天才だね」と褒めてしまうと…(写真/ゲッティイメージズ)

「夏を制する者は受験を制す」や「夏は受験の天王山」と言われることが多い受験の世界。どうにか我が子も、この夏休みで一気に成績を伸ばしてほしいと期待するお父さん、お母さんもいるだろう。

 では、親たちはどうやって子供の勉強を後押しすればいいのだろうか。効果てきめんであるゆえ注意が必要なのが「言葉」だ。

 すでにアメリカで研究が進み、日本でも注目されつつある「非認知能力」というワードを聞いたことがあるだろうか。これはテストの点数やIQなど、数値化できる「認知能力」とは異なり、「くじけずに難題を完遂する力」や「行動力」、「他人と協力するコミュニケーション能力」などを指す。AIが台頭し、従来の知識や経験では太刀打ちできない世の中になりつつあるゆえ、こうした能力が重要視されるようになってきたのだ。

 子供の非認知能力に大きな影響を与えるのは、親の言葉だ。家庭教師としてさまざまな家庭の姿を見てきたプロ家庭教師集団「名門指導会」代表で塾ソムリエの西村則康さんは、「声かけ」の重要さを実感したという。

「しばしば親の経済力と学力は比例するといわれますが、必ずしもそうではないと思います。実際、富裕層の中には大型書店並みに本棚に参考書をズラリと並べる親や、科目ごとの家庭教師はもちろん、鉄棒の逆上がりのコーチをつけたりと教育の“アウトソーシング(外注化)”をはかる家庭もある。

 そればかりか、高学歴のシッターを子供と一緒に住まわせて常に教育を施すよう依頼している親もいるのですが、これらは思春期で限界が来る。忍耐力や工夫する気持ちも育たないし、思い通りにならないと責任転嫁する人間になってしまう。どんなにお金があっても、親の愛情に基づく“声かけ”はアウトソーシングできないのです」

 注意すべきは、「声かけ」によってやる気を失い、学力が下がる場合もあるということだ。

 アメリカの心理学者であるキャロル・S・ドゥエック氏が思春期初期の子供数百人を対象に行った実験によれば、同じ褒める行為でも、そのやり方によって大きく効果が変わるという研究結果が出ている。

 難しい内容の問題10問を出題して解かせ、『8問もよくできたね、頭がいいね』と能力を褒めるグループと、『よくできたね、頑張ったんだね』と努力を褒めるグループに分けて声をかけた。この2つのグループはほぼ同等の成績だったが、その後、新たな問題に挑戦するかどうかを尋ねたところ、前者の多くが嫌がり、後者は実に9割が喜んで受け入れた。前者は「もし、次にいい点がとれなかったら、私は頭がいいとはいえなくなる」と考えるようになってしまったという。

 その後、両グループに簡単な問題を解かせたところ、前者は成績が落ち、そればかりか得点を聞かれると4割が水増しして答えるという衝撃的な結果に。一方の後者は、成績が伸び、意欲的な子供が増えていったという。

 この実験により、「天才だね」などと能力そのものを褒めた場合、かえってその子供の成長を止めてしまうことがわかる。褒めるなら努力そのものを褒めるのがよいようだ。

※女性セブン2019年8月1日号

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