不動産バブルが崩壊しても衰退しない「品川」のポテンシャル

不動産バブルが崩壊しても衰退しない「品川」のポテンシャル

JR山手線の新駅「高輪ゲートウェイ」開業も控える品川(時事通信フォト)

 東京都心部で続く不動産のミニバブルは、2020年の東京五輪後に崩壊するのではないかという不吉な予測も出ているが、そんな中でも長期的に街のポテンシャルが上昇すると見られているのが、リニアモーターカーの開通が予定されている「品川駅周辺エリア」だ。住宅ジャーナリストの榊淳司氏が、品川の明るい未来を展望する。

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 リニアモーターカーの品川─名古屋間開業は2027年、品川―新大阪間の開業は2045年(8年前倒しする計画もある)とされている。こういう計画は得てして遅れるものだが、品川─名古屋間ではすでに工事は始まっており、いつかは開通する。

 ここでは2050年にはすでに品川から新大阪までの開業が実現していて、予定通り「大阪まで67分」でアクセスできていることを前提として、未来の風景を予測してみたい。

 今から約30年後の2050年、AIの進化などによってビジネスの風景がどのように変化しているかは予測しがたい。だが、ネット社会が猛烈な勢いで広がったこの20年、東海道新幹線の利用者数は基本的には増加傾向にある。今後、通信速度やネット環境が劇的に進化したとしても、人間の往来というものが少なくなるとは思えない。

 また、人間というものは基本的に遠いところに行きたがるものだ。東京と大阪の間を片道1時間ちょっとで行き来できるのであれば、むしろ往来する人間の数は増えるのではなかろうか。

 リニアの開通とともに、東京の鉄道交通網の中心は現在の東京駅から品川駅に移るはずだ。東京駅には象徴的な存在意義があるので、表面的にはあくまでも中心だろうが、実質的に人々の価値観は品川を第一とするようになるだろう。

 そうなると、品川駅を中心とした線と面の風景が劇的に変化しそうな気がする。

 まず、面を考えてみたい。現在、品川駅は「ちょっとだけメジャーな山手線の駅」という位置づけだ。駅を中心に賑やかな繁華街が広がっているわけではない。しかしリニアの開通によって周辺の街並みは変わっていくはずだ。

 まず、あまり知られていないがJRの品川駅は港区に立地する。駅の東側のインターシティや駅前の品川プリンスホテルのアドレスは港区。そのあたりに開発余地は乏しいが、品川プリンスの南側エリアは再開発できそうな気がする。

 また、三菱地所の高輪クラブや三菱開東閣あたりは、30年後も現状を継続した施設であるとは思えない。きっとオフィス系なのか住居系なのかは分からないが、超高層のビルにでも生まれ変わっているはずだ。

 インターシティの東側にある中央卸売市場食肉市場は、築地市場のように移転話が持ち上がって、やがてどこかに移され、その後は何かに再開発される可能性もある。もっとも築地市場のような反対運動が起これば、再開発のされた街の完成が2050年に間に合っているかどうかは怪しいところだが……。

 また、品川駅へは徒歩圏となる港区港南は現在のところ埋立地感が強い街並みになっている。時おりタワーマンションが開発されたりしているが、まだまだ開発余地のありそうなエリアだ。そして資産価値へのポテンシャルも秘めている。

 次に線を考えてみる。現在、品川に乗り入れている私鉄は京浜急行線のみ。この京急沿線は、ほぼ並行する京浜東北線や東海道線に比べて、一段低く見られる傾向がある。マンションの資産価値もそれを反映している。

 しかし、リニア開通後は京急線沿線の不動産が注目されるはずだ。特に京急は羽田空港へも乗り入れている。リニア開通後は羽田空港─品川間の街が資産価値を高めそうだ。今からマンションを購入する狙いどころを考えると、北品川や青物横丁あたりではなかろうか。

 少し古いマンションを購入しておくと、そのうち容積率が緩和されて建て直しが可能な物件になる可能性も考えられる。あるいは、旧東海道沿いの小さな商店が売りに出されているのなら、今から押さえておくのも長期戦略だ。

 リニアが開通する一方で衰退が避けられそうにないのが新幹線沿線だ。

 例えば首都圏なら新横浜が要注意だろう。現在、新横浜は「新幹線の駅である」ということで街の価値が嵩上げされていると考えていい。しかし、新幹線は新大阪まで約2時間半、リニアの2倍の時間がかかるとなると利用者は減るだろう。またリニアは「新」のイメージだが、新幹線は「旧」になってしまう。人々の見る目が変わると、不動産の価値にも影響する。

 さらに現在は賑わいが復活した熱海もリニア開通によって影響を受けそうだ。つまり、新幹線がマイナー扱いになると、沿線の街もマイナーに見られる。この例外でいられるのは京都くらいのものではないか。

 逆に、奈良県内にリニアの駅ができればメジャー化することも可能だ。今は近畿圏の「不便な古都」だが、リニアが開通して駅が設けられればメジャーな観光地に変貌する可能性もある。また、その駅周辺の不動産価値も高まる。同じことは三重にも言える。今はやや交通の便が悪い伊勢神宮が今よりもメジャー化する可能性がある。インバウンドもたくさん押し寄せてくるはずだ。

 いずれも、すべては約30年後の話であるが、東京という街を考えると2020年の五輪が閉幕すれば、しばらくは大きなイベントがなく、パフォーマンスも劇的には変わらない。だから、唯一、期待できるのがリニアの開通だ。そして、注目すべきは「品川」である。

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