マンション購入 駆け込み需要で10〜15%の値引き交渉できる

マンション購入 駆け込み需要で10〜15%の値引き交渉できる

消費増税前に起こりそうなマンション駆け込み需要

 消費税率10%への引き上げが迫ってきた。過去に行われた消費増税と同様、事前の“駆け込み需要”があらゆるモノで起きるのではないかと予想されているが、もっとも増税前後で価格差が大きいのは、高額な買い物であるマイホームだろう。住宅ジャーナリストの榊淳司氏が、駆け込み需要を逆手に取った「賢いマンション値引き術」を伝授する。

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 先日、とあるマンションデベロッパーの仕入れ担当者と親しく話す機会があった。業界の内輪話はそれなりに面白い。ただ、彼の言っていたことで、非常に気になるフレーズがあった。

「歴史上初めてではないですか。マンションデベロッパーがただ『名を残す』ためだけに開発事業をやっているのは……」

 どういうことなのか。彼の説明によると、大手不動産会社のマンション開発部門はどこも儲かっていない。だいたいの物件は、事業計画を作成した時点で営業利益は5%から10%程度だという。しかも、数年後にその物件の全住戸を完売できたとしても、実際に残る利益は2%や3%がザラで、中には赤字になってしまう場合もあるという。

 売れなくて値引きをすると利益率はますます下がる。販売期間が長引くことでモデルルームの維持費などが嵩むこともある。銀行への利払いもあるはずだ。

 その儲からないマンション開発をなぜ続けるかというと、事業を展開していることで自社の市場での存在感やイメージを維持しておくためである。私から見ると、いかにも日本的サラリーマン企業の発想である。そういう発想で事業を継続している企業の幹部クラスにとっては、自分たちの定年まで会社が存続して、まともに退職金が支払われることが何よりも大切なのだろう。

 さて、そんなダレたマンション業界もこの秋以降は猛烈なアゲインストの風にさらされそうだ。その風を吹かすのは、他ならぬ消費税の増税だ。

 これまで3%から5%、5%から8%になった直後には、新築マンションはもとより不動産全般の取引が一気に停滞した。その理由は、消費者にとっては2%であろうと物価が上昇するわけであるから、財布の紐が締めざるを得ない。消費税が上がっても消費者の所得は同じなのだから、節約するしか手はないからだ。

 日本経済の約7割は個人消費が支えている。その個人消費が縮むわけだから景気は当然悪化する。日本経済は確実にリセッション(景気後退)となる。景気が悪い中、大きな買い物は見送りとなる。企業は設備投資を増やさない。マンションは売れず、不動産取引も停滞する。

 これはマンション業界の面々も分かっている。過去2回の消費増税を経験しているからだ。しかし、彼らはまずその前の「駆け込み需要」に期待する。

 現在、建物がすでに完成している新築マンションは、9月末までに契約・引渡しを終えれば消費税は8%のままだ。消費者側もそれを知っているから「今のうちに」という心理が働く。それを利用して、溜まっている在庫を一気にさばいてしまおうと考えるわけだ。

 それで一時的にしろ売り上げを立てられれば、その後にやってくる増税後の「買い控え」も何とかしのげるかもしれない。

 さらに2020年になれば五輪開催のお祭り気分になって、不景気風も少しは和らぐのではないか……不動産業者いうのは基本がポジティブ思考だから、多分そんな風に考える人が多いはず。少なくとも「駆け込み需要」を逃す手はない。

 一方、マンションを購入しようと考えている消費者側にも、そこは大きなチャンスである。「駆け込み需要」が終わると、途端にマンションが売れなくなるということを知っている売主側の思惑を逆手に取って、大きな値引きを引き出せる可能性があるからだ。ここでは、そのノウハウを簡単にお伝えしておこう。

 まず、時期はお盆明けから。各物件のモデルルームはだいたいお盆前後の時期は休みとなっている。今年であれば8月18日まで休むケースが多そうだ。勝負は19日の週から9月23日までの約1か月間。

 値引きを引き出せるかどうかは、そのマンションの売主がどの程度焦っているかにかかっている。例えば、5年連続供給戸数が1位の最大手は値引きを渋ることで有名。しかし、この最大手も大規模物件なら築2年超、普通の物件で築1年半超になると焦りだす。近頃では、それなりに交渉できるという話も聞くようになった。

 それ以外のデベロッパーの場合は、物件のオフィシャルページで焦り度を測る。トップページに「家具付き販売」とか「総額1000万円プレゼント」などというキャンペーンを表示させている物件は、かなり強気の値引き交渉で臨むべきだ。

 そうでなくても、建物が完成して半年以上が経過しているような物件は値引き交渉に応じるのが普通。10%から15%あたりを目標に交渉してみよう。

 値引き交渉に高度なテクニックは必要ない。まず、自分がいくらだったら買うかという要求額を正確に伝える。そこを曖昧にすると担当者に嫌がられるだけで、交渉は進まない。

 次に、その要求額が満たされれば必ず買うという意思を明解に示す。また、買えるという能力も示す。年収や自己資金などはキッチリと伝えた方がいいだろう。ただし、自己資金は少なめ示す方がいい。多めに伝えると高い住戸を強烈に勧められて面倒くさくなるケースが多いからだ。

 残念ながら、新築マンションの販売現場は常に人手不足だ。昔は量は足りても質が足りなかったが、今は両方が不足している。だから「ハズレ」の担当者が付く場合も少なくない。ただの冷やかしならその方がいいのだが、値引き交渉をするのなら不都合が多い。自分たちの担当者と意思疎通が満足にできないと思ったら、早めに販売所長に直接電話して担当者を変更してもらうべきだろう。そういうことに遠慮はいらない。

 さて、消費増税前の駆け込み需要でどれだけ賢くマンションを購入することができるか、皆さんのご健闘を祈る。

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