「二次がん」とは何か? 最近注目されるようになった理由

「二次がん」とは何か? 最近注目されるようになった理由

「二次がん」とは?(写真/ゲッティイメージズ)

「“二次がん”になる人は昔からいました。ですが長い間、どういう人が二次がんになるのか、どう対策すればいいのかについて、積極的に研究や議論されることはありませんでした」

 そう語るのは、信州大学医学部教授で小児医学教室の中沢洋三さんだ。信州大学医学部附属病院では、小児がん患者の「二次がん」の早期発見や治療などを目的とする「HOPEFUL外来」を8月に新設し、注目を集めている。

 この、耳慣れない「二次がん」とはどんな病気なのか。国立がん研究センター乳腺・腫瘍内科医長の米盛勧さんが解説する。

「がんになった人が、数か月後や数十年経って新たに別のがんになった場合、2つめのがんを“二次がん”といいます。がん細胞を診断した結果、最初のがんとは、まったく別の細胞だと証明されたものが“二次がん”です。同じがん細胞が再び現れる“再発”や、同じがん細胞が別の場所に飛ぶ“転移”とは異なります」

 医療経済ジャーナリストの室井一辰さんは、二次がんが注目されるようになってきたのは、最近のことだと話す。

「20年前はがんの生存率も低く、“二次がん”になる人はいましたが、ほとんど話題になりませんでした。医学の進歩により、がんの生存率が上昇し、1度がんを経験したがんサバイバーが、再びがんになるケースも増えている。海外でも少しずつ研究が始まっています」

◆小児がん患者の罹患リスクは6倍以上

 タレントの堀ちえみ(52才)は、今年2月にステージIVの舌がんの手術を受けたが、4月にも食道がんが見つかっている。堀は「(食道がんは)舌がんの転移でも再発でもない」とブログで説明しており、米盛さんによれば、「二次がんの可能性がある」という。二次がんになる理由は、まだ詳しく解明されていない。考えられる原因もさまざまだが、米盛さんは「1つの原因は生活環境」だと話す。

「たばこや過度の飲酒といった、がんリスクを高める環境要因が影響していると考えられています。たとえば、飲酒やたばこは咽頭がん、喉頭がん、舌がん、食道がんの発症リスクを高めるとわかっています。堀ちえみさんのケースがはっきり二次がんかどうかはわかりませんが、似通った場所のがんを発症する可能性は高い」

 2つめに考えられるのは、遺伝子の変異だ。米盛さんが続ける。

「一生のうちに複数回がんになる人は、生まれつき遺伝子になんらかの異常がある場合があることもわかってきました。たとえば、乳がんや卵巣がんは、『BRCA遺伝子』の変異によりリスクが高まるので、注意しなければいけません」

 ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリー(44才)は、2013年に、BRCA遺伝子に生まれつき異常があると告白。検査の結果、乳がん・卵巣がんになるリスクが高いと知ったアンジーは、同年、両方の乳房を切除。2015年には、卵管・卵巣も切除している。

 さらに二次がんの原因として考えられるのは、最初のがん治療時に受けた治療の影響だ。

「放射線や一部の抗がん剤によって、正常な細胞も影響を受けます。もちろん、今あるがんを治すために必要な治療なのですが、治った後に同世代の人に比べてがんを発症しやすい」(米盛さん)

 実際、アメリカ国立がん研究所の統計結果によると、がん治療を受けた人がその25年後までに二次がんになるリスクは、がんではない人より平均で14%高くなるという。

「年齢別で見ると若い人ではさらにリスクが高く、0〜17才では6倍、18〜29才で2.9倍、30〜39才で2.4倍、40〜49才で1.6倍、50〜69才で1.1〜1.3倍でした。70才以上はほとんど変わりません。つまり、小児がんを経験した人が二次がんにかかるリスクは、そうでない人の6倍に上るということです」(室井さん)

※女性セブン2019年9月19日号

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