ストロング系酎ハイ、飲み方に気をつけるべきこれだけの理由

ストロング系酎ハイに警鐘 アルコール依存症の患者に愛飲者が多い傾向

記事まとめ

  • ストロング系の酎ハイやカクテルの売上げが、急激に伸びている
  • ストロング系酎ハイはコスパがよく重宝されるが、コスパよさが危険を助長しているとも
  • 9%のストロング系酎ハイ500mlは、テキーラのショット3.75杯分と同量の純アルコール量

ストロング系酎ハイ、飲み方に気をつけるべきこれだけの理由

ストロング系酎ハイ、飲み方に気をつけるべきこれだけの理由

楽しめるかどうかは飲み方次第

 フレッシュなフルーツが魅力的なパッケージに、甘くて爽やかな味わい。気分転換にピッタリの「ストロング系酎ハイ」だが、実は、想像をはるかに超えるアルコール量を摂取していることに気づいているだろうか。酔っ払う前に読むべき、お酒の新常識です!

 10月1日から消費税が10%に引き上げられた。買い物情報サービス「トクバイ」を運営するロコガイドの調査による「増税前に購入・まとめ買いするもの」ランキングでは、日用品や白物家電、化粧品などに続き、「お酒・ビール」が5位となった。夫の晩酌用ビールが値上がりすれば、家計には大ダメージだ。

 だが、意外なことに、日本では男性の飲酒率は減少傾向にあり、一方で、女性の飲酒者が増加している。日本酒造組合中央会が2017年に発表した「日本人の飲酒動向調査」によると、1988年から2017年の約30年間で、「お酒を飲む・飲める」と回答した女性はおよそ20%増加した。

 さらに、酒市場も大きく変化している。ビールの出荷量は2018年まで14年連続で過去最低を更新し、その分、シェアを伸ばしているのが、「RTD(レディ・トゥ・ドリンク)」と呼ばれる酎ハイやカクテルなどの商品だ。

 サントリースピリッツが行った調査では、RTD市場は2009〜2018年で約2倍以上に拡大し、今後も順調に拡大し続けると見込まれている。

 なかでも注目は、「ストロング系」と称されるアルコール度数の高いRTDの売り上げが急激に伸びていること。同調査で、2009年は約2300万ケースだったストロング系商品のシェアは、2018年には約9500万ケースまで上昇している。この人気について、酒造業界に詳しいジャーナリストの永井隆さんはこう分析する。

「ストロング系のベースに用いられるウオツカは、無味無臭で果汁と相性がいい。それを人工甘味料で口当たりよく味つけしているため、ビールは苦くて飲みたくないという女性でも飲めるアルコール飲料として好まれています」

 おいしさに加え、健康ブームの追い風もある。第一生命経済研究所の永濱利廣さんが解説する。

「ビールや日本酒などの醸造酒は糖質が高く、糖質制限をしながらお酒をたしなみたい人には、ウオツカや焼酎などの蒸留酒を用いた酎ハイ系が支持されます」

 価格の面でも優れている。500mlの缶ビールは約270円だが、ストロング系酎ハイは約160円と安い。

「老後資金などの問題もあり、国民の節約志向が年々高まる中、安価でアルコール度数が高いストロング系酎ハイは、コスパのいいお酒として重宝されています」(永濱さん)

 しかし、このコスパのよさが危険を助長しているという意見もある。

◆たった89円で酔える

 ビールのアルコール度数が5%なのに対し、ストロング系酎ハイの主流は9%と高い。それぞれ500ml缶を1本飲んだ時、摂取する純アルコールの量はビールで20g、9%のストロング系酎ハイなら36gとなる。価格にすれば、ビール1本と同じ純アルコール量が、ストロング系酎ハイなら、たった89円で摂取できることになる。

 2017年に放送されたNHK『ニュースウオッチ9』の特集では、9%のストロング系酎ハイ500mlで、テキーラのショット3.75杯分と同量の純アルコール量になると解説され、視聴者を驚かせた。

 久里浜医療センターでアルコール依存症の女性病棟を担当する精神科医・岩原千絵さんが話す。

「女性にとって適度な1日の飲酒量は、純アルコール10〜13g。9%のストロング系酎ハイなら、150〜170ml程度。摂取するアルコールが1日10g増えるごとに、乳がんリスクは7.1%増え、骨粗しょう症や月経不順、胎児への悪影響も心配されます」

 筋肉量の違いなどの要因から、女性は男性よりアルコールを分解する能力が弱く、男性の半分の量で肝障害を起こすといわれている。しかも、ストロング系酎ハイを好む女性の購入方法には、注意したいある特徴が。

「ストロング系酎ハイを買う時に、男性は500ml缶を1本買ってガツンとした飲みごたえを求める人が多いのに対し、女性はいろいろなフレーバーを楽しむため、350ml缶を2本買う人が多い」(永井さん)

 仮にその2本を1日で飲んだ場合、男性が追加で350mlの缶ビールを1本飲んでも、摂取した純アルコールの量は女性の方が多くなるのだ。岩原さんが続ける。

「当院の調査によると、新規のアルコール依存症の女性患者数は2003年の8万人から、2013年は13万人に増加しました。

 大量の飲酒が習慣になっている人は耐性がついて多少のお酒では酔えなくなるため、強いアルコールを求めます。患者さんにはストロング系酎ハイの愛飲者も多く、その傾向はストロング系酎ハイが一般的に普及してから間もなく表れています」

 全国どこのスーパーやコンビニでも手に入り、安くておいしく、すぐに酔える酒がほかにないことから、SNSでは「飲む福祉」「麻薬」「つらければつらいほどおいしい魔法の水」などと呼ばれ、「ストロングゼロ文学」というインターネット上の流行も生まれている。

◆ストロングを“キメる”

 終電で帰宅することも多いという、ある派遣社員の女性はこう語る。

「居酒屋へ行ったり、ビールを買うほどの金銭的な余裕がなくても、ストロング系酎ハイなら毎晩、おいしく酔っ払えます。お酒好きの友人とは、“ストロングをキメる”と冗談を言って笑っています」

“麻薬”を使った時と同じ隠語を使うほど、酔いが回るということだろう。

 男女平等の社会になり、女性の飲酒への偏見はなくなった。働く女性も多くなり、専業主婦より自由に使えるお金は増えたが、決して余裕があるわけではない――そんな現代女性のジレンマを癒す存在が、ストロング系酎ハイなのかもしれない。

 毒にも薬にもなるこの酒を安全に飲むには、どうすればいいのだろうか。

「厚生労働省のe-ヘルスネットに掲載されている『健康を守るための12の飲酒ルール』をぜひ参考にしてほしい。“純度の高いお酒なら悪酔いしない”といった噂話もありますが、科学的根拠はありません。お酒は度数が高いものほど酔いやすく、量が多いほど健康を脅かすというのが常識です」(岩原さん)

 ストロング系酎ハイを人生のよきパートナーにするためには、適量を守り、節度ある飲酒を忘れてはならない。

※女性セブン2019年10月10日号

関連記事(外部サイト)