令和初のギョーザバトル 宇都宮と浜松の2強を脅かす伏兵も

「餃子のまち日本一」を巡るバトル 宇都宮と浜松の2強を脅かす「伏兵」に京都市

記事まとめ

  • 宇都宮市(栃木)と浜松市(静岡)の「餃子のまち日本一」を巡る争いが毎年話題に
  • 2018年は浜松市に軍配が上り、この10年間で浜松は6勝4敗となっている
  • 宇都宮と浜松の2強を脅かすのが京都市で、5月は京都が浜松と宇都宮を上回っている

令和初のギョーザバトル 宇都宮と浜松の2強を脅かす伏兵も

令和初のギョーザバトル 宇都宮と浜松の2強を脅かす伏兵も

各地でブームを起こして庶民に愛される「餃子」

「餃子のまち日本一」はどちらか──。宇都宮市(栃木県)と浜松市(静岡県)の熾烈な争いが毎年話題になるが、勝敗を決する根拠となっているデータについては、あまり関心のない人も多いだろう。『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』著者で編集工房レーヴ代表の山田稔氏が、今年の餃子日本一の途中実績と新たな“伏兵”の存在を挙げる。

 * * *
「餃子のまち日本一」は、毎年2月に公表される総務省の家計調査の結果を受け、メディアがこぞって「今年の日本一は……」と報じるパターンが定着した。直近の2018年は浜松市に軍配が上がった。

 この日本一の根拠となっているのは、家計調査の中にある「1世帯(2人以上の世帯)当たり年間の支出金額」だ。これは、都道府県庁所在地と政令指定都市のデータが、食料品から衣類、授業料、こづかいなど家計に登場するさまざまな品目別に表示されている。その中に餃子があるわけだ。

 もっとも、ここでいう餃子の支出金額(消費金額)は、スーパーやテイクアウト店の生餃子や焼き餃子の年間購入金額のことを指す。地元客や観光客が餃子専門店など飲食店で食べた餃子への支出金額は含まれず、ひとつの街での餃子消費全体の額ではない。ちなみに2018年は、浜松市が3501円で宇都宮市の3241円を上回った。

 その直後、メディアは「平成最後の“ギョーザバトル”日本一の勝負の行方は?「ギョーザ購入、浜松1位奪還」などと報じ、両市関係者の表情などを伝えていた。

 浜松、宇都宮両市のバトルが注目され始めたのは、2007年に浜松市が独自の調査をもとに「餃子消費量日本一」とPRしたころからだ。

 家計調査の年間支出金額では、宇都宮市が1996年から2010年まで15年間トップに君臨していたが、2011年に浜松市がトップに立ち、立場が逆転した。その後も両市の激しい首位争いが続いている。

 2009年から2018年の10年間の対決結果は次の通りだ。

2009年:〇宇都宮市(4187円)×浜松市(4137円)
2010年:〇宇都宮市(6133円)×浜松市(4754円)
2011年:×宇都宮市(3737円)〇浜松市(4313円)
2012年:×宇都宮市(4364円)〇浜松市(4669円)
2013年:〇宇都宮市(4921円)×浜松市(4155円)
2014年:×宇都宮市(4190円)〇浜松市(4361円)
2015年:×宇都宮市(3981円)〇浜松市(4646円)
2016年:×宇都宮市(4650円)〇浜松市(4819円)
2017年:〇宇都宮市(4259円)×浜松市(3580円)
2018年:×宇都宮市(3241円)〇浜松市(3501円)

 この10年間は浜松の6勝4敗である。

◆両市の餃子専門店の数、特徴は?

 では、「餃子のまち」であり続けてきた浜松、宇都宮の餃子の特徴とは何だろうか。「餃子のまち」らしく両市ともに公式ホームページの中に餃子関連のサイトを設けている。ちょっとのぞいてみよう。

【浜松市】

「浜松人の餃子文化」というサイトにはさっそくこんな記述がある。〈浜松餃子を提供するお店は市内で300店舗以上あり、石を投げれば餃子店の看板に当たるのでは、と思うほど。浜松人はとにかく餃子好きである〉

 浜松餃子の特徴については、〈浜松餃子と言えば、グルリと円形に並べて焼き上げ、真ん中に“箸休め”の茹でもやしをそえるのが、ひとつの特徴だといえる〉との記述がある。さらに浜松市内には全国シェアナンバー1の餃子製造機械メーカーがあること、ドライブスルーシステムの餃子店があることなどが紹介されている。

 まちおこし団体「浜松餃子学会」のホームページに登録されている店舗は187。11月9、10の両日には「浜松餃子まつり」が開催される。

【宇都宮市】

 宇都宮市の公式Webサイトの中に宇都宮ブランドのコーナーがあり、餃子について詳しく紹介されている。その特徴についいては、〈宇都宮の餃子は、焼き、水、揚げなどの種類があり、店舗によって大きさや素材、皮の厚さや熟成度、包む具合やはねの大きさ、つけだれなどが異なり、さまざまな種類を楽しむことができます〉とある。多彩なバリエーションがウリのようだ。

 宇都宮市民の餃子好きについては、〈宮っ子は週に数回餃子を食べるのがスタンダード〉と記されている。

 日本唯一だという“餃子”協同組合の「宇都宮餃子会」のホームページによると、加盟店は80店(2013年6月現在)となっている。1999年から始まった「宇都宮餃子祭り」は、今年は11月2、3の両日に開催される。

◆2019年のギョーザバトル勝者は?

“令和初”の宇都宮、浜松の東西餃子対決はどうなるのか。総務省・家計調査のデータをチェックすると、8月までの実績が確認できる。その結果は、宇都宮市が2738円(月平均342円)、浜松市が2489円(同311円)と249円差で宇都宮がリードしている。

 だが、月平均の差は31円。宇都宮は3月の支出金額が544円とずば抜けて多く(浜松は285円)、その“貯金”が効いている感じだ。この先の浜松市民の購入頻度・金額次第で逆転は十分あり得る。最後まで熾烈な争いが続くことになりそうだ。

◆浜松、宇都宮に続く「伏兵」の存在

 そんな2強対決に続くのが、2018年4位の京都市(年間支出額2989円)だ。今年も8月まで2082円と健闘している。5月は京都が390円で断トツで、浜松、宇都宮を上回った。

 異変は7月にも起きた。福岡市が296円でトップに立ち、2位・宇都宮市の291円をわずかながら上回った。ちなみに浜松市は263円にとどまっている。もっとも、福岡が上位に顔を出したのは7月だけだったので、最終的に2強を逆転することは困難だろう。京都市が2強を脅かすかどうか、今後の動向がポイントだ。

 この数年、全国的に餃子ブームが再燃し、餃子づくりや日本の製造機械が海外で人気を集めている。宇都宮市では、餃子を介して市の魅力を外国人に発信してもらう「餃子で世界征腹計画」というプロジェクトもスタートした。

 庶民に愛される餃子で、地方の活性化が進むことは喜ばしいこと。今後は2強以外の都市も餃子文化をどんどん発展させ、盛り上げていってほしいものである。

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