赤旗が「鳥越氏大健闘」評価で僕も大健闘にしてと上杉隆氏

赤旗が「鳥越氏大健闘」評価で僕も大健闘にしてと上杉隆氏

赤旗報道について語る上杉隆氏

 治安維持法があった1928年に地下新聞として創刊された日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(※当時はガリ版刷りの「赤旗(せっき)」)は、今も共産党の「資金力」「諜報力」「宣伝力」の源泉だ。しかも自民党の重鎮が登場することまである。元参議院議員の筆坂秀世氏と先般の都知事選では共産党と対峙した上杉隆氏が、赤旗の無謬主義の限界について語った。

上杉:その内容はかなりのご都合主義ですよ。筆坂さんが共産党にとっていくら良いことを言っても、紙面に載せないでしょう。逆に志位(和夫)さんが間違った発言をしても、絶対に批判しない。赤旗は基本的に発言の中身ではなく、誰が言ったかを問題にするんです。

筆坂:たしかに赤旗を読んでいると党の国会議員はみな素晴らしい人間に見えます。物事には様々な側面があるのに、党にとって都合のよいところだけをつまんでくる。それで「共産党はすべて正しい」と主張する。

上杉:無謬(むびゅう)主義ですね。

筆坂:その通り。共産党は絶対に間違えてはいけません。立身出世で共産党に入る人はいません。常に自己犠牲を強いられる党員をまとめるには、絶対的な正義の旗が必要であり、仮に幹部が間違ったら党員はやってられない。そうした無謬主義を支えるメディアとして赤旗の存在価値があるんです。外交にせよ、国内問題にせよ、私のいた時代は不破さんのやることなすこと礼賛していたから「不破(哲三)さんは現代のマルクスだ」なんて考える党員もいました。

上杉:今回の都知事選挙が象徴的です。選挙期間中、それまで人権や女性の問題を追及してきた赤旗が鳥越候補のセクハラ報道を問題視せず、彼に説明を求めませんでした。これこそ、まさにご都合主義。僕が選挙に出たからいうんじゃないですよ。新聞として党として、読者の信頼を損ねていると思います。

 しかも選挙翌日の赤旗(8月1日)は「鳥越氏が大健闘」との大見出しです。だったら鳥越氏に次いで4位の僕のことも「大健闘」と書いてほしかった(笑)。

筆坂:参院選は民共で230万票取ったのに鳥越氏の得票はその半分でした。それが「大健闘」とはいかにも大本営発表です。

上杉:8月9日の全国紙はおしなべて天皇陛下の「お気持ち」表明が一面トップだった。でも赤旗は「『野合』どころか民主主義の基本」という(内田樹氏の)オピニオンをトップに持ってきていた。

 こうした恣意的な紙面作りは情報のチャンネルが極めて少ない時代には通用するけど、今みたいにネットなど情報網が多様化したらどうでしょうか。いくら赤旗が正義を強調しても、読者から「あれ、違うんじゃない?」という疑問がどんどん出てくるはずです。

筆坂:共産党の非合法時代からの機関紙だから歴史は古いけど、様々な面で赤旗は曲がり角なのかもしれませんね。

●うえすぎ・たかし/1968年東京都出身。鳩山邦夫氏の衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者を経て、2002年よりフリージャーナリストとして活動。政界、メディア問題、原発問題など、多岐に亘るテーマで執筆。2016年、東京都知事選出馬(4位)。

●ふでさか・ひでよ/1948年兵庫県生まれ。高校卒業後、三和銀行へ就職。18歳で日本共産党入党。25歳で銀行を退職し、専従活動家へ。国会議員秘書を経て参院議員。共産党ナンバー4の政策委員長となるも不祥事を契機に議員辞職。2005年7月離党。主な著書に『日本共産党』。

※SAPIO2016年10月号

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