赤旗 優秀な記者は自分で記事を書かないから信用される

赤旗 優秀な記者は自分で記事を書かないから信用される

元参議院議員の筆坂秀世氏

 野党共闘路線で、再び存在感を示し始めた日本共産党。その機関紙である「しんぶん赤旗」は、報道面では、各地に張り巡らした特異な諜報網によって、数々のスクープを報じてきた。18歳で共産党入りし、2005年の離党まで共産党No.4として辣腕をふるった筆坂秀世氏(元参議院議員)と、ジャーナリストとして赤旗と関わり、先般の都知事選では共産党と対峙した上杉隆氏が、赤旗の「諜報力」について語りあった。

筆坂:僕が共産党に入党したのは、三和銀行員時代に先輩から「これを読め」と赤旗を勧められたことがきっかけです。入党後は「党勢拡大のため、新聞を増やせ」と命じられ、ひたすら赤旗の拡大に奔走しました。意気込んで革命政党に入ったはずが、新聞の拡張員になったようでしたね(苦笑)。

上杉:わかります。長崎の電電公社に勤めていた僕のおじも共産党員で、多額の寄付の他に拡販のため赤旗をひとりで10部購読していましたから。

筆坂:レーニン以来、世界中の共産党は機関紙活動を重視しています。日本共産党も赤旗の普及が国会議員を増やし、やがて与党として政権参加する基盤になるという考えに固執しています。

 その一方で赤旗は、「調査の共産党」を支えています。田中金脈事件をはじめ、独自の調査で次々と疑惑を暴露してきました。

上杉:僕もジャーナリスト時代、赤旗の記事から取材のヒントを得ることは多々ありました。赤旗は、大手紙のように「関係者によると」とごまかすことなく取材源を実名で書く。報道をトレースしやすいから、後のスクープに繋がることもあった。

筆坂:大事件が発生すると、党内に議員や赤旗記者、党職員が集まってプロジェクトチームを作ります。私は長年その責任者を務めましたが、大いに役立ったのが赤旗記者でした。一般紙に比べると陣容は少ないものの、日本各地に支局があり、優秀な記者は情報源をたくさん持っていた。

上杉:赤旗は官邸や政党の記者クラブには加盟していない。でもそこらの番記者より情報を持っている記者もいる。たとえば内閣情報調査室の職員と通じていて、お互いに情報を流し合っている記者を知っています。いわば情報屋に近い。

筆坂:敵方である自民党の幹事長クラスにまで食い込んで、情報を取ってくる記者もいますよ。自共が競合する選挙区で、自民党の現状分析を入手して、共産党の常任幹部会に報告する。その情報を元に選挙活動のテコ入れをして逆転勝利したこともありました。

 面白いことに、優秀な記者は自分で記事を書かないから情報流出が表沙汰になりません。だから相手に信用される。その情報がすべて不破さんに集中するんです。赤旗記者の情報をものすごく信用していましたね(苦笑)。

●うえすぎ・たかし/1968年東京都出身。鳩山邦夫氏の衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者を経て、2002年よりフリージャーナリストとして活動。政界、メディア問題、原発問題など、多岐に亘るテーマで執筆。2016年、東京都知事選出馬(4位)。

●ふでさか・ひでよ/1948年兵庫県生まれ。高校卒業後、三和銀行へ就職。18歳で日本共産党入党。25歳で銀行を退職し、専従活動家へ。国会議員秘書を経て参院議員。共産党ナンバー4の政策委員長となるも不祥事を契機に議員辞職。2005年7月離党。主な著書に『日本共産党』。

※SAPIO2016年10月号

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