ホテル売上で伸び率1位のドーミーイン 和風ビジホでも攻勢

天然温泉つきの新ブランドを展開し勢いに乗るドーミーイン 夜鳴き蕎麦なども人気

記事まとめ

  • 「ドーミーイン」は天然温泉つきの新ブランドを展開して勢いに乗っている
  • ドーミーインを手掛ける共立メンテナンスは共立リゾートとしても全国に28施設を持つ
  • 5店舗ある「御宿 野乃」は旅館のようなホテルというドーミーインの新興ブランド

ホテル売上で伸び率1位のドーミーイン 和風ビジホでも攻勢

ホテル売上で伸び率1位のドーミーイン 和風ビジホでも攻勢

「天然温泉 けやきの湯 ドーミーイン津」(三重県)

 近年、ビジネスホテルといえども「大浴場」がある施設が多く、リピーター獲得の重要なポイントとなっているが、天然温泉つきの新ブランドを展開して勢いに乗っているビジネスホテルが「ドーミーイン」だ。ホテル評論家の瀧澤信秋氏が、ドーミーインの強さの秘密をレポートする。

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 数多あるビジネスホテルブランドは、年間を通して高い需要に支えられているホテル業態であり、供給客室数のボリュームは圧巻。宿泊施設の増加も目覚ましい。

 フルサービスを提供するシティホテルに対して、宿泊に特化したリミテッドサービスを主体とするビジネスホテルは、収益性の高さでも知られ、画一的な客室・建物を量産してチェーン化していく様は効率的経営のお手本を見るようだ。

 そんなビジネスホテルの活況ぶりは売上高ランキングにも見てとれる。

『レジャー産業資料10月号』(綜合ユニコム株式会社)によれば、1位のプリンスホテル(2021億円)を除くと、2位/共立メンテナンス(1415億円)、3位/アパホテル(1008億円)、4位/ルートインホテルズ(994億円)、5位/東横イン(907億円)、6位/ダイワロイヤル(880億円)と、ビジネスホテルで知られる企業がずらりと並ぶ(※売上高のデータは最新決算期の数字/1億円以下切り捨て)。

 対前期比での伸び率をみると、各社概ね102%〜106%程度という中、3位のアパホテルが108.0%(933億円→1008億円)と頭ひとつ抜け出しているが、共立メンテナンスはさらに113.6%(1245億円→1415億円)と突出しており、圧巻の伸び率第1位だ。

 共立メンテナンスは、人気ランキングで常に上位の宿泊特化型ホテル(ビジネスホテル)「ドーミーイン」を手がけることで知られる。日本生産性本部(東京・千代田)の2019年度日本版顧客満足度指数(JCSI)調査では、ドーミーインが首位(ビジネスホテル部門)となった。

 同社はドーミーインのほかにも、共立リゾートとして全国に28棟の温泉を愉しめる湯宿・リゾートホテルも手がけるなど、温泉大浴場を充実させた宿泊施設が特色といえる。

 そもそもドーミーインとは5つのブランドからなるが、各ブランドで標榜するコンセプトは以下の通りだ。

●ドーミーイン/寮事業のノウハウを受け継ぐ我が家のような寛ぎと快適性を提供するベーシックブランド
●ドーミーインPREMIUM/観光ニーズの多様化にも対応できるようツインや和洋室なども充実したドーミーインのハイエンドブランド
●ドーミーインEXPRESS/日帰り入浴、デイユースなどにも対応した新サービス重視のブランド

 ホテル名にドーミーインを冠するブランドはこの3つであるが、以下の2ブランドもドーミーインにカテゴライズされる。

●御宿 野乃(おんやど のの)/ビジネスホテルと旅館の融合をイメージした全館畳敷きで和風テイストのドーミーイン
●グローバルキャビン/カプセルホテルの合理性とドーミーインの快適性を両立させたキャビンタイプホテル

 ドーミーインの人気を支えているのは、なんといっても温泉大浴場だ。ビジネスホテルに大浴場や温泉はもはや定番設備になりつつあるが、1993年の初出店以来ほぼ全ての施設に温泉大浴場を設け全国展開してきたドーミーインは、ビジネスホテルと温泉大浴場のパイオニア的ブランドといえる。

 その他、機能的にして快適性も高い客室、ご当地メニューを豊富に採り入れた朝食、無料の夜鳴き蕎麦(夜食ラーメン)なども人気が高い。

 温泉大浴場のある宿泊施設といえば旅館を想起するが、ドーミーインそのものは洋風ホテルというイメージだ。ところが、最近和風ビジネスホテルをコンセプトとする「御宿 野乃」もみられ、旅館のようなホテルということでその存在感を高めている。まだ5店舗の展開ではあるが筆者がいま最も注目するドーミーインの新興ブランドだ。

 実際に「天然温泉 凌雲(りょううん)の湯 御宿 野乃 浅草」へ取材に出向いてみた。浅草寺や花やしきにも近く温泉旅館風情も溶け込む立地だ。

 まず驚くのが靴を脱いで入館する全館畳敷きの館内であること。エントランスから早くも旅館の風情が漂い、ビジネスホテルであることを忘れてしまいそう。エレベーターにも畳が敷かれており、客室も当然のように畳敷きとなっている。とはいえベッドやテーブル&チェアなどホテルライクな快適性も備えている。

 温泉はこれまでのドーミーインを陵駕するような充実の内容。泉質はナトリウムやマグネシウムが含まれ白いタオルが染まってしまいそうなほど濃厚な褐色の湯。ドーミーインは大浴場に加えサウナや水風呂なども人気だが、こちらにも男湯には内湯、外気浴、壺風呂、ドライサウナ、水風呂が、女湯には内湯、外気浴、壺風呂、ミストサウナが配されている。脱衣所やその他設備、動線などをとってみてもこれまでのドーミーインをさらに極めた感があった。

 すっかり温泉旅館にいるような錯覚に陥るが、夜鳴き蕎麦を食べた瞬間、ドーミーインにいることを思い出す。

 ドーミーインに限らず、温泉にフィーチャーするビジネスホテルチェーンも増えてきたが、差別化とコモディティ化は繰り返されるもの。旅館の風情とビジネスホテルの融合を図ったドーミーインの新機軸は、どこまでその優位性を保つことができるか。

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