暴力団社会が山口組幹部のテレビ出演に注目する理由

暴力団社会が山口組幹部のテレビ出演に注目する理由

暴力団社会からの注目度が高い理由は?

 9月9日、東海テレビの報道番組『みんなのニュースONE』において、六代目山口組直参(二次団体)組長への独占インタビューが放送された(聞き手はジャーナリスト・大谷昭宏氏)。山口組分裂から1年を総括するというテーマの一環として企画されたもので、六代目山口組、神戸山口組の双方を通じて、組織の幹部がテレビ局のインタビューに応じるのは初めてである。この背景には何があるのか、フリーライターの鈴木智彦氏がレポートする。

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 暴力団社会がこのインタビューに注目したのは、理由がある。

 今年4~5月、双方の幹部が話し合いの場を持ち、決裂した和解交渉について、六代目山口組の談話があると予想されたからだ。神戸山口組側はすでに織田絆誠若頭代行が活字メディアのインタビューに実名で応じ、その詳細を明らかにしている。

 その要旨は“六代目側の使者が神戸山口組の井上邦雄組長に戻ってもらえないかと打診しながら和解条件に即答できず、はぐらかされたまま破談した”というもので、コンタクトしてきたのも六代目側と説明されている。

 そのため、東海テレビのインタビューに応じたのは、織田若頭代行のカウンターパートとして和解交渉に当たった六代目山口組若頭補佐・清水一家・高木康男総長ではないかと予想された。ところがいざふたを開けてみると動画にはかなりのぼかしが入り、音声も加工されていた。

「責任ある立場の者が来るんだったら会うてやろうと。どういう言葉か知らんけどほんで来た。もう話にならんからさよならですわ」

 ざっくりこう話しているだけに、高木総長本人でないことは明白である。きつい関西弁訛りのため、当事者も自分がしゃべったことは、すでにばれていると考えているはずである。神戸山口組側の組長も言う。

「あんな加工に意味はない。関係者なら誰がしゃべったかすぐわかる。それでも100%の物証がなければとぼけて認めないのが名古屋(弘道会)のやり口。反対に相手を詰めるときは、ビデオや録音など、言い逃れのできない証拠を突きつけてくる。たとえはめられたとしても言い逃れできない。このやり方に反発したのが、分裂した側の心情。またか、という思い」

 もっとも焦ったのは、テレビ業界の面々かもしれない。というのも警視庁筋が「六代目(司忍組長)がインタビューに応じた」と吹聴したため、キー局の社会部記者たちが「抜かれた」と右往左往していたのだ。

「最初はTBSの同日午後6時のニュースと伝わってきた。パイプを駆使して探りを入れてもわからず、番組が始まってからもずっとチェックしていた」(フジテレビ関係者)

 六代目のインタビューは、山口組報道で最もテレビが欲しがる当事者取材である。某局は200万円近いギャラを提示したという噂も流れる。インタビューが実現したとしても、六代目山口組がギャラを受け取るはずがなく、応じるとすれば他のメリットがある場合に限られる。テレビ関係者はヤクザたちの行動原理をもう少し学んだほうがいい。

※週刊ポスト2016年9月30日号

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