羅惧美偉がSNSに頻出、ネットの「おっさんホイホイ」とは

羅惧美偉がSNSに頻出、ネットの「おっさんホイホイ」とは

1985年から91年まで連載された人気漫画

 ネットで必ず盛り上がる話題のことを、盛り上げてくれる人たちの属性をつけて○○ホイホイと呼ぶ。その中でも注目度が高いのは、30〜50代の男性が飛びつく「オッサンホイホイ」だろう。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、オッサンホイホイの時事性について考察する。

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 ネットで拡散する話題を見ると、「オッサンホイホイ」的なものが多い。ネット用語における「オッサン」は大体「33歳〜59歳」か。それ以降は「爺さん」扱いだ。「ホイホイ」は「ごきぶりホイホイ」に由来があり「オッサンホイホイ」は、「オッサンを引き寄せる話題」を意味する。たとえば、ウェブメディア「ねとらぼ」に掲載された「『キャプテン翼』を世に送り出したテクモがいかに偉大かを皆さんに説明します」という記事は1988年に発売されたファミコン用ソフト「キャプテン翼」の画期性について言及したもの。

 この記事がすぐさま匿名掲示板「5ちゃんねる」に行き、「コマンド型ストラテジースポーツゲームの始祖であり頂点」などと書かれ、当時の思い出が次々と語られる。あとは、「くるまのニュース」が掲載した「やっぱり『あぶない刑事』のレパードでしょ! 刑事ドラマで活躍したクルマ5選」という記事もコメントが盛り上がった。

 1986年開始の舘ひろしと柴田恭兵が主演の刑事ドラマだが、日産の「レパード」に2人は乗っていた。サングラスをかけた2人がこのクーペ型の車で颯爽と現場に乗りつけ、事件解決(というか悪いヤツと撃ち合う)をする様は実にカッコ良かった。

 こうした光景を見るにつけ、ネットで活発に語られるものは「人数が多い30代後半〜50代前半の世代の男」向けの話題であることが分かる。だからこそ、お台場に実寸大ガンダムが登場すればこの世代の男が歓喜する。「ガンダム総選挙」なんて番組をNHKが企画すれば、多数の投票が寄せられ、No.1作品にはいわゆる『ファーストガンダム』が選ばれる。ファミコン、スーパーファミコンの人気ゲームを30本詰め込んだ新ゲーム機が登場すればすぐ売り切れる。「ウケる鉄板ネタ3」を挙げると以下となる。

【1】『北斗の拳』など1980年代中盤〜1990年代前半の『週刊少年ジャンプ』ネタ
【2】ファミコン、スーパーファミコン、ドラゴンクエスト関連話題
【3】1980年代のテレビ番組関連話題

 いずれも、現在のオッサン世代にとって「あったあった!」とネットで雑談できるような話題を出せば盛り上がるのだ。

 ラグビーW杯もオッサンホイホイになった。若い人からは奇異に思われたかもしれないが、しきりと「羅惧美偉」という文字がSNSに書き込まれた。これこそ、現在の40代が少年時代に熱狂した、ジャンプの人気連載漫画『魁!!男塾』に登場する謎の過激スポーツなのである。両チームが毒入り日本酒を飲み、15人1チームで鋼鉄製のボールを回し合い、トライをしたら解毒剤が手に入れられるというルールだ。武器は何を使っても良い。これぞ男塾名物「羅惧美偉」である。

 W杯開幕後はツイッターに「今、羅惧美偉見てる」などと書く人が次々と登場した。日本が決勝トーナメント1回戦で南アフリカに負けたら、「日本負けたからもうこのハッシュタグ使えないのが残念や。 #羅惧美偉」と書く人もいた。オッサンがこの言葉をネットに書きたくて仕方がなかった様がよくわかり久々にほのぼのした。

●なかがわ・じゅんいちろう/1973年生まれ。ネットで発生する諍いや珍事件をウオッチしてレポートするのが仕事。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』など

※週刊ポスト2019年11月8・15日号

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