動物園の悲しい事情 相次ぐ事故や入場者減少も

動物園に年々来場者の減少や動物の事故死続出などの問題も 旭山動物園は来場者が半減

記事まとめ

  • 年々来場者の減少や動物の事故死続出など、問題抱える動物園が増えているという
  • 厳しい状況は"スター動物園"といわれる旭山動物園も例外ではなかった
  • 2007年の絶頂期に年間300万人だった来場者数は、現在その半数にまで減少している

動物園の悲しい事情 相次ぐ事故や入場者減少も

動物園の悲しい事情 相次ぐ事故や入場者減少も

入場者の減少や赤字に悩む動物園も多い

 9月19日、長寿を祝う「敬老の日」。この日は各地の動物園で、動物の“お年寄り”を祝うイベントが開催され、大にぎわいだった。例えば『神戸市立王子動物園』(兵庫)では、国内最高齢のチンパンジー・ジョニー(推定66才)にバナナやぶどうをトッピングしたケーキが贈られた。

 なんとジョニーは、人間に換算すると100才。また、『宇都宮動物園』(栃木)では、来園した子供たちがツキノワグマの老夫婦クーとマー(人間換算80才)に、ハチミツをかけたケーキをプレゼントした。

 そして、シルバーウイーク最終日の9月25日。『上野動物園』(東京)には、開園前から老若男女が列をなしていた。待つこと30分、やっと中に入ると、パンダ舎の入り口にすぐに行列ができる。

「1970年代のパンダブームの時も、こうして見に来ました。もう一度、今度は孫と一緒にパンダを見られてとてもうれしい」と3世代で来園した家族連れなど、幅広い年齢で楽しめるのが動物園の大きな魅力だ。

 大の動物園好きと公言しているタレント・坂下千里子(40才)も、やはり娘と行くことが多いと話す。

「動物園は、祖父母との思い出の場所。3才の時、初めて動物園に行ったときにふたりにはさまれて撮った写真は、今でも宝物です。今は娘に、ゾウやキリンなどなかなか日常で会えない動物と触れ合ってほしいという気持ちから、足を運んでいます」(坂下)

 しかしその一方、「年々、来場者が減少」「大きな赤字」「動物が相次いで事故死」など、問題を抱える動物園も多い。

『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)に出演して話題になったチンパンジー「パンくん」が暮らす『阿蘇カドリー・ドミニオン』(熊本)は、来場者が最盛期の半分以下に減少し、赤字で事業譲渡された。そして、厳しい状況は、あのスター動物園も例外ではなかった。

「とにかく動物との距離が近い。ゴリラのおしっこやうんちが危うくかかるところでした」

 そう坂下も興奮気味に語る『旭山動物園』(北海道)。8月最後の週末に訪れた同園は大勢の家族連れやカップル、外国人でにぎわっていた。しかし、そのにぎわいは10年前、毎日のようにテレビや雑誌で旭山動物園が取り上げられていた頃、記者が感じたものとは全く違った。

 当時は、園内を自由に歩けないほど人があふれ、まるで連休中の原宿・竹下通り、あるいは『東京ディズニーランド』のような状態だった。大人気のアザラシやペンギンを見るために2時間並ぶのは当たり前で、とても1日ではすべての動物を見ることができなかった。

 だから今回、アザラシもオランウータンもキリンも、全く並ばず、スムーズに見て回ることができたことに違和感を覚えた。

 聞けば、2007年の絶頂期に年間300万人だった来場者数は、現在その半数にまで減少しているという。この状況について、園長の坂東元さんは、意外にも「ちょうどいい」と話す。

「あの頃は人が多すぎて、私たちも大変でした。事務所からちょっと外に出ただけなのに、人に揉まれて一日中戻れなくなったり…あの頃来たかたは、ゆっくり動物を見ることができず、『二度と来ないぞ』と思ったんじゃないかな」

 実際、何度も訪れているという地元の男性は、「当時は1つの展示を見るのに50分待ちは当たり前。地元ではみんな、『混むから行きたくない』と言ってました。だから今くらいが見て回りやすいし、家族で出かけやすい」と証言する。

 また入園者数の急増は、実は動物のストレスを引き起こすこともある。特に、いっぺんに多くのカメラのフラッシュを浴びるのは、動物にとって大きな負担になるという。

「当時の動物たちは、なんだかいつもぐったりしていました」(前出の地元男性)

『旭山動物園』と並び、北海道の2大動物園といわれる札幌の『円山動物園』も、夏休みの家族連れでにぎわっていた。ただ、動物たちは暑さのせいなのか、旭山の動物たちと比べると、どこか元気がなく気だるげだ。

 札幌市在住で同園を何度も訪れている女性に聞くと、「夏の間に夜、動物園を解放する“夜の動物園”や新規施設へ移動したことが、動物にとってかなりのストレスだったのかもしれませんね」と心配そうに話した。

 実はこの“ストレス”、死につながる可能性もあるのだ。『円山動物園』ではストレスが原因とも言える動物の死亡事故が相次いで起こっている。2015年7月、マレーグマの雌(推定30才以上)が、同居していた5才の雄に執拗に攻撃されているのを、観察していた飼育員が「深刻な状況ではない」と判断し、放置したことから死亡。その死は虐待死と報じられた。

 翌月にはシマウマが、新設された「アフリカゾーン」への引っ越しで死亡。相次ぐ動物の死亡事故は世界でも大ニュースとなり、市の動物管理センターが立ち入り検査をするなどの事態に発展した。

 動物園側は、「比較的新しい施設で起きているので、今後新しい施設を作るときは設計に充分な検討と検証を行う」「飼育員の数を増やし、専門職にも門戸を開く」など改善策を打ち出し、再発を防ぐべく、事に当たっている。

※女性セブン2016年10月13日号

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