商品デザイン一新で売上激増 なぜLOHACOでモノが売れるのか

商品デザイン一新で売上激増 なぜLOHACOでモノが売れるのか

LOHACOデザインで通常品の11倍も売り上げた花王「リセッシュ除菌EX」

 スーパーやドラッグストアなどに並ぶ日用品のパッケージは、どれも派手な宣伝文句で埋め尽くされ、オシャレじゃないと思っている人は多いだろう。そんな消費者の声に応えるように、近年、NB(ナショナルブランド)商品のデザインのみを変えたバージョンも販売し、売り上げを伸ばしているメーカーが増えている。値段は少々高めでもデザイン重視の商品が選ばれる背景について、経済ジャーナリストの河野圭祐氏がレポートする。

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 トイレタリーやキッチン、バス回りなどの日用品に関して、消費者は普段、少しでも安く買いたいという意識が働き、商品のデザインなどには無関心な人が多い。また、実用本位で味も素っ気もないデザインの商品が多いのも事実だ。

 そこに着目したのが、個人向け通販サイトのLOHACOを運営するアスクルだった。同社の取締役でBtoCカンパニーCOOの木村美代子氏はこう語る。

「NBの日用品は、スーパーやドラッグストアなどの店頭に並べる際、同業他社の商品よりいかに目立つかがすごく大事です。よって、パッケージには商品名以外に『除菌』とか『〇〇100%』『汗や匂いを根こそぎ取る!』といった文字が大きく表示されている。

 でも、EC(電子商取引)ならばネット上のサイトでしっかり商品説明ができるので目立つ必要がなく、ECだからこそ生活者起点のデザインができると考えたのです」

 アスクルでは2014年、マーケティング研究活動のECマーケティングラボをメーカーとの協働で立ち上げ、その後、毎年秋に「暮らしになじむLOHACO展」を開催、ラボの成果発表の場としてきた。

 メーカーとのコラボ商品が登場したのは2016年からで、まず同年、当初からコラボに参画している花王の「リセッシュ除菌EX」がヒットしている。

「NB商品のままだと、(商品名や機能の表示が目立って)家の中であまり置きっぱなしにしたくなく、棚の中にしまうケースも多い。そうなると結局、使わなくなって余らせてしまうこともある。そこでデザインを一新した『リセッシュ』をLOHACOで売り出したところ、通常品より100円高い398円の値付けにもかかわらず、発売1年間の累計で、通常品の11倍も売り上げたのです。

 お客様のレビューを見ると、『デザインが素敵で棚にしまわなくていいので、ベッドサイドや玄関、リビングに置くことができ、いままでよりも使う頻度や機会も増えた』といった声が多く寄せられました」(木村氏)

 コラボによる代表的なヒット商品は、花王製品が目立つ。翌2017年には「ビオレu泡ハンドソープ」も通常品の8倍を売り上げた。透明なボトルや陶器に詰め変える人が多いことに着目し、有田焼デザインを転写したものを3種類用意、パッケージに貼り付けたところウケたのだという。

 このヒットによって、さらに2018年は、「ビオレu泡で出てくるボディウオッシュ」で、レース模様のパッケージにしたバス回り商品も投入している。

 キッチンやバス回り商品だけに主力ターゲットは女性だが、通常品のように価格が安ければいいと割り切る主婦は、スーパーやドラッグストア、ネット通販ならアマゾンや楽天などで購入するケースが多くなる。

 一方で、毎日使うものであっても、お洒落でほのぼのと癒されるデザインの商品に囲まれたいという人も一定層はおり、そうした層がLOHACOの得意客というわけだ。

 仕入れのスケールメリットで価格競争力が強いアマゾンや楽天に対し、LOHACOは同じ土俵ではなかなか勝負できない。そこで考案したのがメーカーとのコラボ商品だともいえる。また、メーカー側も量を捌いてくれるアマゾンや楽天も無視できないものの、価格軸以外のところにも販路を広げないと疲弊しかねず、利害も一致する。

「コラボ商品のLOHACO全体に占める売り上げは非開示です。コラボだけでなく、メーカーがLOHACO向けに作ってくれているPB(プライベートブランド)商品もありますし。

 コラボ商品の価格はものにもよりますが、通常品より5%から10%ぐらい価格が高めでしょうか。そこは、費用対効果でお客様に納得してもらえる価格ゾーンをいつも考えています」(同前)

 メーカー側の思惑は、サッポロビールの幹部が次のように語る点に集約されるかもしれない。

「LOHACOは生活に密着している通販サイトなので、コラボ商品の販売を通してお客様にどんな反応があるのか、テストマーケティング的に継続的に見ていきたい。

 ビールは装置産業ですから、単品の大量生産のほうが採算的にはいいに決まっていますが、ビール市場が縮小し、ニーズも多様化する中で、もう大ロット商品でやっていける時代ではありません。

 ビール業界に限ったことではないと思いますが、小ロットでもいろいろな取り組みをしていかないといけない。当社でも、一般消費者から募ったアイデアをもとに、極小ロットでビールを作る『HOPPIN’ GARAGE』というサービスも開始していますし、LOHACOとの取り組みもそうした多様性のひとつと考えています」

 そして今年のLOHACO展は、デザイン性に加えてサスティナブルをキーワードに掲げ、商品では製紙関連企業のものが目立った。

 トイレットペーパーを通常の3倍巻にし、ビニール袋でなくクラフト紙袋にした商品(日本製紙クレシア)や、通常5箱の紙パック入りのティッシュボックスを紙袋1つにまとめた商品(王子ネピア)、通常は派手な包装をシンプルにした生理用商品(大王製紙)などがそれだ。

「これからの環境対応商品は、ビニールやプラスチックに代わって紙が主流、主役になっていくので、製紙会社のトップ自ら、相当張り切ってコラボ商品に取り組んでくださっているのが印象的です。SDGs(持続可能な開発目標)という点でも、経営者ほど関心が高いですからね。

 また、お客様視点で見ても、環境や社会に配慮した商品やサービスを購入する、エシカル消費(※注)の機運が高まってきているのもLOHACOにとって追い風です」(同前)

※注/人と社会、地球環境、地域のことなどを考慮して作られたモノを購入・消費しようという行動

 今年のメーカーとのコラボ商品は、45社52アイテム。前述した環境対応商品は今後、メーカーも通常のNB商品でも続々と出していくだろうから、デザイン性とひとひねりある機能性を併せ持つ商品を、LOHACOがどれだけ出し続けていけるか、知恵とアイデアの勝負になりそうだ。

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