あいおいニッセイ同和損保社長 「少子高齢化はチャンス」

あいおいニッセイ同和損保社長 「少子高齢化はチャンス」

あいおいニッセイ同和損害保険の金杉社長

 台風や地震などの自然災害が頻発し、高齢者ドライバーによる交通事故が多発するなど、損害保険の重要性は増している。そんななか、社会の新たなニーズを汲んだ新商品を次々発表しているのがあいおいニッセイ同和損害保険だ。

 同社社長で日本損害保険協会会長でもある金杉恭三氏(63)にこれからの損害保険のあり方を訊いた。

──自動車保険は損保ビジネスの大きな柱になっています。

金杉:高齢ドライバーによる交通事故や、悪質なあおり運転の社会問題化など、ドライバーを巡る環境は大きく変化しています。

 当社では来年1月から、ドライブレコーダーから取得した走行データに基づき、安全運転の度合いを保険料に反映する国内初のテレマティクス自動車保険「タフ・見守るクルマの保険プラス」を販売します。

 テレマティクスとは「テレコミュニケーション(通信)」と「インフォマティクス(情報工学)」を組み合わせた造語で、ドライブレコーダーやカーナビ・GPSを利用して様々なサービスを提供すること。

 この商品は、後付けのドライブレコーダーがセットになっており、安全運転の度合いに応じた割引が次回継続時の保険料に反映される仕組みとなっています。

──しかし、クルマも免許も持たない若い世代が増えており、団塊世代が後期高齢者になれば免許の自主返納も増える。自動車保険市場の縮小は避けられないのでは?

金杉:現在、国内の乗用車保有台数は約6000万台で、2035年にはそこから900万台減るという試算もあります。少子高齢化の中でカーシェアリングなどが進めば、古いスタイルの自動車保険の加入者も減っていくでしょう。

 ただし、カーシェアリングや自動運転が増えれば、これまでとは違ったビジネスも拡大します。

 たとえば20年後、Maas(※注)は約6兆円の市場規模になるという統計データがありますが、これは現在の百貨店業界の市場規模と同じです。そのくらい大きなマーケットが新たに生まれることになる。

【※注/「モビリティ・アズ・ア・サービス」の略。情報通信技術を活用し、マイカー以外の全ての交通手段による移動をシームレスに提供するサービスのこと】

 そうなれば新しい保険ニーズは必ず出てくる。便利で高度な社会になればなるほど付随するリスクも巨大化していくので、むしろ我々にとってビジネスチャンスは増えていくでしょう。

 また、高齢社会で生じる諸問題にもしっかり対応していくことが必要です。たとえば高齢者の深夜徘徊、それにより電車を止めてしまった場合の損害を補償する保険も、自動車保険や火災保険の特約として付帯し、特約保険料も安価でご提供しています。このような賠償保険のニーズは今後ますます高まっていくと思います。

──同業他社とは違う、あいおいニッセイ同和損保らしさはどんな点にある?

金杉:当社は行動指針として「地域密着」を掲げ、常に地域社会とのつながりを大切にしてきました。少子高齢化対策・観光や障がい者スポーツ支援を行なうとともに、260を超える地方公共団体と連携協定を結んでいます。

 たとえば当社では県立広島大学と共同で「避難保険」の商品化に向けて調査を開始しました。災害が迫り、自治体からの避難勧告が発令されてもすぐに避難できない方はたくさんおられます。そうした方のご自宅に迎えに行く、安全で快適な場所に避難してもらう、そういった一連の費用を保険で賄うというサービスを想定しています。

 この「避難保険」のアイディアも、地域の自治体や学術機関と強い結びつきがあるからこそ生まれた発想です。

 当社は、大手損保の中でも、リテール(個人向け)に注力している。お客様の目線と近い商品開発とビジネスを大事にしていきたいと考えています。

【PROFILE】かなすぎ・やすぞう/1956年、東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、1979年に大東京火災海上保険入社。あいおい損保執行役員を経て2010年にあいおいニッセイ同和損保執行役員。その後、同社取締役常務執行役員、取締役専務執行役員などをへて2016年4月より現職。

●聞き手/河野圭祐(ジャーナリスト):1963年、静岡県生まれ。経済誌編集長を経て、2018年4月よりフリーとして活動。流通、食品、ホテル、不動産など幅広く取材。

※週刊ポスト2019年11月22日号

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