桜を見る会 不都合なかったことにする「オーストリッチ効果」

桜を見る会 不都合なかったことにする「オーストリッチ効果」

「桜を見る会」で招待客と記念撮影する安倍晋三首相(EPA=時事)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々を心理的に分析する。疑惑が取り沙汰されている「桜を見る会」を分析。

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 安倍晋三首相が毎年春に主催する「桜を見る会」をめぐる疑惑が報じられた時、口から出たのは“またか”と“やっぱり”だ。野党や記者らの追及をかわそうとする安倍首相や菅義偉官房長官の答弁や発言は、「政権に何か隠したいことがあるのでは?」と国民に思わせてしまう。疑惑の火種を消そうとしながら、火に油を注いでいるのだ。

 税金を使って開かれた会には、首相の地元後援会関係者が多数招待され、中には昭恵夫人の推薦枠もあったという。安倍首相は招待客の推薦について、当初「取りまとめ等には関与していない」と発言、「推薦者について意見を言うこともあった」と関わりの薄さを強調したが、「安倍首相への貢献度合いが招待基準だったのでは」と皮肉を込めた記事もあった。

 さらに過去には、反社会的勢力の関係者が会に参加していたり、悪質なマルチ商法で経営破綻したジャパンライフ元会長も招待され、これが首相や官房長官による推薦枠で招待されたのではないかという疑惑も浮上。野党がこれを追及するも、未だ納得のいく説明はされていない。

 肝心の招待客名簿は、野党議員が資料要請した当日、シュレッダーにかけられ廃棄されるという手際のよさだったが、安倍首相は「野党からの資料要求とは全く無関係だ」と国会で答弁した。電子データも削除され、復元は不可能というのだから、政権にとって都合が悪くなった途端、あったはずの物を消したという印象は拭えない。

 それだけではない。反社会的勢力の関係者と一緒に写真におさまっていた菅官房長官は、その人物が会に「結果として入っていた」と発言。にもかかわらず、反社会的勢力の関係者が会に出席したと「私自身は申し上げていない」と釈明しただけでなく、反社会的勢力の定義についても「さまざまな場面で使われることがあり、一義的に定まっているわけではない」と反論したのだ。

 政府は2007年、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」を策定し、反社会的勢力について定義した。にもかかわらず、森まさこ法相までが「反社会的勢力という言葉は様々な文脈で用いられているので、一般論としてお答えするのは困難」と国会で答弁してしまった。安倍政権ではあったはずの定義すらなかったものになるらしい。

 不都合になると、あったはずのものをなかったものにしてしまう、見なかったことにしてしまうという「オーストリッチ効果」が、安倍政権や官僚の中に蔓延しているのではないか。オーストリッチは日本語でダチョウと訳されるため、この効果を「ダチョウ効果」と呼んでいるものもあり、ダチョウが危険に遭遇すると、頭を地面や砂の中に突っ込んで見ないようにし、やり過ごそうとする習性に由来している。

 安倍政権や官僚らは、オーストリッチ効果により逃避的な防衛傾向をますます強め、この疑惑をやり過ごそうとしているようだが、疑惑の火種はなかなか消えない。多くの人がSNSに投稿しすでに公開情報となっている「桜を見る会」。情報番組でも、連日のように参加した人の証言や招待状の写真を報じ、役所仕事の矛盾点も突かれている。

今回の問題を巡り、安倍政権の支持率は低下傾向が続いているだけに、ここで新事実が発覚すれば、政権にとって更なる厳しい事態も予想される。果たして首相の意向に沿う幕引きとなるのだろうか。

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