新宿ホスト殺人未遂 ガールズバー元店長の直筆手紙全文公開

新宿ホスト殺人未遂 ガールズバー元店長の直筆手紙全文公開

ガールズバーの店長だった高岡由佳被告(本人のInstagramより)

「好きで好きでしょうがないから刺した」──12月5日、東京地裁で開かれた、ガールズバーの元店長・高岡由佳被告(21)の判決公判。事件は、今年5月23日、東京・新宿区のマンションで、高岡被告が20歳のホスト男性・琉月(るな)さんの腹部を刃物で刺し重症を負わせたというものだった。東京地裁が下した判断は懲役3年6か月の実刑判決だった(求刑は懲役5年)。

 判決当日。被害者の琉月さんが勤務するホストクラブを訪れると、2日前の初公判から一転、鮮やかな赤髪となっていた。「いろいろあったから、気分を変えたくて……」とはにかんだように笑った琉月さん。

 この裁判では、被害者である琉月さんが、刑事罰を求めない嘆願書を出すという異例の展開を辿っていた。実は、その背景には事件後、高岡被告から直筆の謝罪の手紙をもらっていたことがあった。その手紙が、彼に500万円で示談を決意させ、嘆願書を出させたという。

 琉月さんは、何度も俊巡しながらも、「本当のことが伝わるなら」と、高岡被告からの手紙を見せてくれた。

 判決当日の朝、琉月さんは心境をこう話していた。

「俺も悪いし、刺したことも悪いし。ただ俺は彼女に幸せになってほしい。綺麗事のように聞こえるかもしれないけど、それは本当だし」

 高岡被告は、ホストクラブに通うために風俗店でもアルバイトしていた。

「……風俗で働いていたことは、警察から聞きました。彼女にぜんぶ頼りきっていた。辛い思いをしているのはわかっていたけど……ただ(風俗を)やっているならやっていると言ってほしかった。それを聞いてたら、彼女への対応も変わっていたかな。

 彼女が社会に戻れたら、『家族を大事にしてあげて』と言いたい。次に幸せになるんだったら、俺みたいな仕事というか、ホストが悪いわけじゃないけど、俺みたいな人じゃなくて、もっと、いい人がいるから。ちゃんと幸せになってほしい」

 そう語った琉月さん。彼の心を動かした高岡被告の手紙の全文を紹介しよう。

 

 * * *

 突然のお手紙でごめんなさい。私からの手紙も、言葉も、貴方にとって心底気持ちが悪い物だと思います。本当にごめんなさい。ただ、今回の事をどうしても謝りたくて、手紙を書かせて頂きました。謝罪も、手紙も、何も意味が無く、私の自己満足だと感じると思います。あれだけ最低でひどい事をしておいて手紙なんて、自分勝手で気持ちが悪い事だと、理解しています。謝罪の手紙を送ったところで、許されるはずも無いですし、貴方の私に対する嫌悪感も恐怖心も、痛みも苦しみも増えるばかりで消えることは無い事を理解しています。本当にごめんなさい。人間として最低なことを、一生許されない事を私は貴方にしてしまいました。本当にごめんなさい。私には想像もできない程、痛かったと思います。苦しかったと思います。何より1番、怖かったと思います。本当にごめんなさい。

 私の自分勝手な感情で、貴方の気持ちや何もかもを考える事が出来ないで、傷付けて、迷惑をかけてごめんなさい。貴方の事が好きだと言っておいて、自分の希望ばかり押し付けて、貴方を苦しめて本当にごめんなさい。一生後悔して生きていきます。本当は直接、伺って謝罪すべきだと理解していますが、手紙で謝罪する無礼をお許し下さい。本当にごめんなさい。

 2カ月という短い時間でしたが、夢のような幸せな時間をありがとうございました。本当にごめんなさい。貴方の嫌がる事をして、貴方の邪魔をして、貴方を縛ろうとして迷惑をかけて、傷付けて怖い思いをさせてごめんなさい。気持ちが悪くて本当にごめんなさい。もう2度と言いません、こんな時でさえ気分を害してしまって本当にごめんなさい。

 全部私の責任で、私が起こした事なのに、私がこう言うのはおかしくて、頭がおかしいと思われると思いますが、貴方の身体の無事を心から願っています。私が言うのも、無事という言葉も全て間違っている事は分かっているのですが、正しい言葉が私には分からず間違った表現になってしまい申し訳ありません。

 恐ろしい事をしてしまって、貴方の事を考えず気持ちを押し付け無理強いして、本当にごめんなさい。もう2度と近付きません。働いて、一生をかけて償わせて頂きたいと考えています。お金の話になってしまって申し訳ありません。私から貴方へ形として示せる誠意は、私にはお金しか思い付きませんでした。本当にごめんなさい。ごめんなさいという言葉でしか伝えられず、本当にごめんなさい。

 今まで沢山、ありがとうございました。本当に申し訳ありませんでした。

令和元年6月9日
高岡 由佳

 * * *
 判決が出た直後、再び琉月さんと話ができた。

「執行猶予、つかなかったんですね……」

 ため息交じりにそうつぶやき、押し黙ってしまった。

◆取材/宇都宮直子(ジャーナリスト)

関連記事(外部サイト)