浜矩子氏 安倍首相の良さは「潔さ」と「控えめさ」なところ

浜矩子氏 安倍首相の良さは「潔さ」と「控えめさ」なところ

浜矩子・同志社大大学院教授(写真/共同通信社)

 在任期間で憲政史上最長となった安倍晋三首相。この総理は褒められると喜ぶが、厳しい批判には「オレは何も悪くない」と耳を塞いで聞こうとしない。

 ならば、褒めて褒めて褒め倒そうではないか。そうすれば、褒められることが大好きな安倍首相にも、国民の本当の声、怒りや不満が届きくかもしれない。そこで、同志社大学大学院教授〈経済学〉の浜矩子氏に安倍首相を讃えてもらった。

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 安倍首相の美徳としてあげたいのは、「潔さ」と「控えめさ」が素晴らしいということです。

 ご説明すると、打ち出した政策がうまくいかない、ダメだと見るとすぐさま方針を翻す、という潔さです。

 安倍政権は「アベノミクス」の推進を唱えて立ち上がりましたが、その当初、これまでの『縮小均衡の分配政策』から『成長と富の創出の好循環』へと転換すると宣言しました。大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の『三本の矢』によって、経済が縮小していく中で少ないパイを分け合うのではなく、経済を拡大させてみんながより多くのパイを得ることができる好循環へと転換させ、『強い経済』を取り戻すことに全力で取り組むと打ち出しました。

 ところがその後、どうもうまくいかないとわかると『分配』も必要なのではないか、とお考えを改められたようです。2016年の骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針2016)では、突然、『成長と分配の好循環』を掲げられたのです。『分配政策』はやめると言っていたのに、いきなり『富の創出』を『分配』に差し替えたのです。

 この潔さは非常に立派だと思います。

 そして、この大きな政策転換に関して、一言も世間に対して説明がありません。この姿勢、極めて控えめで素晴らしいと思います。

 安倍首相の良さはいろいろありますが、その一つとして私はこの「潔さ」「控えめさ」を讃えたい。

※週刊ポスト2019年12月20・27日号

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