スズキ新型ハスラーに刺客も 軽SUVの「角張り」対決が激化

スズキ新型ハスラーに刺客も 軽SUVの「角張り」対決が激化

2020年1月20日に発売される新型ハスラー(スズキ)

 2020年1月20日に発売となる、スズキの軽クロスオーバーSUVの新型「ハスラー」。一度は、旧型のやや丸みを帯びた形状のデザインでまとまりかけていたが、再度議論し直し、新型のようなスクエアでボクシーなフォルムに変更されたという。さて、このモデルチェンジが吉と出るか──。経済ジャーナリストの河野圭祐氏がレポートする。

 * * *
 スズキの四輪デザイン部エクステリア課長の山本雄高氏は、近年人気のSUVトレンドについて、こんな見方をしている。

「いろいろ調査してみると、特に東京都内では本格的なSUV、それこそ真四角なかなり力強いSUVを、普通に使っていらっしゃる方がたくさんいる。実際には街乗りメインで使っていても、クルマの見た目は、岩山にでも登っていきそうなカテゴリーのSUVを使っておられるわけです。

 そういう力強さが、実用的な側面だけでなく、ファッションテイストとしてもいまのSUVに求められているのかなと強く感じました。たとえば、旧型ハスラーはボンネットの前面は少し下がっていましたが、新型では逆に少し上げて、力強さを表現しています」

 他社の普通車も含めたSUVは、曲線や曲面を多用して、流麗に仕立てたクルマが多い。だが、世界的に売れ筋車がSUVになっている昨今、従来の曲線美を感じるSUVは、消費者から少し飽きられてきているのかもしれない。

「といって、SUVのトレンドがボクシーデザインに移行していることはなく、いわば2極化しているのだと思います。

 従来の乗用車をクロスオーバー化したモデルはたくさんありますが、かつてのようにそうしたモデル一辺倒ではなく、『ジムニー』(スズキの本格クロカン四駆)のように、ちょっとプリミティブな四角いデザインも評価される時代になりつつあるのかなと」(同前)

 2018年夏に20年ぶりのフルモデルチェンジを受け、ヒットを飛ばしたジムニー自体、旧型に比べると大幅なボクシースタイルに変わったが、先祖返りしたかのようなスクエアフォルムに、多くの人が新鮮さを感じていた。

 山本氏は、「コンセプトは違いますが、ジムニーとハスラーは開発期間が重なっていまして、お客様が求めるテイストとして、ファッション的な側面からジムニーライクな佇まいの要素は求められている」と言うから、四角い武骨なスタイルのSUVにはかなり手応えを持っているのだろう。

 もちろん、軽自動車は全高の自由度はあるものの、全長や全幅には規格の制約がある。勢い、スペース効率やユーティリティを考えると、スライドドアのハイトワゴンが売れ筋となるのだが、「軽の規格の中でボクシーなSUVを作ろうとすると薄っぺらく見えてしまいますので、できる限り力強く見えるよう、使用している鋼板の厚み感をどう出していくかもポイントでした(チーフエンジニアで新型ハスラーを手がけた竹中秀昭氏)という。

 今回の新型ハスラーは、全グレードでマイルドハイブリッド搭載車となり、少々寂しい気はするがMT車の設定が見送られるなど、コストセーブした分を相当、安全性能や装備の充実に割いた。

 特に、ターボ車については全車速追従機能付のアダプティブクルーズコントロールや車線逸脱抑制機能を、スズキの軽としては初めて搭載。そのため「旧型では15%だったターボ車の販売比率は、新型では倍増の30%ぐらいになると、期待値も含めて考えている」(製品・用品企画課係長の高橋修司氏)。これは、ノーマルなNA(自然吸気)モデルは街乗り使いメインなのに対し、過給機のターボモデルは、より遠出を楽しみ、高速道路の利用頻度も高くなることを想定してのことだ。

 肝心の価格だが、昨今、上級グレードともなると200万円オーバーとなる軽自動車も珍しくない中、新型ハスラーは、NA2WDのベーシックモデルで136万5100円(消費税込み)からと、かなり頑張っている。

 また、拡販上、旧型モデル以上に力が入ると思われるターボ車は、ベーシックなGタイプの2WDが145万9700円から、LEDヘッドランプやフォグランプ、アルミホイール、本革巻きステアリングホイール、6スピーカーなど上級モデルのXタイプの2WDで161万2600円だ。

 これに、旧型で人気となった2トーンカラー仕様車のメーカーオプション、4万4000円を加えると消費税込みで165万6600円となる。ただし、旧型よりモノトーンカラーが映えるボクシーな車体になっていることから、旧型比で、モノトーン車の販売比率も上がる想定をしているようだ。

 新型ハスラーに対し、同じようなスクエアフォルムの軽クロスオーバーSUVという“刺客”を、半年後の2020年央にも送り込むのがライバルのダイハツだ。それが、2020年1月10日から幕張メッセで開催される「東京オートサロン」に出品予定の「タフト コンセプト」である。コンセプトとはいっても、ほぼ市販車そのままと考えていいようで、全高は1630mmと新型ハスラーより50mm低く、より精悍なイメージを醸し出す。

 前出のスズキ・竹中氏は、ライバル登場にも動じず、こう自信をのぞかせる。

「軽ワゴンとSUVの融合によって、我々はハスラーという新たなカテゴリーを作ったと考えているので、それを確たるものにする。まだまだ軽のSUVは伸びしろがあると思っており、その主役であり続けていきたい。新型ハスラーは、ハイトワゴンの室内居住空間求める人にも受け入れられると考えています」

 新型ハスラーの月販販売目標が6000台というのはやや控えめな数字に映るが、まずは納車待ちを極力少なくし、販売を安定軌道に乗せたところでライバル車を迎え撃つことになる。

関連記事(外部サイト)