開かずの踏切対策 QRコード付き看板設置で運行情報提供も

京成電鉄が開かずの踏切に新たな対策 QRコード看板を設置し、運行情報の提供を開始

記事まとめ

  • 京成電鉄・船橋競馬場前駅に隣接する踏切の遮断桿をノコギリで切断した男が逮捕された
  • 京成は開かずの踏切に新たな対策を始め、QRコードを駆使した運行情報の提供を開始
  • 3月末までに93カ所の踏切にQRコード付き看板を設置する予定だという

開かずの踏切対策 QRコード付き看板設置で運行情報提供も

開かずの踏切対策 QRコード付き看板設置で運行情報提供も

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 仕事始めからいきなり、踏切事故の影響で電車が遅れてふだん以上に疲れてしまった人もいただろう。近年、踏切事故の原因のひとつに、1時間のうち40分以上遮断機が下りている開かずの踏切問題がある。すぐに解消することは難しいが、利用者の利便性向上のために様々な努力がなされている。ライターの小川裕夫氏が、京成電鉄が踏切に運行情報にアクセスできるQR情報の表示についてレポートする。

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 昨年4月13日、京成電鉄船橋競馬場前駅に隣接する踏切の遮断桿をノコギリで切断した男が器物破損の容疑で逮捕された。当時、京成電鉄は事故で電車が止まっていた。その影響で踏切がずっと閉じた状態になり、それに業を煮やした容疑者が遮断桿を切断。大きな事故にはつながらなかったが、一歩間違えば大惨事を引き起こす凶行といえる。

 同事件において京成電鉄に非はない。だからと言って、京成が安全対策に手を抜くことは許されない。また、開かずの踏切対策も求められる。

 そうした状況を受け、昨年末から京成は開かずの踏切に新たな対策を始めた。それが、QRコードを駆使した運行情報の提供だ。

「踏切にQRコード付き看板を設置し、踏切を待っている人に対しても運行情報を提供することは以前から要望をいただいていました。4月の踏切切断事件がきっかけで設置を決めたわけではありませんが、設置を後押しした一因にはなっていると思います」と説明するのは京成電鉄統括部広報担当者だ。QRコードを活用した運行情報の提供は、すでに多くの鉄道会社が取り組んでいる。しかし、これまで鉄道事業者がQRコード付き看板を設置して運行情報を提供していたのは駅や電車内にとどまっていた。踏切にQRコード付き看板を設置して、リアルタイムで運行情報を提供する取り組みは京成独自のものといえる。

「長時間にわたって踏切が遮断している場合、それが事故によるものなのか、ちょっとした遅延なのか、踏切を待っている人には判断できません。そうした踏切が開くのを待つ通行人にも運行情報を提供することで、通行者が踏切を迂回するかどうかを決めることができます。踏切にQRコード付き看板を設置して、運行情報を提供することはお客様サービスの一種だと考えています」(同)

 交通量や遮断時間の長さ、看板を設置できるスペースがあるかないかを勘案し、京成は2020年3月末までに93ヶ所の踏切にQRコード付き看板を設置する予定にしている。

「2020年3月末までに93ヶ所という数字と期限は、あくまでも年度内の目標です。2020年4月以降も、順次、踏切にQRコード付き看板の設置を進めて、安全対策を充実させていく方針にしています」(同)

 本来、鉄道会社にとってお客様は乗客になる。踏切を往来する通行人は京成の利用者ではない。しかし、京成では「仮に京成に乗ることがなくても、地域にお住まいの方々はお客様であると考えています」(同)という精神に基づき、通行者への情報提供のために踏切へのQRコード付き看板の設置を急ぐ。

 今般、東京圏や大阪圏といった大都市圏では開かずの踏切が深刻化し、鉄道会社や行政の課題になっている。東京近隣では鉄道会社と行政、近隣住民などが協力して開かずの踏切の解消を目指す取り組みが活発化している。

 開かずの踏切を抜本的に解消するには立体交差化がベストの選択と言えるが、立体交差化には周辺の土地買収や補償をしなければならない。それには、住民との話し合いや交渉などが伴い、約20年〜30年の歳月がかかる。費用も莫大になる。一筋縄では解決できない。その間も開かずの踏切問題は燻る。

 現在、踏切に運行情報を提供するQRコード付き看板の設置を進めているのは京成だけだが、どこの鉄道会社も安全を確保への努力を惜しまない。今後は他社にも広がっていくだろう。

 京成が新たに始めた踏切にQRコード付き看板を設置するという手法は、あくまでも開かずの踏切対策のひとつに過ぎない。これで万事解決とはならないが、開かずの踏切対策は着実に前進している。

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