なぜ任侠山口組は突然「絆會」(きずなかい)に改名したのか?

なぜ任侠山口組は突然「絆會」(きずなかい)に改名したのか?

変化を見せる山口組(写真は司忍六代目山口組・組長)

「3つ山口組」抗争が一つの節目を迎えた。

〈代紋及び組織名を【絆會】と改め、新たなる出発をする事と致しました〉

 1月12日、任侠山口組が組織の名称を変更したことが明らかになった。〈御通知〉と題した〈絆會総本部〉名義の文面が関係各所に通達されたのだ。

 昨年10月、分裂抗争のキーマンとされる六代目山口組・高山清司若頭が出所してから抗争が激化している。尼崎市の商店街の一角で神戸山口組幹部が銃殺され、九州や北海道でも六代目山口組による神戸山口組への傷害事件が発生。抗争拡大を防ぐため、1月7日に兵庫や大阪の6府県の公安委員会が六代目山口組と神戸山口組を「特定抗争指定暴力団」に指定していた。

「これにより大阪市や神戸市など全国10市で“警戒区域”が設定され、区域内にある事務所への立ち入りが禁止されました。さらに、区域内で“おおむね5人以上”の組員で集まることも禁止される。違反すれば3年以下の懲役が下されるため、組織的活動のみならず経済活動(シノギ)も制限されます」(社会部記者)

 一方、今回組織名を変えた任侠山口組は特定抗争指定を受けておらず、警戒区域内にある傘下組織の事務所も使用可能だ。

「抗争事件を起こしていないどころか、表だった組織的活動も沈静化している。本拠地とされる尼崎市内の2つの事務所が住民訴訟で使用禁止となっていることもありますが……昨年12月に新年を祝う事始式こそ行ないましたが、8か月ぶりの組行事でした」(同前)

 全面抗争の渦中にある2つの組織とは対照的な道を歩んでいた最中の改称。フリーライターの鈴木智彦氏はヤクザ界における1つの時代の終わりを指摘する。

「これまで“山口組”というブランドがあればヤクザは食べていけると言われていた。しかし、暴対法や暴排条例により、組員は生存権すら脅かされているのが実情です。強大な組織力を持つ六代目と神戸とは違い、確固たる地盤を持たず、構成員も400人ほどの任侠山口組にとって特定抗争指定暴力団に指定されることは文字通り死活問題になりかねない。組織として残るため、誇りとしてきた“山口組”という看板を下ろしたのではないか」

 新たな局面を迎えた分裂抗争はどこへ向かうのか。

※週刊ポスト2020年1月31日号

関連記事(外部サイト)