外国資本の日本の土地買い占め、1年でTDL15個分

外国資本の日本の土地買い占め、1年でTDL15個分

北海道の森林が続々買収されている(写真:時事通信フォト)

 ユーラシア大陸に中華経済圏をつくる──習近平・国家主席が掲げた「一帯一路」構想に中国は邁進している。その“一路”に、大陸の外にあるはずの日本までが組み込まれようとしているのか。中国資本による日本の土地買い占めは、驚くべきスピードで進んでいた。

「私が危惧しているのは、このままでいけば、日本列島の所有者は中国で、日本は借りてる形になるよ。北海道なんて見てみなさいよ。どんどこどんどこ、中国は土地を買ってますよ。本州でも買ってる。日本は中国から土地を借りて生活することになっちゃうんだよ」

 亀井静香・衆院議員は、4月に行なわれた石原慎太郎氏との対談(本誌・週刊ポスト5月19日号掲載)でこう警鐘を鳴らしていた。

 その予言は、あまりに早く現実化しようとしている。昨年1年間で外国資本に買われた森林は実に“東京ディズニーランド15個分”――4月28日、農林水産省が発表した調査結果が永田町や霞が関に衝撃を走らせている。

 同省が森林法に基づく市町村等への届け出情報などから全国の森林の土地所有者を調査したところ、昨年1年間で202ヘクタールもの土地が所在地を海外に構える外国資本によって買収されたことが判明したのだ。

 前年の同67ヘクタールと比べると3倍もの伸びを示し、調査を始めてから最大となった。かねて取り沙汰されてきた海外からの土地買収攻勢が、急激に拡大していることを窺わせる。

 国内に拠点を持つ外資系企業による買収事例も含めると、外国資本による買収面積は777ヘクタールに及ぶ。東京ディズニーランド(51ヘクタール)15個分にも相当する広大な土地が、わずか1年の間に外国資本に買い占められていたのだ。

 注目すべきは買収された森林のほとんどが北海道にあること、そして香港・台湾を含む中国系の土地取得者による買収面積が81%にものぼる点だ。そのほかにも華僑の多いシンガポールやマレーシア、ペーパーカンパニーの拠点となっている英領ヴァージン諸島などが所在地とされている。

 中国資本による道内の土地買収等の動きを長年調査している元北海道議の小野寺秀氏がこう話す。

「他国や日本企業を隠れ蓑にしたケースも多く、調査されているのは氷山の一角に過ぎません。現在、中国資本による日本の土地買い占めの一番の“草刈り場”になっているのが北海道の森林です。安く広大な土地が買えるうえ、水源地が近く利用価値が高いためです。さらに中国は森林だけでなく、レジャー施設や農地など様々な土地を狙っています。いずれも広大な土地を一挙に取得する機会を窺っているのが特徴です」

 実際にこんなケースがあった。2010年夏、北海道伊達市にあるゴルフコースを含む森林を中国資本A社が15億円で買収。当時、民事再生中にあった同ゴルフ場の価値(再生債権額)は3億円に過ぎなかったが、A社はその5倍の15億円で買い取ったという。

「現在に至るもゴルフ場の運営は再開されておらず、別の施設への転換も図られていません。一体、何の目的で買ったのかが不明で、地元でも訝る声は多い。

 その後の調査で、ゴルフ場周辺に家がポツリポツリと点在する形で建てられていることが分かりました。けれど表札も出ていなければ、監視カメラや囲いなどによって容易に近づくことすらできない家も多い。国籍も含め、誰が住んでいるのか全く不明なのです」(前出・小野寺氏)

 地元住人が不安視するのには理由がある。2010年、新千歳空港から車で15分ほどの高台に、中国人富裕層のための別荘17棟が建てられた。が、その後、開発した家具・インテリア販売会社が同地に「1万人の中国人が住む1000棟の別荘」を建設する計画だったことが発覚したのだ。

 同じようなケースは他にもある。中国の不動産開発・投資会社『一達国際投資集団』(北京)は北海道喜茂別町の会員制リゾート施設「喜茂別町ゴルフ別荘」の約80ヘクタールの区画を取得。造成後にアジア富裕層向けに販売する計画を2014年に発表した。が、こちらも現在に至るまで開発は進まず、地元住民らが不安を募らせている。

 複数の日中関係者によれば、中国による日本の土地買収工作が本格化したのは2008年からとされる。当初は水源地近くの山林やリゾート開発事業を名目に土地を買い漁る事例が多数報告され、前出の伊達市のゴルフ場のケースなどもその一例だ。鹿児島県霧島市でも2014年、350ヘクタールもの広大な山林が中国系企業に買収されたことが発覚し、問題となったことがある。

※週刊ポスト2017年6月9日号

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