自民党分裂なら小池新党軸に“反安倍政権”誕生シナリオも

自民党分裂なら小池新党軸に“反安倍政権”誕生シナリオも

反安倍派の結集で自民党分裂も?

 都議選の衝撃はこれから始まる政界地殻変動の第一波でしかない。いよいよこれから、安倍晋三・首相VS小池百合子・東京都知事の全面戦争に突入する。政治ジャーナリスト・野上忠興氏は小池氏が初めて政界に出た時の状況に似ていると指摘する。

「かつて細川護煕氏が日本新党を結成して臨んだ1992年7月の参院選は『日本新党ブーム』と呼ばれたが、当選したのは小池氏らわずか4人だった。自民党は議席を増やし、政権は安泰とみられていた。ところが、1年後に8党連立の細川内閣が誕生した。あのとき、自民党の誰も政権を失うとは想像もしていなかった」

 当時の政界は自民党が衆院274議席を占め、「万年野党」の社会党(141議席)には政権を奪うだけの国民の支持はなかった。

 ドラマの始まりはこの野党第一党の崩壊だった。1993年7月の総選挙で一気に野党連立の細川政権ができたように思われがちだが、あの選挙で大敗したのは社会党で、70議席に半減した。自民党は分裂で過半数を割ったものの、まだ223議席の圧倒的な第一党で、野党は社会党、自民党離党組の新生党(55議席)、公明党(51議席)、日本新党(35議席)など多弱状態が生まれた。

「社会党の大敗から、日本新党の細川氏を旗印に、多弱の野党が結集していった。都議選後に起きるのもまず野党第一党・民進党の混乱と解体でしょう。小池氏はあのときの経験から、日本新党のような核があれば盤石に見えた権力をひっくり返せることを、身をもって学んでいる」(野上氏)

 なお、総選挙の1か月前に行なわれた都議選で日本新党が第三党に躍進したことが、その後の流れを決定づけたともいわれている。

◆野田聖子を担ぎ出す

 現在、国政では、まさに小池氏が掲げた「旗印」に野党が集まりつつある。「情報公開」を東京大改革の柱に掲げる小池氏は、加計問題の「怪文書」騒動を受けて、6月定例都議会に「公文書の管理徹底条例」を提出して成立させた。

「国会でも『文書があるのないの』とかに注目がいっている。基本的に記録は残す。重要な文書を破棄する場合は他部署が関与するダブルチェックで廃棄する」

 情報隠しに走る安倍政権をそう痛烈に批判した。そんな小池氏と連動するように終盤国会では、野党4党が公文書管理法改正案を提出。成立はしなかったものの、野党各党が小池氏の政策を新たな結集軸と見なしていることがわかる。

 1993年政変で細川政権への流れを決定づけたのは、自民党の政権批判派が野党結集に参加したことだった。「安倍一強」の自民党内でも、「反アベノミクス勉強会」に石破茂氏、野田聖子氏ら約60人が参加し、物言えなかった反安倍勢力がようやく動き出した。

 野党の動きと自民党の反主流派を結びつけるのが、小池新党の国政進出だろう。本誌・週刊ポストは前号で、小池氏とともに自民党を離党した若狭勝氏、維新の会を離党した渡辺喜美氏など5人が国政の小池新党「国民ファーストの会」を立ちあげ、次の総選挙では台風の目となって自民党が単独過半数を割り込む可能性さえあるという野上氏の分析を報じた。

「自民党が安倍派と反安倍派に分裂状態となれば、小池新党を軸に野党勢力が反安倍派の野田聖子氏などを首班指名に担いで“反安倍連立政権”が誕生するシナリオも考えられます」(野上氏)

 政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏もこう語る。

「安倍首相が都議選の結果を真摯に受け止めて臨時国会を開き、加計問題を謝罪すればまだ支持を回復するチャンスはある。だが、首相はどうやら選挙後は外交や内閣改造で批判をそらせると考えている。そうなれは次の総選挙に向けて国民の政権不信はいよいよ強くなる。将来、今回の都議選が安倍政権が崩れていく転換点だったといわれることになるのではないか」

 安倍VS小池の「国盗り合戦」はこれから本格化する。

※週刊ポスト2017年7月14日号

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