31才女性 再就職の際、がんのことを伝えようか葛藤した

31才女性 再就職の際、がんのことを伝えようか葛藤した

がん告白、会社に言えない葛藤(写真/アフロ)

 年を重ねるにつれて、家族や親戚、友達ががんになったという話を聞く機会は増えていく。2人に1人が罹患する時代といわれて久しい。今回、取材したステージIIIの患者さんは本誌・女性セブン記者にこんなことを話してくれた。

「私はがんと闘っているのではありません。がんと共に生きているんです」。

 1985年生まれの野口のぞみさん(仮名、31才)。独身。精神保健福祉士として病院に勤務していたが、2013年、悪性リンパ腫と診断される。復職するも2016年に再発。現在は、再発防止を目的とした治療を受けつつ新しい職場で働いている。

 * * *
 4年前、悪性リンパ腫と診断され、4か月間休職して治療を受けました。復帰すると、仕事量を配慮してくれたり、病気への理解がある職場でしたが、治療の副作用でウイッグになったこと、長く仕事を休んだこと――がんに派生するさまざまな出来事が原因で、人との距離を感じるようになりました。

 私だけ取り残されてしまったような感じですね。治療の間、前のように仕事をして友達と遊ぶことができないので、私だけ取り残されてしまっていると思い、周囲とのかかわりが難しい苦しさを感じました。孤独や、職場の人との距離をすごく感じる状況でした。

 できるだけ病気のことを隠したいにもかかわらず、自己開示をすれば距離が縮まるんじゃないかと思って、同僚にウイッグだと打ち明けてしまったことがあるんです。けれどびっくりされただけでした。気を使わせることになってしまったのではないかと思うと、なんでそんなことを言ってしまったのかと後悔しました。

 そんな状況に悩みつつも、少しずつ元の生活を取り戻しつつありましたが、治療終了から2年半後に再発したことをきっかけに、再び休職して、そのまま退職を決めました。

 職場に対して申し訳ないという気持ちがありました。2回目の治療だったので、気持ちがもう…。働くという気持ちがなくなってしまったんです。1回目の治療の時は、“働きたい!”という気持ちが強くあったけれど、“もう休みたい”と思いました。

 周囲から何気なくかけられた「仕事のストレスで病気になったんじゃない?」という言葉もつらかったです。

 私が精神的に強くないから病気になったと、自分をすごく責めてしまったんです。自信をなくして、仕事に向いていないんじゃないかと思い、辞めようという気持ちが強まりました。情熱を持って仕事をやっていたつもりですけど、その情熱がなくなってしまったんです。

 だけど、両親はまもなく定年を迎えます。病気がわかってから実家で暮らしていますが、体力の回復とともに「自立しないといけない」という思いが強くなりました。退職して6か月後の今年4月に再就職しました。

 再就職のときに、会社にがんということは言いませんでした。周りが、自分の病気を知らない環境の方が働きやすいんじゃないかと思ったけれど、がんを公表していたからこそ理解してもらっていたところもあるんだな、ってわかりました。

 今は帰宅が21時になることもあるほど忙しく、体力的にしんどいです。でも、当たり前ですが、何も知らないから配慮はありません。また、何気ない雑談から病気だとわからないよう気を使うので、精神的にも疲れます。

 ウイッグなのに「髪が長くなった」と言われたことがあって、そういう言葉にどう返すか準備しておくんです。最近は髪がだいぶ生えてきたけれど、誰にも気づかれないようウイッグを取るにはどうしよう、とか悩んでます。

 心の内をさらけ出して吐き出せる場所が欲しい。最近ようやく、上司にがんの治療を受けたと打ち明けました。また、1か月後に臨床心理士のカウンセリングを受けようと思います。ちょっとずつ前へ進まないといけませんから。

※女性セブン2017年7月27日号

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