女性貧困の連鎖 夜の世界へ偏見なくすことが重要とNPO代表

女性貧困の連鎖 夜の世界へ偏見なくすことが重要とNPO代表

抵抗感の薄れ、貧困、教育格差などが絡み合い、夜の仕事に就く女性は増え続けている

 加計学園疑惑を告発した文科省の前事務次官・前川喜平氏の「実地調査」で一躍注目を集める「出会い系バー」。働く女性、通う男性、それぞれの思惑が交差して、今宵も店内には人間の欲望が露骨に渦巻いている。どのような仕組みで、彼女たちはいくら稼ぐのか。「交渉現場」で見えてきた、現代女性と売春の最前線。

 新宿の『A』や『M』など、複数の出会い系カフェで女性に話を聞いた。家庭環境、経済事情などは様々だが、突き詰めると「金がない」が出会い系バーに通う大きな理由になる。女性の貧困問題に詳しいNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」理事長の大西連氏が語る。

「近年は夜の仕事のハードル自体が下がっています。ネットやSNSでいくらでも求人が出てきますから。お店側も女性が集まらないと困るので、表向き働きやすい環境をつくる。飲食無料とかね。若い世代で夜の世界への抵抗感が薄れている」
 
 あゆみ(仮名)は、店に行くのは週1~2日。これで月15万~20万円稼いでいる。

「テニサーの連中なんか、やりまくりですよ。とっかえひっかえ。それと何が違うんですか? 男はHできて嬉しい。私はお金もらえて嬉しい。被害者がどこにいるの。ノルマもなければシフトもない。効率を考えたら最高でしょ」

 こう語るあゆみは、この風潮の最先端にいる女だといえる。みんなやってる、効率がいい、どこに被害者がいる――という発想だ。

 続いてのアイ(仮名)は、「アタシは絶対、地獄に落ちる」と力なく笑う。出身は横須賀市。高校2年生の時、製薬会社に勤める父親が鬱病になり、自殺した。生命保険は私立大学に通う兄の学費に充てられ、母はスーパーのパートに働きに出た。

「もともと両親は家庭内離婚してるようなもんだったけど、死んだ時はつらかった。お金が本当になくなってさ。電気止まるし。お母さん頭おかしくなって、家の中で暴れるようになっちゃった。アタシ学校辞めて、アパレルのバイト転々としてたんだけど、家に帰ればお母さんが食器投げるから。怖くて家出て、横浜で家賃4万のアパート借りて、ひとり暮らし始めたんだけど、まぁそんなこんなでキャバを辞めて」

 若い世代特有の“達観”も手伝い、夜の仕事、ひいては体を売ることさえ正当化する。ここに『貧困の連鎖』が重なったと大西氏は指摘する。

「低所得ゆえに子供に満足な教育を受けさせられず、その教育格差が就職の道を狭める。結果、正社員からあぶれて貧困層になり、孫世代もまた貧困の中で育ち、教育格差が生まれる。いわば負の連鎖です。そうした環境で育った人間が手っ取り早く稼げる場として、夜の仕事が機能しました」

 抵抗感の薄れ、貧困、教育格差。全てが複雑に絡み合い、女性たちが夜の世界になだれ込んでいる。

「しかし、このままでは負の連鎖は止まりません。風俗やホステスの仕事は、履歴書に書きづらいんです。多くの企業が前職として認めてくれないという問題があって。一度この世界に入ると、セカンドキャリアを見つけるのが極めて難しい」(大西氏)

 まして「出会い系カフェ」は職場ですらない。履歴書の空白は埋まらず、いつまでも夜の世界から抜け出せない。
 
「大切なのは、私たちが夜の世界への差別と偏見をなくすことです。本人の意思を問わず、体を売らざるをえない人がいる。“なんでそんなことを”と拒絶せず、僅かでも彼女に寄り添う気持ちを持ってもらえたら、社会は変わっていくはずです」(大西氏)

※女性セブン2017年7月27日号

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